ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝、そして言葉の力、あなたの力


ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝を見てきました。

画像1

写真は入場特典のミニ色紙です。
どこまでも透明な映画でした。美しい風景と人物のやさしさ。
ただひたすらに誰かの幸せを願う、そんな世界があってもいいじゃないか。そんな世界に指先だけでも触れられた、それは本当に美しいこと。

このアニメのテーマは一貫して「思いを伝えることの難しさ、伝わることの美しさ」。
色紙に描かれたのは女性3人ですが、この映画の主人公はベネディクトさん(郵便配達人)だったんじゃないのかな、と思います。
「届かなくていい手紙なんて無い」とは彼の台詞。思いが込められた手紙を何があっても届ける姿はそのまま、思いを言葉に落とし込むことの苦しさ、それを素直に伝えることの難しさを示しているようで。
誰かの思いを持って駆けずり回る奉仕の精神は、まるで文句も言わず使役される言葉そのもの。

言葉の力を信じている、なんてCMが昔あったけれど。そんなもの本当にあるのか。
いや、どちらでも構わないけれど。
言葉の力なんてものに頼ったってあなたの気持ちは何も伝わらない。
郵便配達人はあくまでも、あなたの思いを届けるための存在でしかない。
相手の心を動かすのはあなたの強い思い、あなたの力だ。

だから、伝えたいことがあるならば全力で語ればいいのだ。
言葉なんて所詮あなたの声を響かせるメディアでしかない。あなたの心の強さに比して、それはとても小さい力しか持たない。
どんな言葉でもいいし、何なら言葉じゃなくたって良いかもしれない。
伝えたいことは伝えたほうがいい。

そういえば、それが、自分が文章を書き始めたそもそもの理由だったような気がする。
それを思い出させてくれたという意味でも、強い力を持った映画だったのかもしれない。



ところで。冒頭の入場特典の色紙。これもまた、とても重要な意味を持った絵で。
自分の髪を編みたくて、二つのかたまりを作って結おうとしたけれど中々上手くいかない。そんな子にヴァイオレットが言うのです。
「二つだと解けてしまうけど、三つを編むことで不思議と解けなくなる」のだと。
別々の方向を見ている二人は、そのままでは絶対に結びつくことができない。だけど、そんな二人でも、媒介者がかたく結びつけることができる。
これもまた、アニメのテーマに直接関わってくる絵。

美しい絵です。
そして、ヴァイオレットみたいな他者に繋いでもらわなくても、たとえば自分の言葉で誰か大切な人と結びつくことが出来たのだとしたら。
それはもっと美しいことで。
テイラーさん(右に描かれた子)のように、どんな拙い手段であっても相手に直接ぶつかっていく。その大切さを再び思いました。

大切な人には、全力でぶつかったほうがいい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?