「I Wish」

あなたの人生と自分の人生が混じり合わないこと。そんなことはずっと前から知ってる。
多分、ちょうど10年前から。
そう考えると色々と長いのだけど。

たまに交差するくらいが丁度いいんだ。

半分盗み見たような言葉の羅列に思う。
あなたは変わったし、それ以上に、中心部分、例えば心臓の鼓動音みたいなものは変わってないんだって思った。
ずっと昔、ちょっとだけ惹かれたその部分は。
本当にちょっとだけね。

あなたは手を伸ばしている。
そして多分、今のあなたが求めているものを自分は間違いなく手渡すことが出来る。いちばん過不足ない形で。
でも、10年前にも言ったとおり、
それをいつまでも手渡しつづけることは出来ないから。

だから、伸ばされたその指先を見つめたことさえもあなたには教えない。
お互いにいい大人なんだから、自分が本当に必要としている物事くらい分かる。きっとそのはず。

思えばあなたとは何もかもが噛み合わなかった。
絵を描き写真を撮るあなたは、音楽にも文章にもそれほど興味が無かったみたいで。書いた文章を読んでくれたことは一度も無かった気がする。
だから響いたのかもね。芸術を愛する人たちの中で、お互いのパーソナリティ以外には何の興味も持たなかったから。
そういう関係性だから、奥深くまでを分かり合うことが出来たのかもしれない。

だから知ってる。大丈夫だよきっと。

あなたが昔カラオケで歌ってくれた曲を聴いてみた。別にその曲に救われたことなんてないけれど、
でも、やっぱり好きな曲。

『晴れの日があるから そのうち雨も降る
全ていつか納得できるさ
人生ってすばらしい
ほら誰かと出会ったり恋をしてみたり
Ah すばらしい Ah 夢中で
笑ったり 泣いたり出来る』

まるであなたそのもののような、素直で真っ直ぐな歌詞は。決して自分には無いものだった。
あの頃は分からなかったけれど、その良さが今になって分かった気がするんだよね。
あなたは変わってないし、
そしてこれからも変わらずに。



「たった一人の君に捧げるラブレター」ってタグを見て、だから書き始めた文章だけれど。
これは誰かへ読ませたい文章じゃなかった。
自分のための文章だ。

最近、まともに文章が書けなくて困っていたのだけれど。
自分が書きたい文章って、不特定多数に好かれそうな文章ではなくて、自分が書きたいことを書くものだった。
それを思い出させてくれたあなたはやっぱり凄い。
いつも一緒に居られるわけじゃないけれど、大事な時にちょっとだけ力をくれるのだ。
手を引くでも背中を押すでもなく、少しの間だけ一緒に歩きたい人として。

そんなあなただから、そこに居てほしいのだ。


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