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一太郎はいいぞ、という話

世間では、文書作成ソフトといえばMicrosoft Word(以下「Word」といいます。)という状況であり、またそれについても特に異議はありません。
実際、私も契約書や利用規約作成の際だけでなく、多くの文書作成で間違いなく利用しています。

ただ、日本には、Word以外にも優秀なソフトがあることを忘れてはなりません。

それが、ジャストシステム社が販売する「一太郎」です。

もちろん、その名前を知っている方は少なくないと思います。
現在でも毎年バージョンアップ版が発売されておりますし、また1985年の登場からすでに34年も経っており、WindowsやWordが普及する前は大きなシェアを持っていたことも要因として挙げられると思います。

以前は役所や裁判所などにおいて公式な文書作成ソフトとして利用されていましたが、現在ではほぼWordに移行したようです。

そのWordへ移行する流れのなかで、まずWordの操作方法を覚えた世代(ここでは「Wordネイティブ」と呼んでみます。)にとっては、Wordとは全く異なる一太郎の操作体系は異質に感じたかもしれません。
そのようなWordネイティブを中心に「一太郎は使いづらい」というイメージが広まったような気もします(個人の感想です)。

また、使いづらいかどうかはともかく、圧倒的に普及しているのはWordであるため、他人とファイルのやりとりが必要な場合では、必然的にデファクトスタンダードを選ばざるをえず、実際私もそのようなケースではWordファイルを選択します。

だがしかし。

ファイルの共有性などを除いて、純粋に”日本語ワープロソフト”として考えたときに、果たして一太郎は使いづらいものなのだろうか?Wordに劣るようなものなのだろうか?

少なくとも私はそのようには思えず、文書の作りやすさでいえば一太郎に軍配が上がります。
そのため、他人と共有する必要がない文書であったり、共有するものであっても草稿~提出前の段階では一太郎を使う場合は多いです。

ということで、一太郎のここがイケてる!と個人的に思う点をいくつか挙げてみたいと思います。

1. 文章校正力

Wordでも「校閲」というメニューがあり、簡単な校正はできると思います。
しかし、一太郎は次元が違います。

例えば、次のような契約書を書いたとします。
(注:内容は完全にフィクションですよ。)

業務委託契約書

ビーンズ行政書士事務所(以下「甲」という。)とゴーストライター(以下「乙」といいます。)は、甲がなすべき業務(以下「本件業務」といいます)の委託について、以下の通り契約(以下「本契約」という)を締結する。

第1条(目的)
1. 甲は、乙に対し、甲名義で投稿するブログ原稿を執筆することを委託し、乙はこれを受託する。
2. 乙は、甲から依頼を受けたときは、当該依頼から3日以内に、当該依頼内容に則したブログ原稿を執筆し、甲に提出しなければならない。

第2条(対価の支払)
甲は、乙からブログ原稿の提出を受けてから1ヶ月以内に、当該ブログ原稿執筆の対価として1,000円を乙が指定する銀行口座に振込にて支払うものとします。なお、支払に要する費用は、乙の負担とします。

以上、本契約の成立を証し、本書2通を作成し、甲乙記名押印の上、各1通を保有する。

契約の内容はともかく、この契約書には文章として誤ってる点が複数存在しています。

この文書に対してWordの「スペルチェックと文章校正」と「表記ゆれチェック」を実行してみましょう。

特に何も言われません
一方、一太郎で「文書校正:標準(だ・である)」を実行すると、

ハイライトされている箇所が指摘箇所で、文体の不統一や送り仮名、定義したのに使われていない言葉を指摘してくれます

今回は短い文章ですので、これくらい見ればわかりますが、もっと長い文章になったときには、上記のようなミスをうっかりしてしまうこともあります。それをこのように指摘してくれるのはとても便利です。

2.音声読み上げ

文章を人の声で読み上げてくれる機能ですが、これも契約書チェックでは欠かせません。自分では正しく書いたつもりでも、またそれを自分で読んだときも、勝手に脳内補正がかかってしまい、特に脱字には気がつかない場合もあります。

そのため、機械に読んでもらうことで不自然な脱字を発見することができます。

この機能自体は、Wordには標準機能として、一太郎はプレミアムまたはスーパープレミアム版に「詠太」というソフトとして備わっています(※)。
※初稿では一太郎でも詠太が標準で備わっている、と記していましたが、実際には標準の一太郎には添付されておりません。失礼いたしましたm(_ _)m

Wordは、あまりにも機械的かつ変な抑揚で、長文を聞くには辛すぎます。
さらに、「業務委託契約書」を「ぎょうむいたくけいやくか」、「本契約」を「ほんちぎりやく」と読むなど、ちょっとあれがあれです。

対して、一太郎(詠太)はスムーズに、よりネイティブジャパニーズに近い抑揚で読んでくれますし、「本契約」は「ほんけいやく」と読んでくれます。

そのため、ストレスなく読み上げを聞いて文章チェックできるのは一太郎のほうです。
(※ただ、”ゴーストライター(以下「乙」といいます。)は、”という文の最後の「は」を wa ではなく ha と読むというお茶目な点もありますが。。。)

3. 複数の文書を同一ファイルで管理できる

ExcelにはありますがWordにはないシート機能。
一太郎にはあるんです。シートごとに色もつけられます。

関係する契約書などを一括管理できますし、さらに便利なのが「検索」で、複数シートにわたって検索できます。
関係する複数文書において「甲」を「委託者」に一括変換するといったことも簡単に行うことができます。

4. アウトライン編集が便利

いきなり文章を書き始めるのでは無く、ある程度の構成や書くべき内容などを検討してから具体的な文章を書いたほうが良い場合もあります。

そういったときに、このアウトライン編集が便利です。
段落ごとに階層レベルを設定できますので、例えば先述の業務委託契約書であれば、まず次のように文章構成を考えてから、実際の文章を記していくということができます。

第1階層は「条」、第2階層は「項」に対応する感じですね。

これに先ほど挙げたシート機能を組み合わせれば、この文書構成案を残したまま、別シートで契約書本文を書き進めることができ、いつでも相互に参照できます。

まとめ

一部界隈で邪険にされているのが不憫でなりませんが、日本人が日本人のために作った日本語ワープロとして、非常に優秀なソフトだと思います。

一太郎はできる子です!!



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