フランソワーズドルレアックのことを今日は語りたい
この方、フランスの女優さんを代表するカトリーヌドヌーヴの実姉なんですけれど、25歳の若さで自動車事故に遭い早世しているんです。
もしもご存命ならば、世界中の映画界に君臨する美人女優姉妹として、きんさんぎんさんどころの騒ぎではなかったと思うんです。
なにしろ25歳でお亡くなりになっているので、この方は映画の出演本数が少ないんです。
一番有名なのは、妹のドヌーヴと双子の姉妹役を演じた「ロシュフォールの恋人たち」でしょうか。
ドヌーヴも充分に美しいんですけれど、ドルレアックと並ぶと姉の方が小顔で手足が長く、洗練してアンニュイな感じもまた魅力的です。
私の中でドルレアックの代表作を1本選ぶとしたら、公開当時、興行的には失敗に終わったらしいんですけれど、トリュフォーの「柔らかい肌」です。
トリュフォーと言えば「大人は判ってくれない」のイメージのままで認識が止まっている方が多いかと思うんですけれど、この監督結構下世話ですよ。
ドワネル君シリーズを全部見たら、ドワネル君のクズっぷりが良く分かるし、柔らかい肌は新聞の三面記事の情痴事件にインスパイアされて作られたもので、どストレートな不倫映画です。
トリュフォーは足フェチのむっつりスケベだから、この作品でもCAを演じるドルレアックが機内用のローヒールから着陸前にハイヒールに履き替えるシーンをしんねりむっちりと舐めるように撮っていました。
しあわせな家庭を持つ学者さんが一目でドルレアックに恋に落ちるって設定なんですけれど、本当にこの作品でのドルレアックは磁場があるように人目を惹き付けます。
たぶん、いつもより低めの声で会話するように演出されていたんじゃないのかな。
声がいいんです。
秘密めいていて。
ささやきかけるような低い声が耳に心地いいんです。
妹のドヌーヴは「シェルブールの雨傘」で見せたようなブルジョワっぽい役も合うんですけれど、ドルレアックはそう言うんじゃなくって、もっと魔性の女、ファムファタール、エロスの塊みたいな感じです。
そこんとこちょっとゴダール嫁のアンナカリーナとかぶるかもです。
ポランスキーの「袋小路」でもジーンズ姿のドルレアックも印象的でした。
プロポーションがいいからジーンズも似合うんです。
ヤル気のないふて腐れた演技をしていましたが、この人は実際こんな人なんだろうな、って思わせる感じ。
妹は努力型でスターの座を守ったと思うんですけれど、この天才肌の姉は残念なお亡くなり方をしてしまいました。
中年期以降のドヌーヴの活躍を見るにつけ、くれぐれもドルレアックの不在を惜しいと思います。
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