カムパネルラ

カムパネルラ
あの日、貴方はどうして遠くへ行ってしまったのか。
貴方の優しさがもたらした甘やかな罪悪感が
いつまでも僕の奥深くに根を下ろす。

貴方が優しい事を知っていて、僕は見て見ぬふりをした。
僕が正しいんだと思いたくて、自分の傲慢さに貴方を溶かした。
貴方が彼とすれ違う時、とても侘しい顔をしていたのを知っていたのに。
星祭りの日。僕は彼を笑い、馬鹿にした。
そんな僕を、君は水底から救った。

僕はあの日、月の光に煌めく天の川の中へ落ちた。
もがいてもがいて、意識が遠のく中、君の手が僕の体を雨露で煌めく草原の上へ引き上げた。
君の姿が星の中に埋もれていくのを僕はただ見ることしかできなくて。
君はそのまま夜空に消えてしまった。

君がつけたこの傷をずっと背負いながら生きていく。
一生消えないこの傷にずっと苛まれながら生きていく。
いつかこの傷が光に当たり、輝く日が来るのだろうか。
戻らないあの日、あの刹那に君は何を思っただろうか。
君の付けた傷を見る度、自分の過ちを繰り返し思い知る。

君が夜空に消えたから、僕は今も生きている。
僕が夜空に消える時まで、君に寄り添うように生きていく。
見つめる物全てに君の面影が浮かぶ。

君の目が眩むほど、そこは豊かであってほしい。

カムパネルラ。

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