憤怒の芋

僕の中で最古の記憶は、幼稚園に通っていた頃のものである。

年中さんか、年少さんか。とにかくその頃の僕は荒れに荒れていた。肌荒れではない。肌はピチピチだった。

まさにギャングスターである。積み木を巡って抗争を繰り返したり、ツルツルの泥団子を守り育てる日々。守れなかった時は、泣いた。

どの記憶がいつのものか、時系列は曖昧だが、鮮明に覚えている出来事が1つある。

その日は芋掘りだった。みんなで校庭に集まり、列になって戦場へと向かう。奴らは、芋どもは、腰を据えて待っている。土の中で。

去年も経験済みである。流れはわかっているんだ。僕を舐めるな。この園の児だぞ。

だが、予想外の出来事が僕を襲った。

クゥ!


尿意…!

すまないみんな、少し待っていてくれ!まずはこの問題を解決しないと。なに、芋は逃げない。

この時、僕はなぜか2階のトイレに走った。ここだ。これが恐らく人生最初のミステイクだ。ループの原因になるかも。時空連続体を壊してしまったか。

トイレを出た僕は受け入れ難い事実を目の当たりにした。

すでにみんなは門の外に出ていた。僕を置いて。

なぜ?どこで道を誤った?クソ、転落人生の始まりか?

解放したはずの尿意と共に初めての感情が湧き上がった。

鮮明に覚えている。土の匂い、階段の塗装のハゲ。

その日僕は誰とも口を聞かなかった。

この怒りをくらえ。掘り尽くしてやる。

聖戦だ。

この日から僕の、尿意との長い戦いが始まった。



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ハッピージャムジャムサイコー踊ろうよ
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小石マガジン

小石を積み上げる感覚で書いたものです。 小石マガジンのイントネーションは、やしきたかじんと同じですね。
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