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プロダクトアナリティクスとデジタル体験分析の両方を導入するべきなのか?

これらの製品の提案を受けた人はどちらを導入したら良いか?と考えたこともあるかもしれません。
そうした際に、ベンダーや代理店からは、次のような助言を受けたこともあるでしょう。

理想的には、双方を導入することが望ましいです

とあるコンサルタント

機能やユースケースの異なる性質からこのようなアドバイスをするのは簡単です。ただ、ブランド企業からすると、二重に投資をすることになるので「そう言われてもなぁ」というところではないでしょうか。
私自身の見解としては、今から両方を導入する必要はないと考えています。

両方を導入する必要がない理由は以下です

1. ツールの効果的な活用が困難
2. 施策の実行が追いつかない
3. 機能の重複

それぞれについて補足させて頂きます

1. ツールの効果的な活用が困難

エンタープライズ向けの分析製品は、データ民主化を謳っています。これは分析担当者やデータサイエンティストに限らず、マーケティング、EC、営業、ITなどの関連部門が協力してデータを共有し、分析を進めることを意味します。
分析ツールを検討する分析担当者やデータサイエンティストは、適切なツールを選択しています。日々も様々なツールを使い分けながら業務をされていると思います。
い方で、民主化で含まれるユーザー部門・業務部門の多くはそうではありません。
本業をしながら1つのツールを浸透させるだけでも十分な手間と時間がかかります。成功の実感を得るためには、感覚的には早くても半年、あるいは1年以上の時間がかかることもあります。この手間を2つのツールにん分散することは現実的ではないでしょう。

2. 施策の実行が追いつかない

以前にも触れましたが、分析ツールで得たインサイトを活かすためには、活動を改善する必要があります。(例)コード修正、UI改善などのエンジニアリングが関わるものから、マーケティング活動の変更などツール外での行動の変化を含めるものもあります
どのツールも、素早く優れたインサイトを提供できることが本質的なメリットですが、施策実行には優先順位をつける必要があります。
単一のツールであれば同じデータに基づいた判断がしやすいとは言えますが、異なるデータやロジックからのインサイトの優劣の判断をするのはより難しくなります。

3. 機能の重複

数年前、デジタルプラットフォームの行動分析ツールは3つのカテゴリーに分けられ、Web分析(GA、AAなど)、プロダクトアナリティクス、デジタル体験分析と呼ばれていました。しかしながら、機能はどんどんと重複しています。Google AnalyticsもGA4になり、イベント設計や活用にナレッジが必要ではありますがプロダクトアナリティクスとの重複が生じています。
ContentsquareはプロダクトアナリティクスのHeapを買収(https://contentsquare.com/heap/)したり、Amplitudeは体験分析の機能であるセッションリプレイ(https://amplitude.com/session-replay)を追加したりしてきています。
将来も機能の重複は避けられないため、今から両方を導入する必要はないと考えます。

大きな方針では民主化を目指すツールと特定の用途に特化したツールの組み合わせを検討することが現実的かつ適切だと思います。

  • GA4はWeb解析チームが担当し、プロダクトアナリティクスや体験分析を通じてデータの民主化を進める

  • Amplitudeではデータの民主化を進めつつ、UIチームはヒートマップツールを利用する

などです

もちろん、例外は存在します。
現在、一部の大企業では両方のツールを導入しているケースもあります。それらの企業では民主化軸の使い分けではなく、各ツールを独立して利用しています。
大企業や売上の大きなオンラインビジネスの場合、チームごとに最適なツールを利用することで収益を最大化できるため、使いやすいツールを導入することが良いと思います。

企業やオンラインビジネスの規模、組織構造によって最適解は変わってくると思います。皆様のデータ活用が促進することを願っています。
現在のプロダクトアナリティクスとデジタル体験分析の使い分け、については機会があればまとめてみたいと思います。(踏み込んだ内容にならざるを得ないので公開して良いか、が悩ましいところだったりします)

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