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【前立腺ガン治療日記①】前立腺ガンになりました


前立腺ガンと診断される

前立腺ガンに罹患している可能性を示す「PSA数値」が高かったため、生体検査をしたところガンが発見された。ぼくの場合は、ステージ1だし、ガンの「顔つきが良い」のだそうだ。つまり、このガンは、すぐには大きな悪さをしないということらしい。前立腺ガンの根治(完全に治る)率はほぼ100%らしく、同じくガンで苦しんでいる方に比して、同じ「がん」と名前がつくことが申し訳ないくらい。

最初に見つかった時の主治医は、T病院のI先生だった。とても親切な先生で、初めてガンを宣告されたぼくに、治療方法としては、「前立腺摘出」と「放射線治療」があることを、丁寧に説明してくれた。多くの人は「摘出」をするらしいが、最近は「放射線治療」の技術も上がってきているのこと。しかし、この治療には長い期間の通院が必要になるらしい。

「摘出した場合のリスクは何ですか?」と聞くと、I先生は「射精がなくなります」と説明してくれた。どうやら、射精がなくなっても、擬似的な射精は残るとも説明された。人間の体は不思議なものだなと思う。「放射線治療」も体に放射線をあてるわけなので、やはり、前立腺の性機能には障がいが起こることが多いとも説明された。

摘出手術か放射線治療か

「子どもは大きいのですか?」と主治医のI先生に尋ねられたので、「2人とも大学生です」と答えた。I先生はおそらくぼくより10歳くらい若いと思う。つまりは「もう、性的な機能がなくなっても大丈夫ですか?」ということを聞いたのだろう。

遠くから札幌に通うことを考えて、I先生は「摘出」を推薦してくれた。「放射線治療」は放射線照射に20回以上通院しなければならない。札幌まで車で2時間の場所に住むぼくにはあまり現実的な治療ではない。ところが、ネットで調べてみると札幌市内いくつかの病院で、新しい医療機器の治療で「短期の陽子線治療」というのを発見。12回程度の照射でなんとかなると書かれている。

その話をI先生にも相談したところ「それならば、そっちの方が良いかも」と、早速紹介状を書いてくれた。しかも、他のガンと違い、前立腺ガンの「陽子線治療」は保険適応内なのだそうだ。どうして、前立腺ガンだけが特別扱いなのかはわからないんだけど「12日間ならなんとかお休みがもらえるかも」と、「陽子線治療」を行うことに決める。

長くお世話になっている保険屋さんにも連絡をとると、「渡辺さんの保険だと、ガンの場合は生前給付金が出ますね」と説明される。あ、そんなオプションつけたんだっけ?と、記憶にはなかったんだけれど、そのお金を使えば札幌に滞在しながら、治療費も充分支払うことができる。

陽子線治療開始、難題に遭遇

そして、今日から陽子線治療第1日目が始まった。

そもそも、放射線を体にあてるわけだから、体に良いわけはないのだけれど、ガンが進行するリスクと、放射線により発ガンするリスクを比べると、その危険性は0に近いくらいの統計になるらしい。そう聞いても、やはり1回目は、なかなか心配なるものである。

ぼくの担当をしてくれている看護師のSさんは、とても元気の良くて親切な人で、治療が始まる前に「大丈夫ですよ」と肩を叩いてくれた。なんだか、その優しさが妙に心にグッとくる。こんな、センチメンタルな気持ちなるのは、いつぶりだろか。

治療自体は短いらしいのだが、治療前に行わなければならない大きなタスクがある。12回の照射で毎回、体に残る尿の量を200mlにあわせなければならないのである。膀胱の大きさと前立腺の大きさのバランスをとるらしい。看護師さんがエコーで残尿を図ってくれるのだが、これがなかなか難しい。たぶん、普通にくらしてると、こんなタスクを与えられることはない。

このタスクを成功させるために、治療が始まる半月前に病院を訪れ、CT検査と合わせて尿をきっちり200ml溜める練習をした。有能な看護師のSさんと相談しながら「このタイミングで排尿し、この量を飲めば、治療時にはちょうど200mlの尿が溜まってるはずです!」と指示をもらう。

そして、本日、治療第一日目。看護師Iさんの教えを守り、尿の量の測定を行う。「渡辺さん、すごい!ピッタリですね」と嬉しそうな看護師Iさん。医療従事者のかたの経験則というのはすごいなと、正直感心してしまった。良い滑り出しの陽子線治療。これからも、無事に進むのだろうか。

そして、明日も治療は続く。

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