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高校向け教育指導教材を読んでみた

はじめに

2022年4月からの高校学習指導要領改訂で、金融経済教育の内容が拡充されました。金融庁のホームページに教材がありましたので、要約してみました。



⒈家計管理とライフプランニング

【家計管理】家庭生活を営むための収入と支出を管理すること。
収入は、支出と貯蓄になる。給与明細や賞与(ボーナス)明細から、貯蓄や支出を考えていこう。

【ライフプランニング】人生の希望や計画を具体的に時系列で書くこと。
「教育」「住宅」「老後」の三大費用に対して、計画的な準備が必要。
また、正規・非正規、雇われない仕事などの多様な働き方と、それによる年収の違いを理解し、自分がどのように働きたいか考えてみよう。


⒉使う

【ニーズとウォンツ】必要なもの(ニーズ)と欲しいもの(ウォンツ)を区別し、ニーズを優先することが大切。

【家計管理のポイント】収入から先に貯蓄を引き、その残りを支出に回すことで、黒字にすること。

【キャッシュレス決済】現金の授受をせず、デジタル化された価値の移転により支払い・受け取りを行うこと。ex)電子マネー、クレジットカード、デビットカード、QRコード
お金を持ち歩かずに簡単に決済できるメリットがあるが、実感が湧きにくい、犯罪の不安、停電時に使えないなどの注意点も理解しておこう。


⒊備える

【保険の仕組み】病気、ケガ、火災、事故などの様々なリスクに備えるために、みんなでお金を出し合っておき、必要な時に受け取れる。

【社会保険】社会基盤として国や自治体が運営する保険。年金保険、医療保険、介護保険、雇用保険、労災保険、がある。

【民間保険】民間の会社や団体が運営する保険。人の生死や病気に対する生命保険と、車や家などモノに対する損害保険がある。


⒋貯める・増やす〜資産形成

【資産形成の必要性】まずは家計管理をしっかりし、貯蓄することが重要。ただ、超低金利のもとで、貯蓄は増えない。また、物価上昇(インフレ)により、貯蓄が目減りすることも。そこで、資産形成を行うことで、ライフプランにおける目的に近づくことができる。

【利子と利息】利子とは、貸し借りしたお金に、一定の割合で支払われる対価(円)。利息とは、その割合(%)。100円に1円の利子がついた時の利息は1%。

【単利と複利】単利とは、元本だけに利子がつくこと。複利とは、利子にも利子がつこと。複利の方が全体の金額が大きくなる。

【金融商品の3つの基準】
元本が減らないかの「収益性」、どのくらい利益が期待できるかの「安全性」お金を引き出しやすいかどうかの「流動性」。すべて満たす商品はないので、目的に応じて選ぼう。

【貯金・預金】銀行などにお金を預けること。安全性・流動性がとても高いが、収益性は低い。

【債券】国や会社にお金を貸すこと。定期的に利子がもらえ、満期には額面がもらえる。安全性は国債の場合高く、収益性・流動性は低い。

【株式】購入者(株主)は会社の一部を所有することになり、会社の利益に応じて配当がもらえる。株価は会社の状態によって変動する。安全性は低く、収益性と流動性は高い。

【投資信託】多くの人から集めたお金を一つの大きなお金にし、それを株式などに投資する仕組み。流動性は高い。収益性、安全性は、何に投資するか次第となる。

【消費と投資】モノを買うこと(消費)や金融商品を買うこと(投資)による社会への資金提供を通じて、社会をより良くすることに貢献できる。

【リターンとリスク】お金の運用の結果得られる利益や損失/不確実性や振幅の大きさ

【ESG投資】利益率などの財務情報だけでなく、環境・社会・ガバナンス(取締役会や少数株主の保護)といった非財務情報にも考慮して投資をすること。

【長期投資】リスク軽減のために、長期間にわたって投資を続けること。分散投資や複利の効果と合わさるため。

【積立投資】リスク軽減のために、決まった金額を続けて投資すること。安い時に買わなかったり高い時に買ってしまったりを防ぎ、難しい購入のタイミングを捉えることをしなくて良い。平均購入単価を安くできる。

【分散投資】リスク軽減のために、性質の違う複数の資産に投資する(資産の分散)と、投資先の国を分けることで世界経済の成長の利益を得る(地域の分散)。

【つみたてNISAとiDeCo】代表的な非課税制度。つみたてNISAは、毎月100円から20年間投資できる。iDeCoは個人型確定拠出年金で、60際まで引き出しができない。雇用形態によって投資できる上限額が変わってくる。

⒌借りる

【お金を借りる】将来の収入の先取り。一般的に利子がつく。

【クレジットカード】支払い代金を後払いにする=カード会社に立て替えてもらう=借金をすること。カードでお金を借りる「クレジット」とお金を引き出す「キャッシング」がある。リボ払い(毎月定額返済)は返済額が大きくなりがち。自分のルールを決めて使おう。

【奨学金】経済的理由で進学が困難な優秀な生徒に、お金を「給付」または「貸与」する制度。給付型は、家計や学業成績の基準があり、お金を返す必要がない。貸与型は、無利子と利子付があり、返済の義務がある。計画的に返済しよう。


⒍金融トラブル

【マルチ商法】商品やサービスを契約して、次は自分が買い手を勧誘して販売組織を広げていく商法。最近は、バイナリーオプション取引(為替相場などが上がるか下がるかを予測し、それ応じて損益金額が変動する非常にリスクの高い取引)に使うUSBなどを販売する詐欺的なトラブルが多い。「誰かを紹介すると儲かる」と言われ被害者が加害者にな理トラブルが広がっていくケースも多い。

【暗号資産・仮想通貨】「絶対に儲かる」と勧誘されるも、多額の損失が発生したり業者と連絡がつかなくなったりというトラブルがある。金融庁に登録のある業者かどうか確認することが必要。

【SNS個人間投資】個人間でお金の貸し借りをすること。個人情報を利用されたり犯罪に巻き込まれることがある。

【多重債務】複数の業者から数え切れない借金を背負ってしまうことがある。軽い気持ちで高金利の借金をしてはいけない。収入の範囲内で生活することを考えよう。

【トラブルを避けるには】おいしい話には気をつけること、はっきり断ること、トラブルにあっても諦めないこと(契約の取り消しを求める・188番に電話する)


おわりに

金融知識の初歩の初歩がざっと書いてあったという印象でした。でも、言葉への抵抗をなくすためにも、高校生から金融の教育を受けることは大切だと思います。自分で資産形成をしないと国にはもう守ってもらえない時代ですし、一方で、やったらやった分だけ自分が得られる時代でもありますし。
FP1級としても自分の知識や理解を深め、金融業界でない人たちに還元していく使命を感じております。

コメント等お待ちしております。また次の記事でお会いしましょう♪



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