見出し画像

北海道編:たかさごや@札幌すすきの

二軒目というのは非常に迷う。せっかく札幌まで来たのだから未だ見ぬ未知の居酒屋に入るか、それとも馴染みのある店に入るか。

自分の性格上、初めての店には必ず入りたいが、必ず馴染みの店にも行っておきたい。
やはり安心感が欲しいのだ。

札幌で必ずお邪魔したい店。南5条西4丁目にある「道産子手作り・たかさごや」。

昨年冬、居酒屋探究の旅の時偶然みつけ、初の北海道で初めて入った居酒屋。

創業50年を迎えた店の雰囲気、北海道の酒に、郷土料理の数々、素晴らしかった。
従業員の色白、気さくなお兄ちゃんは元気だろうか?
何だかお久しぶりです的な感じで店内に。
ご主人も従業員のおばさんも常連ではないから気を使う感じで案内するが、こちらとしては常連気分。
二回目とは言えども、地元に在住の二回目とは心の持ちようがまるっきり違う。
ガラリとドアを閉め、年期の入った店内の左側カウンターへ。こないだと同じカウンターに手をついた。

奥から半年振りに会う白割烹着のあんちゃんは変わりなく一安心。


「半年振りにまた伺いました。冬は雪で凄かったですよね~。夏、いや秋の北海道、全く違いますね~。しかし、北海道は涼しいですよっ~。東京は暑くて暑くて~。」

「昨日までに北海道も暑かったです!今日は急に涼しくなりましたよ~。」

たわいもないない会話だが実に心地好い。
遠く北海道の居酒屋でこういった会話で始めて呑むのは常連気分だ。
東京でも日常会話から始めて呑むのはなかなかないかも。

店内、壁に貼られているメニューに目をやる。
やはり、冬のメニュー、カスベの煮凝り、ニシン漬け、三平汁はない。
北海道の冬を越す代表的なメニューだ。

だが、ぬた。
東京では鮪やアジなどワカメやネギを酢味噌で食べる居酒屋で最初に頼む通の肴。
北海道らしく、カスベ(エイのひれ)のぬたがある
「煮凝りはよくお目にかかりますがぬたがあるとは!?」

「軟膏の部分よりもっと身のある部分で出してます。」

とにもかくにも食べてみよう!百聞は一見に如かずだ。

酒はこの店定番、「金滴」350円。明治39年に自分達の酒は自分達で造ると村の人達で酒蔵を創り、灘の酒に負けない金滴が生まれた。
その燗酒は呑みやすく、肴がなくても盃が進む。

カスベのぬたは口の中でとろけそうな感じ、非常にマイルドで高級なぬたと言いたい。

二杯目は「北の錦」か「大法螺」か、迷ったあげく後者に軍配。
大法螺は純米で米の香り、旨味があり、キレもある。新潟の今代司に感じが似ているか。

ちょっと味のある肴が欲しい。
なら、みがきニシンを頂こう。


ネギ味噌で食べる、昔ながらの食べ方。あんぽんの女将さんも言っていたなぁ。
みがきニシンにネギ味噌が合う。ニシンの脂をネギ味噌が爽やかにしてくれる。
あー美味い。


冬になったらここのニシン漬けが食べたい。
後、三平汁(塩漬けした魚のだしで頂く郷土料理、具は鮭、大根、人参など)。名前の由来は三平さんが広めた説とその器が三平焼であったという説。
あんちゃんに教わる。

隣客が頼んだキンキの塩焼きがうまそうだ。
ご主人が目の前で丁寧に焼いている。

ではそろそろお勘定。


あんちゃんは奥の席でまかないを食べている。昨年冬と同じタイミング。閉店間際の合図だ。
それが美味しそうなこと!
俺も飯が食べたい。


また、冬。


行けたら。


■居酒屋ロマンティクス 2010年9月21日 自身のblogより

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?