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営業メールを勝手に送ってくるのはどうなの、という話

職業柄、どうしても自分のメールアドレスを公開することになってしまうのですが、そうなると否が応でも飛び込んでくるのが、一方的な広告宣伝の内容の”営業メール”

もはや営業メールを超えて「迷惑メール」そのもの、あるいは限りなく近いもののように感じることもあります。

また、このようなメール以外にも、名刺交換しただけで自動的に送られてくるメール、メルマガもありますよね。
これも限りなく「迷惑メール」に近いのではと考えられなくも無いことがあったりなかったり。

特定電子メール法

ではそもそもこのようなメールを送信することはOKなのかNGなのか。

そこで考えるのが「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」、略して「特定電子メール法」(以下「法」といいます。)です。

この法律は、ケータイの普及に伴って増加した迷惑メールが社会問題となったことを受けて、平成14年(2002年)7月1日から施行されたものです。

この法律では、原則として受信者の同意なく”特定電子メール”を送信することが禁止(法3条1項)されており、この”特定電子メール”とは「メール送信者自身または他人の営業についての広告宣伝のために送信する電子メール」(法2条2号を意訳。以下「営業メール」と表記することもあります。)を指します。

先程例に挙げたケースも、自分(自社)の広告宣伝のために一方的に送信してくるメールですから、この”特定電子メール”に該当すると思います。
そのメールが同意なく勝手に送られてくるのですから、これってもしかしたら・・・

実は禁止されていない

「同意していないのにこのような広告宣伝メールを送ってくるのは違法!訴えてやる!!」
・・・と思うかもしれませんが、残念ながらこれだけでは違法ではありません。

そのポイントが以下の法3条1項です。(※太字は筆者による)

(特定電子メールの送信の制限)
第三条 送信者は、次に掲げる者以外の者に対し、特定電子メールの送信をしてはならない。
一 あらかじめ、特定電子メールの送信をするように求める旨又は送信をすることに同意する旨を送信者又は送信委託者(電子メールの送信を委託した者(営利を目的とする団体及び営業を営む場合における個人に限る。)をいう。以下同じ。)に対し通知した者
二 前号に掲げるもののほか、総務省令・内閣府令で定めるところにより自己の電子メールアドレスを送信者又は送信委託者に対し通知した者
三 前二号に掲げるもののほか、当該特定電子メールを手段とする広告又は宣伝に係る営業を営む者と取引関係にある者
四 前三号に掲げるもののほか、総務省令・内閣府令で定めるところにより自己の電子メールアドレスを公表している団体又は個人(個人にあっては、営業を営む者に限る。)

1号と3号はとりあえず無視して、ここでのポイントは2号と4号です。

まず4号。
”自己の電子メールアドレスを公表している団体又は個人”以外には特定電子メールを送信してはならないということですので、逆に言えば”自己の電子メールアドレスを公表している団体又は個人”に対してのメール送信は問題無い、ということになります。

また、4号に書かれている”総務省令・内閣府令で定めるところ”とは、「自己の電子メールアドレスをインターネットを利用して公衆が閲覧することができる状態に置く方法とする」(「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律施行規則」(以下「施行規則」といいます。)3条)と定められていますので、ウェブサイトに掲載することは完全に当てはまります。

・・・ということで、私も自分のウェブサイトにてメールアドレスを公開していますので、私が同意していなくても、このアドレス宛に営業メールを送信するのは問題無いということですね。

名刺を渡してしまったら仕方ない

・・・いや、ちょっと待って。
では名刺交換しただけで一方的に送ってくる営業メールはどうなの?

この場合も残念ながら合法となるのですが、それが先述の法3条1項2号です。

この規定により”自分のメールアドレスを通知した場合”も送信禁止原則の例外に該当するため、営業メール送信が合法となるのですが、ここでも出てくる”総務省令・内閣府令で定めるところ”とは、「書面により通知する方法とする」(施行規則2条1項)とされています。

そうです。名刺を渡したということは、「自分のメールアドレスを書面で通知した」状態であることから、メール送信は問題無いということになります。

予め拒否する方法もある

このように、残念ながら名刺を渡したりインターネット上への掲載によって自分のメールアドレスを広告メール送信者が知ることになった場合は、たとえ広告メールが送信されることに同意していなくても、広告メールが送信されてくることは問題ないことになります。

でも、迷惑なものは迷惑です。

ということで、このようなメールの受信を止めたい場合はどうすればよいか。

基本的には「オプトアウトの通知」(法3条3項)を行う方法があります。
簡単に言えば、「もう○○というメールアドレスにメールを送ってこないで!」と送信者に対して言うことですね。

基本的には、受信するメールアドレスを明らかにして送信者に通知すればよく、その通知方法は特に定められていません(施行規則5条)。

ただ、送信される営業メールには、オプトアウトの通知を受けるためのURLまたはメールアドレスの記載が義務付けられているため(法4条3号、施行規則7条、9条1号)、このリンクまたはメールアドレス宛の連絡が一般的かと思います。

上記の方法の他、最初から受信を拒絶する方法として、例えば名刺交換の場であれば、名刺を差し出しつつ、
「私の名刺は渡しますが、ここに記載されているメールアドレス宛には営業メールを絶対に送ってこないでくださいね!!」
とハッキリと伝えることで”オプトアウトの通知”を行う方法もありますね。
とても感じ悪い印象には映りますけど。

自身のウェブサイトにメールアドレスを掲載する場合も、特定電子メールを送信しないように求める旨をメールアドレスと併記することでオプトアウトの通知になります。

例えば↓このような感じですね。

お問い合わせ: info@beans-g.jp
(※このメールアドレスへの特定電子メールの送信を拒否します)

なお、単に「特定電子メールの送信を拒否」する旨だけでなく、どのメールアドレスに対しての送信を拒否するのかを明確にする必要がありますのでご注意ください。

自分にとっては迷惑でも、相手にとっては大切な営業行為でもあり、事業者としては”お互い様”なところもあると思います。

広い心で受け入れていきたいですね!

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