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初日レポ:布施明ツアー「よみがえれ昔日の情熱」2022.10.1 【ネタバレ注意】

 ついにこの日がやってまいりました。布施さんツアー初日です!この日をどれだけ楽しみにしていたか…。結婚式以来やっていなかったネイルに手を出すくらいには楽しみにしてました。(なんの話)

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まず、ネタバレなしの感想

 全体的に、前回のツアーの時より声が出ている印象でした。特に後半に行くにつれ声の伸び、艶が共に増していく感覚。正直74歳とは思えない。曲数は23曲、約1時間50分ほどの公演でした。

 いや、ほんとに74歳?歳を取る、という概念はどこかで捨てて来ちゃったんだろうか。そんなことばかり思う約2時間。セトリも流れが素晴らしく、盛り上がる曲、聴かせる曲の配置が絶妙でした。

 以下、セトリなどなど情報をまとめます。
※この行以降、ネタバレを多大に含みます。今後の公演に行かれる方など、ネタバレがお嫌な方は、回れ右でお願いいたします。





(ネタバレを避ける間)




会場


初日はサンシティ越谷市民ホール。昨年のツアーもこの会場から始まったとのこと。

席数は約1700席ほど。雰囲気のある良いホールでした。今回私は、9列目中央。全体を見渡せ、かつ程よく前で布施さんのお顔も双眼鏡なしでしっかりわかりました。(それでも時々双眼鏡で顔をどアップして拝んだのは内緒。途中双眼鏡越しに目が合った錯覚…。)

流れと所感

※以下、曲名は太字で記載します。

 幕が開いて、暗闇の中、舞台中心に誰か立っているのが見える。しばし沈黙、徐々に背景が青色に。そのあと、勝手に想い出のイントロでスタート。音がズンと響いて、ちょっと驚くような始まり方。(今回ミニアルバムが出ると聞いてこの曲が最初に来る!と予想していたので、当たって嬉しい。)アウッ!の声。歌は高音がやや出づらそうなところもあったが、手振りも入れてすごく色っぽい勝手に想い出。80年に出たものよりなぜか色気を感じるほど。

 続けて、ツアータイトルの一部にもなっている昔日の情熱。パンフ情報によると、元曲はCaminitoというタイトルの曲。過去を振り返る歌詞と、情熱的な歌唱が印象的。

 この辺りでようやく衣装に意識を向けられた。黒のジャケット、赤いチーフ。なぜか最初から解けてる、蝶ネクタイ。

 歌い終わり、MC。ご挨拶と共に、「なんとコロナ禍3年目のコンサート」とのお話。ツアータイトルの紹介を、「よみがえれ昔日の日々」と仰っていて、つい心の中で「(よみがえれ)昔日の情熱」ですよね、とツッコミを入れてしまう。昔日の日々、はちょっと重言っぽいですね。

 そして次の曲はMr. Bojangles。(パンフはMr. Bonjanglesとなってますが、おそらくタイポです。)ステージのところでゴソゴソと帽子、杖、鞄、として丸眼鏡を取り出し、ボージャングル氏になりきる布施さん。(ここで結んでなかった蝶ネクタイをご自身で結んでいた。ちょっとレアなシーン。)コミカルなダンスと、しんみり、でも暖かな歌で聴かせる。途中、歌詞を間違える。(サビ「Mr. Bojangles、Mr. Bojangles」に間違って早く入ろうとする。そのあと、直前と同じ歌詞を繰り返していた。記憶が正しければ、「おどけたステップで踊れば 酒場に笑い声が溢れて いつしか悲しみを忘れていた僕」がダブった。)
「Mr. Bojangles、Mr. Bojangles」のところで、トライアングルのような、鈴のような音がチーンと入っていて、耳心地よかった。

曲が終わってMC。舞台の上で、ジャケットをお着替え。今度は白のジャケットに黒チーフ。そして独白コーナーのお話。ファンの中でも評価が分かれていて、
(1)いいわね!という人
(2)いいわね!もう(つまりもうやって欲しくない)という人
に分かれるとのこと。若いスタッフの中にはお笑いみたいなコーナーにしてもいいのではないかという人もいる。
スタッフ集まる制作会議で、布施さんが渋茶をグッと飲み干して、下した結論は…「今年の独白コーナーです。」つまり、今回も独白コーナー。私としては歓迎です。

独白1:苦しみが薄れたら懐かしさだけ残るのか?という話

からの、雪がおどる。この曲、予想に入れていたので心の中で小躍りして聴いていました。1980年の歌唱をYouTubeでよく見ていましたが、今の布施さんが歌うと、寂寥さが増してなんとも良い。途中カルチェラタンの雪のごとく、ジャケットの襟を立てる布施さん。途中の小堀さんのギターソロが、寂しさの感情をさらに引き立てる。

独白2: 太陽に背を向けると影が目の前にあるけれど、太陽を見上げれば、影は自分の後ろへいく。だから、太陽に向かって進んでいこう!という話。からの、流離の彼方で。お恥ずかしい話、タイトルのフレーズが出るまでこの曲なんだったか…の脳内検索に忙しかった。精進します。しっとりききいる。

独白3: 男性が女性に久しぶりに再会する。男性はパン屋?、女性は後に用事があるのか、慌ただしく去っていく。「しばらくここにいるから…」と女性に言い残すも、女性が立ち去ったあと、男性は「恋風邪かな…俺らしくないな。」と独りごちる。

からの、それが僕です。こちら、パンフ情報では元曲が"Ese Tipo Say Yo"とのこと。独白と重ね合わせると、男性は実はもう明日には街を出て行くらしいが、女性の幸せを願っている、と言うような内容。「それが僕です」という歌詞が頻繁に出て来るのだが、それを言うたび、観客に向かって自分を指差しているのがなんだか愛おしく感じる。

 曲が終わり、MC。「もうちょっと簡単にやればよかった」と言い、内容が難しすぎた(高度すぎた?)かも、と言う。
あと3年で60周年だが、落語ミュージカルみたいな感じでやろうかな、ベア&エイトとか。あ、八っつぁんと熊さんのことね。などともお話される。

 そのあと、アメリカの基地の話。六本木にも基地があるが、横田にも米軍基地がある。そしてYOKOTA AIR FORCE TOWNの話。
 ステージに飾ってあるCD(10月1日発売のミニアルバム)を手にとって「あれ、なんで飾ってあるんだろう」などとおっしゃる。「4曲しか入ってないんですが」とも言う。(いいんですよ、4曲でも。)

 そして始まるメドレー。最初はYOKOTA AIR FORCE TOWN。先日のラジオで流されていたのでどんな感じか予想はしていたが、思った以上に生で聴くとガチロック。小堀さんのギターがすごくいい味を出している。歌詞の"sparks"のところが、ラジオで聴いた音源より高く聴こえ、すごくカッコいい。
 ちなみに、聴きながら既視感を感じたのだが、それは何年か前に行ったポール・マッカートニーのライブで聴いたHelter Skelterを聴いた時の感覚だと途中から気づいた。当時ポールも70代後半、なのにこんなにロックな曲を歌うなんて!と思っていたが、今回も似たようなことを感じた。今74歳のはずの布施さんだが、やっぱり年齢詐称してない?とすら感じてしまう。

 そして次はこれが青春だ。これまでライブ音源で何度か聴いたことはある。ドラマの主題歌だったことは知っている。でもこんないい声で歌われるとは正直予想していなかった。この人は今まさに、青春なのだ。と感じさせられる。

 そこからバースありの落ち葉が雪に。こちらは記憶が正しければフルで歌われていた。これは70年代半ばの、布施さんの作詞作曲したヒット曲。この曲も、ある意味いろいろな葛藤の中で布施さんが生み出した、情熱を傾けた1曲と言っていいだろう。

 続けて霧の摩周湖。マイクは使っているものの自身の声で出だしの「アーアー…」の入り。こちらもフルで歌われていた。(曲が短いのもあるだろうか。)先日うたコンで歌われた時、改めていい曲だと思ったが、生で聴くのはやはり格別の感動がある。

 次が私の大好きカルチェラタンの雪。こちらは残念ながらフルではなかったが、相変わらずの贅沢なひとりミュージカル。

 バースのみの、に続けてうりずんの風(かじ)。そろそろ恋のフルバージョンが聴きたいです。うりずんの風は、「母になって」の歌詞がなかった気がする。メドレーゆえかもしれない。生で初めて聴けた曲の1つ。三線の音は、金子さんのキーボードで再現しているように見えた。(違ったらごめんなさい。)

 その後は、メドレーでも存在感を放つシクラメンのかほり。シクラメンも真綿色、薄紅色、薄紫と今回は綺麗に揃い、しみじみ聴き入る。何度聴いても、この曲は歌詞の構成の美しさと、布施さんの歌唱の素晴らしさが非常にマッチした名曲であると思う。いかんせん一番売れた故に、積年のファンからすれば飽きがきているのかもしれないが、やはり布施さんといえばこの曲、と言う位置にまだまだこの曲はある。

 続いて愛情物語を見ましたか。女性とのデートの時の小話のはずなのに、つくづく、聴くたび感動してしまう。確か布施さん作詞作曲と記憶しているが、やっぱり世界観を作るのが非常にうまいなぁと思う。1番までで歌は終わり、布施さんは袖へ。

 お召し替えの間、バンドによるインストゥルメンタル。パンフによればタイトルは愛情物語(To Love Again & Manhattan)

  お召し替え完了し、再度布施さん登場。今度は黒のジャケット、緑のチーフに黒ネクタイ。そして中に白いベストを着ていた。
 それからインストゥルメンタルの説明。これは愛情物語という映画で使われているショパンのノクターンと、マンハッタンという曲を編曲して欲しいと布施さんから井川さんに依頼をしたとのこと。音楽的表現力が不足していて申し訳ないが、なるほどノクターンでは切なさが、マンハッタンではちょっとした楽しい思い出のような懐かしさが非常によく表現されていると思った。記憶が正しければ、ノクターン→マンハッタン→ノクターンの順で構成されていた。

 そしてバンドメンバーの紹介。ベース川嶋和久、ドラム長谷部徹、ギター小堀浩。
今回産休育休から復帰されたと思しきパーカッションの服部恵さんについては、布施さんがマリンバとビブラフォン両方を操るんだ、と嬉しそうに紹介されていた。
キーボード金子泉。そして今回は端折られはしないが、白髪をいじられる井川雅幸。もう50年以上一緒にお仕事されているとのこと。

 続いてMC。最近「大丈夫かな、この星。大丈夫かな、この島」と思うことが多くある。2050年には平和な世の中が訪れるというが、井川さんがその時101歳、自分は…などと話される。
 
 旅立ってしまった友人へのレクイエムとして、次の曲を歌う。とのMCから、We Will Meet Again。この「友人」は西城秀樹さんだという話をどこかで聴いたが、相手が誰であれ、本当に相手を愛しく思っていたんだなというのが感じられる。最初のところで、上を見上げて、その相手をおーいと呼ぶような口の動きをされていたのが印象的だった。

 そのまま次は慟哭へ。前回のツアーでも入っていた、割とツアーコンサート登場頻度の高い曲。イントロの時から醸す雰囲気の重厚さ。何か一つ舞台を見た時のような錯覚にいつも陥る。大好きな「時の流れ 儚くあなたを 運んでゆく 夢の世界へと」のフレーズ。このフレーズで、人を抱き起こして空へ運ぶようなジェスチャーをいつもされるのだが、このところ足を開いて浅めに足を踏み込まれていた。でも今回は一回(確か最後の一回)、深く床に膝がつくくらいまで、膝を曲げて人を抱えていた。こういう折々の動きの深さ、大きさに、歌への感情の込め方の本気度を見る。太腿あたりを叩く仕草も見られた。最後の「夢の世界へ」はマイク無しで締められていた。圧巻だった。

 MC。異常気象があったりする世の中で、疲れている人の心だが、民度を持っていきたい。(ここで日本、と名言していたか記憶が確かでないが、ここは「この日本の国民として」ということかと思う。)最後のコーナーになるが、次の曲は皆さんへの応援歌、と仰る。布施さんを応援しに来ているのに逆に応援されて、なんだかこそばゆい、でも嬉しい気持ちになるのは、私だけだろうか。

 そして始まるまほろばの国。「大海の味」の味見は無し(このジェスチャーが筆者は大好きですが、ここ最近はない様子)。「草は踏まれて」のところで笑顔でトコトコ足踏みをされるのが、可愛らしい。一方で声は可愛らしいなどということは全くなく、太く優しい声で、応援される。最後の方の声の伸びは、やはり74歳は年齢詐称では?と思わせる。(2度目)
 途中印象的だったライトニングがある。夜空の星のように明かりが散りばめられ、流れ星が一筋渡った。「あっ、流れ星」と感じたその瞬間、何か思いもしなかったプレゼントをもらったような気持ちになった。後から思えば、これが布施さんから私たちのプレゼントなのだと思う。
 記憶が正しければ、最後の「まほろばの国よ」の「の」の音程が、通常より低く、おっ、となった。敢えてだったのか、突発的にこの音になったのかは定かでない。

 続けてついて来るなら。新しいミニアルバムにも収録されているこの曲。最初聴いた時には、女性への口説きの歌と思っていた。しかし、ラジオご出演の際に、これは作曲当時のスタッフ向けに作った曲だったということ、そしてミニアルバムには「こういうPOPSをまた作っていくけど、お客さんはついて来てくれるかな」と思ってエピローグ的に入れた、ということを仰っていた。このツアーの、このタイミングで入れて来るとは。これでついて来ないファンはいるのか。1980年バージョンも大好きですが、声に深みが加わって、口説かれ方がより艶っぽくなった感じがしました。

 曲終わり後、小堀さんに何か話しかけていた。読唇術ができたらなぁと、こういう時いつも思う。

 そして定番のマイウェイ。感情が溢れてなのか、最初の方で少し横に体を揺らされていて、その動きが可愛らしかった。でも声は、やはり可愛くない(褒めてます)。終盤なのに隙のない発声。自在に声を操っている感覚。欲しいところに欲しい音が来る。一番の「全ては心の決めたままに」は「に」が長く長く伸びて、そのまま「愛と涙と…」と入っていった。息継ぎはどこだったの?肺活量、どうなってるの?と脳内若干混乱。いや、74歳ですよ?とただただ舌を巻く。最後「信じたその道を あなたは行くだけ」に歌詞変更。「この→その」「私→あなた」に歌詞を変えただけなのに、なんでこんなに胸を突くのだろう。途中どのタイミングだったか、ジャケットのボタンを外していた。

 一旦布施さんが袖に引き、曲が終わる。拍手が鳴り止まず、そのままアンコール扱いの2曲へ。

 ピンクの麻のようなジャケットを着て布施さんが登場。ボタンは茶色。紫のチーフ。シルバーのバッジ。おしゃれ!ピンクが似合うなぁ、素敵だなぁと見惚れる。2階にも手を振る布施さん。
 アゥ!やフォーを入れながら、君は薔薇より美しい。前回のツアーは初っ端に持っていっていた曲。失礼ながら、後半だと声が出しにくいとか疲れがあるのかななどと思っていたのだが、とんでもなかった。この終盤で、伸びる声。「確かに君は変わった」が「静かに君は変わった」になっていた意外は、完璧。なんかもう、巻く舌がない。
 途中パーカッションの恵さんがタンバリン?を叩いて観客に手拍子を促しているのがよかった。このおかげか、観客の手拍子も多い気がした。一番会場の一体感を感じた瞬間だったと思う。
 井川さんのソロ。これもまた素晴らしい。一回井川雅幸独演会をやってみて欲しいくらい。

そしてラストはTime To Say Goodbye 。安定の太く優しく素敵な声。そしてラストの「イヨコンテ」の破壊力。緞帳下ろすタイミングは前のツアーより早め。ただただ、かっこいいわ〜!と思いながら、緞帳が下りるのを眺めていた。

 これで夢の時間は終わり。BGMの「遠い昔か物語りか」は、昔日繋がりで採用したのかな、などと感じながら、規制退場の案内を待ったのであった。

セトリ

 以下、セトリのまとめです。(パンフ参照)
勝手に想い出
昔日(せきじつ)の情熱(Caminito)
Mr. Bojangles
雪がおどる
流離の彼方で
それが僕です(Ese Tipo Soy Yo)

メドレー
YOKOTA AIR FORCE TOWN
これが青春だ
落ち葉が雪に
霧の摩周湖
カルチェラタンの雪

うりずんの風
シクラメンのかほり
愛情物語りを観ましたか


愛情物語(To Love Again & Manhattan) (インストゥルメンタル)
We'll meet again (パンフ表記ママ。ただ正しくはWe Will Meet Againかと思われる)
慟哭
まほろばの国
ついて来るなら


君は薔薇より美しい
Time To Say Goodbye

その他所感

勝手に想い出YOKOTA AIR FORCE TOWNでは結構舞台の上で踊られていました。こればかりは流石に1980年代のキレキレダンスほどはいきませんが、にしてもやっぱり74歳ではない。(3回目)ちょっと革ジャン着てやってみませんか?と思ってしまいました。

・帰宅後、この日発売されたミニアルバムも聴きましたが、どれも音源は音源の、ライブはライブの良さを感じました。一つだけ残念だったとすれば、セトリにはホテル・プルメリアが入っていなかったこと。いつかどこかで生で拝聴したいものです。

・セトリはパンフと完全一致でした。しかしこれまでの傾向を見ると、途中で曲を変えたりされるパターンもあるので、今後のツアーの動向がまた楽しみです。

まとめ

 初日なのに千穐楽のような錯覚に陥る、素晴らしい公演でした。昔日の情熱を思い出して、それを歌へ取り入れていくことで、また若返りの方策を手に入れたかのような歌の数々。ツアーは来年春まで、あと14公演あります。もしも布施さんの生の声を聴いてみたい方は、ぜひお近くの公演に、足を運んでみてください。

公演情報の詳細は以下で確認できます。




 



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