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全国の「鈴木さん」のルーツ、一族の屋敷が老朽化、寄付を集めて復元へ

鈴木氏

全国の「鈴木さん」のルーツ、一族の屋敷が老朽化、寄付を集めて復元へ

和歌山県海南市の住民グループが「鈴木」姓のルーツとされる一族の拠点だった「鈴木屋敷」(同市藤白)を復元させる計画を着々と進めている。2021年度の着工が決まり、2022年度末の完成を目指す。復元後の活用法は未定だが、計画に賛同して寄付した全国の鈴木さんたちは「末永く愛される場所に」「全国の鈴木さんが屋敷に集まって懇親会を」などと、思い思いの夢を膨らませている。(岡田英也)
鈴木姓のルーツとされる一族は、熊野地方で神官を務め、平安時代末期に藤白王子(後の藤白神社)に移り住んだとされる。一族が熊野信仰を各地に伝える過程で、鈴木姓も広まったとみられる。
鈴木屋敷は木造平屋で、藤白神社の敷地内にある。建設時期は不明だが、江戸時代後期の絵図に描かれており、熊野三山を参詣する人たちにおもてなしをする場所としてもにぎわったと伝わる。1942年に鈴木一族の122代当主が死去してからは空き家となった。老朽化が進み、屋根が抜け落ちて壁も崩れている。
2015年に神社の境内の一部が国史跡となったのを機に「屋敷を復元して地域おこしに」と、神社や商工会議所関係者らで「鈴木屋敷復元の会」を発足。海南市と協力して、復元費の寄付を呼びかける活動に取り組んだ。
自動車メーカー「スズキ」(浜松市)は、復元に賛同し、200万円を寄付。鈴木修会長は読売新聞の取材に「熊野信仰を広めた布教者の姓に誇りを持っている。全国の鈴木さんの心のよりどころとして末永く愛される場所にしてほしい」とコメントを寄せた。
首都圏に住む鈴木姓の約60人でつくる「関東藤白鈴木会」も多くの会員が協力。会長の鈴木久元さん(82)は経営する会社と個人両方の名義で125万円を寄付した。
久元さんにとって、鈴木姓で思い浮かぶ人物は、源義経に仕え、源平合戦で活躍した鈴木重家。「歴史上の偉人と同姓なのが誇らしい。自分のルーツと関係する場所が復元され、町おこしに一役買えればうれしい」と話す。
海南市在住の鈴木姓を持つ復元の会のメンバーは、「鈴木姓にはスズキの会長さんのほか、野球のイチローさん(鈴木一朗氏)など有名な人が多い。中でも一番印象深いのは、元NHKアナウンサーの鈴木健二さん」と言う。
以前は、鈴木姓をそれほど意識していなかったが、活動を通じて誇りを持つ人が大勢いると知って愛着が増した。「知人に寄付をお願いし、一日も早く復元させたい」と意気込む。
海南市もインターネットなどで協力を呼びかけ、返礼品として屋敷の絵図をあしらった名刺大の「鈴木証明書」などを用意。「全国の鈴木家が集まって懇親会ができるといい」「偉大な先祖の遺産を後世に伝える一助になれば」とのメッセージも寄せられている。
市によると、昨年までに寄付は全国から約450件、3,000万円以上集まったという。国や県からの補助金と合わせて復元のめどが立ち、新年度の着工が決まった。寄付は8,000万円が目標で、引き続き、協力を呼びかけている。問い合わせは市企画財政課(073・483・8405)へ。

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