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目指すは、「事業もつくれる広報」 町田 大地 さん #Beee!な人々

Beee!で一番広報歴は浅いのに、大活躍中のVACAN広報のまっちーこと、町田大地さんにどうやって広報の仕事を身につけたのか?その魅力についてお話を伺いました!(聞き手:面白法人カヤック広報 梶陽子)


コロナ禍に転職。技術職から、編集、そして広報へ

梶:広報歴11ヶ月とは思えない活躍をしている、まっちーこと町田さんに今日は話を聞いてみたいと思います!まずは簡単にこれまでのキャリアを教えてください。

町田:大学院まで再生医療の研究をしていたので、1社目は化学メーカーの研究職に就職しました。ただ大学院の時に起業家の方と関わることが多かったこともあり、その後転職しIT企業で新規事業の立ち上げに参画します。事業のピボットなどを経験した後、広報に興味を持ち今の会社に広報として入社したというのがざっくりした私のキャリアになります。

梶:本当に全然広報畑じゃないんですね!しかも、唯一広報とかぶっているユーザーベースでの編集という仕事も特に得意ではないという・・では、その後現在のバカンに入った理由はなんですか?

町田:前提としては、スタートアップと仕事をしたいとか、ないしは、スタートアップで仕事をしたい、みたいな思いが、もともとあるんですね。

ユーザーベースのINITIALの仕事はすごく楽しくはあったんですけれど、何をしたくて化学メーカーから転職したんだっけ?ということを、コロナ禍ということもあって、考えるタイミングがあって。
ースのINITIALの仕事はすごく楽しくはあったんですけれど、何をしたくて化学メーカーから転職したんだっけ?ということを、コロナ禍ということもあって、考えるタイミングがあって。

梶:コロナ!確かにコロナ禍での転職ですよね。

町田:在宅で時間もあるから、何をやりたいのかをじっくり考えました。とはいえ、もう新卒ではないので、何かしらのバリューを出せる部分がないと転職は難しい。だから、編集という仕事をやっていたので、そこで何かしらのバリューが出せるかなと。
広報って、良くも悪くも、業務範囲がすごく広いので、「これだ」という何か1つのスキルが強い人だけが生き残っているというイメージよりは、いくつもの種類の、本当にいろいろなスキルがある中で、掛け合わせで勝負している人が結構多いと思ったんです。

梶:広報担当者とのやり取りの中で、そういう分析をしているのが面白いですね。

企業規模に関係なくネタで勝負できる、広報の醍醐味


町田:僕が広報に一番惹かれた理由は、スタートアップに限らずの話なんですけれど、成長している企業というのは人・物・金のすべてが足りない。その中でも広報は、基本的にお金を使わずに、企業の価値をどうやって伝えるか、というところがある。

梶:確かにそうですね。今のカヤックも広報予算はほとんどなくてパブリシティです。

町田:極端な例ですけれど、大企業の広報の仕事と今いるバカンという企業の広報の仕事を比べたとしても、純粋にお金があるかないかというだけの勝負ではなくなる。企画とか露出の仕方さえ上手くいけば、お金や人がなかったとしても、同じ、もしくはそれ以上の成果を出せる可能性が十分にあると思ったんです。
僕がもともとやりたかった、スタートアップと一緒に何かをやるとか、ないしは、スタートアップでバリューを出すというところも、上手くいけば、大企業とかとも互角に勝負できるし、すごくやりがいのある仕事じゃないか、と。そういうことで、職種として広報を決めたという感じです。

梶:広報になるまでの経歴や広報に決めた理由が本当にユニークですね。私の時代の、今もそうかもですが広報って、いわゆる、マスコミ志望が結構多かったと思うんですね。

町田:たしかに、そうですね。

梶:TVや新聞、雑誌などマスメディアの就職希望者が、マスコミの次に選ぶのが広告代理店とか、メーカーの広報、PR会社とかそういう流れが多かったかなと。私もマスコミ志望からだったので(笑)
だから、全然違う動機、理由で、とっても新鮮に感じました。

町田:企業の規模にもよる気はしますけれどね。やっぱり、スタートアップじゃない場合は、広報の動き方としてもちょっと違う部分もあるような気がするので、そういうところの違いも、少なくともあるのかなと。

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AIとIoTを活用してあらゆる空き情報を配信するスタートアップ、株式会社バカン

初めての広報で、一人広報。本から得た知識で実践

梶:では、実際に広報の仕事に就いてみて、どうですか?このコロナ禍で、一人広報だと、どうやって進めていけばいいのか誰かに気軽に聞けないし、プレスリリース1本とっても、誰も教えてくれる人がいないじゃないですか。文章がすごく好きだったわけでもない訳で・・

町田:そうですね。学び方としては、広報に限らず、いろいろと新しく始めるときはそうなんですけれど、基礎的な知識を土台としてつけたあとに応用していくという方法をとってます。まずは、「広報」と名のつく本を片っ端から買ってみて、それを読む。そうすると重複する内容が出てくるんですが、おそらく重複するものは結構重要な内容なんだろうということで、そこを知識として身につけました。応用の部分は正直、場数とか、他の企業の例を見るしかないと思っていたので、そちらはもう、やるうちに慣れていこうと思っていました。

とはいえ基礎的なところも、本で読んだ知識を実際にアウトプットできるかどうかはまた別の話。3か月間はお試し期間ということで、とりあえず何でもチャレンジさせてほしいと、社長に許可をとりました。
片っ端から本で得た知識のチェックリストをつくって、上から順番に、どんどん試していきました。その中で、特に自分がバリューを出せそうなところを重点的に攻められるようにして、それが得意なのか、不得意なのか、ある程度短期間で習得できそうなのか、できなさそうなのか、みたいなことを確認していきました。そうして最終的に、4か月目からは、重点的にやる領域を定めてやっていったという感じです。

梶:チェックリストというのは、例えばどういう項目があるんですか?

町田:メディアリストの作成とか、いわゆる、川上から川下まで、みたいな感じです。
まずは自社のサービスの理解みたいなところで、各プロダクトの紹介資料や企業パンフレットを作成することか。次に、外部へ向けてアプローチをとるということで、メディアリストの作成、メディア向けの企画の作成、プレスリリースの作成、導入事例の作成といった感じです。

梶:すごい左脳的ですね!プレスリリースは初めてなのに、誰にも教わらずにどうやって作成したんですか?

町田:他社でメディア露出が多くて、かつ、ToBのもの。自社と領域が結構かぶっているところのプレスリリースを片っ端から見て、その中で、自分達でも出せそうな切り口をいくつかリストアップして、それをとりあえず書いてみる、みたいな感じです。

プレスリリースは型を決めて効率化

梶:なるほど、すごい!私の場合は前職がユニクロだったので、先輩もいるし、上司もいるし、自分が書いたリリースを添削してくれる人もいて。そういう環境から広報をスタートしたので、0からというのは本当にすごい。不安とかはなかったですか?このプレスリリースは出していいのかな、とか。


町田:すごく運がいいことに、今のマーケ責任者の方が、もともと新聞記者の方だったんです。なので、文章の添削みたいなところは、その方にやってもらいました。それからもう1つ、プレスリリースのいいところがあって。プレスリリースは別に、文章とは言っても、感情を揺さぶるような文章を書くというよりも、どちらかというとファクトベースで、客観的にわかりやすく書くという部分なので、1回型さえできてしまえば、あとはそこにブロックのように当てはめていくだけで、同じクオリティのものがつくれるイメージがあったんです。だから、ブロック設計図の作成のところだけをその記者の方と一緒につくって、という感じでやっていました。

梶:リリースを設計図として考えたんですね!確かに、5W1Hに加えてストーリーの背景があって、展望があって、みたいに書いていくことを、ある程度ブロック化はできますよね。

町田:プレスリリースのターゲットをどこにするかによって、何について書くのか、という型があったりする。機能もそうですけれど、型があるので、ジャンルとプロダクトごとにテンプレートみたいなものをつくって、最低限の編集だけで同じクオリティのものが出せるようにする、みたいな。

梶:一人広報だから、ちゃんとそういうことも効率化を考えたんですね。感心されっぱなしです。

町田:本当に、できないながらの生存戦略みたいな感じです。笑

梶:3ヶ月チェックリストを元に実践して、そのあとは重点領域を決めて進めていく中で、これは上手くいったなと手ごたえを感じたことや気付いたことはありますか。

町田:大きく分けると、3つあります。
1つは、メディアリストみたいなところは、短期間でいかに繋がりをつくろうとしても、時間も有限ですし、そもそも1人しかリソースがないので、150人分のリソースをつくれるかと言われると、やっぱり厳しい。なので、メディアとのリレーションを万全につくるというところは最初から捨てて、メディアに取り上げられやすいかたちの共通点を早く見つけるということを意識していました。

2つ目は、プレスリリースも型化してしまって、極力自分の編集によるエラーとかを減らすこと。力を入れないプレスリリースも、最初の頃は結構出していたので、そういうところに時間をとられないようにする。仕組み化の部分ですね。

3つ目は、今も改善中ではあるんですけれど、メディアスコアを導入したこと。定量的に、目指す場所や、何をやるかということを表せるようになったので、自分にも会社にも、すごく良かったと思っています。議論する場所でも、「こういう背景が」とか、いちいち長々しく説明しなくても、「メディアスコア的に、ここを狙うとこういう結果になるので、こういう施策をやります」みたいなコミュニケーションをとれるようになれました。


広報の化学反応を求めて、Beee!へ

梶:初めて広報になった人も、広報をずっとやってきた人にも、メディアに取り上げられやすい型やプレスリリースの仕組み化、そして定量的なアプローチを考えることは参考になりますね。

町田:広報を初めたばかりの人はどちらかというと、再現性を見つけるというほうにフォーカスしたほうがいいんじゃないのかなと、個人的には思っています。切り口とか見せ方で、1個上手くいったら、何かそれと同じ方法を横展開できないだろうか、という思考にする。
企画出しがすごく上手い人というのは一定数いて、同じサービスとか、同じようなシチュエーションだとしても、人によってネタの出し方が全然違う。これは経験値的なところもあると思いますし、感性的な部分もあると思うんですけれど、そういうところを短期間でキャッチアップするのは、結構難しいと思っているんです。

梶:確かに。企画出しは、広報の経験値やメディアとの付き合いの中で、メディアインサイトを理解することも大切になりますしね。では、Beee!に入った理由を教えください!

町田:Beee!に入った理由は、意識してインプットやアウトプットをしたり、誰かと関わる機会をつくらないと、自社内のことだけで日々終わってしまうという感覚があって。そうすると、自分だけの力だと、化学反応ではないですけれど、突発的に自分のアイデアが飛躍するとか、能力が向上するということは、起こしにくいと思っていたんです。

広報コミュニティって、多分他にもいくつかあると思うんですけれど、情報量が多すぎると、何をとればいいのかわからない。Beee!は少人数で有料なので、比較的何かしらの目的意識とか、「こういうことをやりたい」みたいなことがある人達が多そうだなと。あと、スタートアップ、ベンチャー、フリーランス、大企業と業種も事業規模も違うところがすごくいいと思って入った感じです。

梶:入ってみて、どうでしたか?

町田:他の方がされているふとしたつぶやきとか、オフラインで会うきっかけとかは良いなと思います。情報量が毎日活発過ぎないところも、すごく心地いいと思ったりします。


社内広報でラジオパーソナリティーに。目指すは、「事業をつくれる広報」

町田:広報をやってよかったな、ということがもう一つあって。
皆リモートワークになったので、社内広報のために社内ラジオを始めたり、全社会の司会をやったり。そういうことは、広報というポジションだからこそ機動力高く動けるので、すごく楽しいと思っているところではあります。

梶:社内ラジオって、どんなことをやるんですか?

町田:社内ラジオは、毎週金曜日にゲストを1人呼んできて、その人の人となりとかを45分間ひたすら深掘るという社内限定のラジオです。
リアルタイムの配信なので、聞いている人達は皆Slackでコメントをしてくれて、結構アクティブにコミュニケーションをとれる感じです。

スクー様用資料

町田さんが発案した社内限定ラジオ。株式会社バカンの社長、河野氏もゲストとして登場した。

梶:始めたきっかけは何ですか?

町田:そもそも僕がリモート入社したので、周りの人がどういう人なのか、全然わからなくて。業務上の人となりはわかるんですけれど、趣味やこだわりは全然わからない、ということがあったんです。それで、僕がわからないのであれば、僕と同じような境遇で入った人達も結構いたので、その人達も同じようにわからないんじゃないのかなと。なので、意図的にそういう場をつくったらどうかなと思って始めました。

梶:思いついたら、「いいよ」といってくれる自由な会社なんですね!

町田:そうですね。すごく自由だと思います。

梶:何でもフットワーク軽くチャレンジさせてくれるスタートアップの自由な風土がまっちーに合っているんですね。今後挑戦したいことってありますか?自分で起業したいとか。

町田:自分でやるかどうか、ということにはそんなにこだわりはないですけれど、やっぱり、サービスをつくるとか、事業をつくるということには、すごく興味があって。
だから、「事業もつくれる広報」みたいなものが憧れですね。サービスをつくっても、知ってもらわないことには使ってもらえない。特に、ToCに近ければ近いほどそういうことがあるので、最初から広報戦略込みでサービス設計ができるのであれば、それはめちゃくちゃ強い気がするんです。

梶:「事業をつくれる広報」、まっちーならすぐにできそうな気がします!

町田:挑戦したいですね!
まだまだ駆け出しですが、まずはきちんと自分が勝負すべき土俵で成果を出して「事業をつくれる広報」に向けて駆け上がっていければと思います!(笑)

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