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映画ディレクターからファッションデザイナーに転身 30歳ルワンダ人起業家の夢

  アフリカ大陸のほぼ赤道上に位置し、四国の約1.5倍ほどの小さな内陸国・ルワンダ。約3ヶ月で約100万人が犠牲になる民族間の大量虐殺(ジェノサイド)が起きたのは、ほんの24年前のことです。
 一方、現在は「アフリカの奇跡」と呼ばれるほどの安定した治安と経済成長を続け、当時、子供・もしくはまだ生まれていなかった「アフタージェノサイド世代」の20~30代の若者が手がけるビジネスも誕生しています。国内でファッションブランドを経営するルワンダ人起業家Joselyne Umutoniwase(30)さん=写真=にその思いを聞きました。 

 

 首都・キガリ中心部のこぢんまりとしたビル1階の店舗。白を基調とした店内には、アフリカの色鮮やかな生地が映えるドレスやシャツ、クッションやベッドシーツなどが展示されていました。ジョゼリンさんが手がける「Rwanda Clothing (ルワンダ・クロージング)」の旗艦店です。

 (ホームファッションを扱う店舗と隣接)

 Joselyne(ジョゼリン)さんは1987年、ルワンダの首都キガリに生まれました。幼い頃からファッションが大好きで、街中にミシン台を置き作業をしている女性たちのもとを訪ねては、裁断や裁縫の仕方を独学で習い、友人たちに手作りの洋服やスクールバッグをプレゼントしていたそうです。

 「その人の個性に合わせた、世界に一つだけの手作りの洋服を作りたい」。将来はテイラーになる夢を抱くようになりましたが、いざ進路を選ぶタイミングになったとき「お金を稼ぐのは難しい」と映像制作の道を選択します。
 2年間キガリの専門学校で学んだあとは、ディレクターとしてドイツに渡るチャンスも得て映画制作会社でドキュメンタリーなどの制作に携わりました。夫とも出会い結婚。充実した生活を送っていましたが、母国が復興に取り組む様子を見ているうちに「自分自身もその変化の一部になりたい」という思いが募るようになっていきました。

 (店内の様子。オーダーメイドで洋服を作ることもできる。シャツ30USD〜)

 迷うジョゼリンさんの背中を押したのは夫の一言でした。「好きなことがわかっているなら、そこからお金を稼げるようになればいいだけだよ」。2010年に帰国したあと起業の準備をすすめ、12年2月、自身の会社「Rwana Clothing Home LTD.」を創業。ルワンダ人女性で初となる、ファッションブランドを持つデザイナーになりました。

 デザインはクリエイティブディレクターを務めるジョゼリンさんが担当しています。アフリカの鮮やかな生地とヨーロッパで得たセンスも取り入れたデザイン性と高い縫製技術の評判は口コミなどで外国人客を中心に一気に人気を博しました。
 2014年に構えたちいさな店舗はみるみるうちに手狭になり翌年には約3倍の規模に拡大し現在の店舗へ移転。アメリカやヨーロッパから受注も増え、昨年からはインテリアなどホームファッションの展開を始めています。たったひとりで始めたブランドは、4年間で25人のスタッフが勤務するまで成長しました。

(店舗の真下には広々とした工房が。職人さんはおそろいのエプロンをつけチームをモチベートしているそう)

 「クリエイターとして、ヨーロッパに移ればキャリアにとってもより良いチャンスを得られるかもしれません」とジョゼリンさん。「それでも、キガリに戻りこの地に住むことを決めたことに満足しています。悲しい歴史ではなく『美しさ』を世界中に届け、ルワンダの、そしてアフリカのファッション業界が成長する力になりたいと思っています」。

Rwanda Clothingのホームページはこちら

(キガリ=石川奈津美)

#コラム #日記 #アフリカ #ファッション #起業

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石川奈津美

IT企業ニュース部門の記者・編集者。1987年生まれ。前職は国内報道機関記者、出版社編集者など。国内外の現場を歩いて「虫の目」で感じたことを綴ります。関心領域は、ダイバーシティ&インクルージョン。同調圧力で苦しむ人が少しでも減る社会になってほしいと活動してます。

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