I SAW HER STANDING THERE

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One,Two,Three,Four!のカウントから入る、アルバム「PLEASE PLEASE ME」のオープニングナンバー。スタジオライブをコンセプトに創られたアルバムのオープニングに相応しいカウントだ。

しかしこのカウントは元々意図されて挿入されたわけではない。

この曲はアルバムで紹介したように合計12回のテイク(途中で終わっているもの含む)を録音しているが、結果的に我々が現在聴いているのはテイク1である。そしてこのカウントだけテイク9のものをくっつけている。

そもそもカウントが生まれた経緯は、納得のいくテイクが録れずにこの曲の主な作曲者でもあり、リードボーカルのポールマッカートニーの苛立ちが募った9テイク目、怒りを込めてやけくそのカウントを入れた、それがこのカウントなのだ。
よく聴けばFour!のカウントに怒りがこもっているように聴こえる。それがこのスピード感あるロックンロールナンバーの冒頭にぴったりのカウントにもなった。

このように偶然をうまく活用、むしろプラスに活用するのもビートルズの特徴でもある。

偶然の話は追々たくさんでてくるので期待いただきたい。

曲は純粋なロックンロールナンバー。
しかしコード進行は単純なロックンロールのいわゆる3コードに収まっていない。
キーEに対してAメロの後半部でE→A→Cという展開があり、このCが入ることで哀愁感を漂わせている。
Bメロ(サビ)はAから始まるコード進行でA→B→A→Eと展開されているが、まるで転調したような雰囲気を出して曲のメリハリを表現している。

演奏は実にタイトに決まっていて、チャックベリーの曲からパクったと言うベースラインが目立つが、ギターのアンサンブルが決まっていて、地味ながらジョンの弾くリズムギターがこのタイトさを生み出しているように感じる。

そしてビートルズの代名詞的なハンドクラップも初めて登場し、バックビートを演出している!

おもしろいのはジョンレノンが担当するハーモニーパート。
ハモってるのかハモってないのか得体の知れない摩訶不思議なハーモニーが楽しめる。

尚、この曲は正式には未発表映像であるワシントンDCのLiveで演奏されているが、その際のポールマッカートニーの「フー」が野太くてどこまでも続くような力強いボーカルを披露している。機会があれば是非こちらも聴いてもらいたい。

歌詞について、冒頭の歌詞は当初、
「Well she was just seventeen, never been a beauty queen.」
「彼女は17歳、美人コンテストには勝ったことはない」
となっていたらしいが、ジョンレノンが「この歌詞ダサいねー」とつっこみを入れ
「Well she was just seventeen, you know what I mean.」
「彼女は17歳、どういう事かわかるだろ?」」
とジョンが修正した。
ジョンレノンの歌詞に対する取り組み方、意味深で、リスナーに様々な視点から考えさせることを意識していたことがわかる。

何度聴いても飽きることのないデビューアルバムのオープニングナンバーなのでした!

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