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日本は5年遅れ、中国の信用スコア「芝麻信用」の現状

最近LINEも信用スコアの取り組みを始めましたね。そして信用スコアの先行事例といえばAlibabaの「芝麻信用」です。

今や無くてはならない「芝麻信用」。以前書いたnoteでも度々登場しました、今日は「芝麻信用」の今を紹介します。

(急いで読みたい人は「ここからが本番!」ってとこからお読みください)

■そもそも「芝麻信用」って何?(知ってる人はとばして)

「芝麻信用」の「芝麻」というのが、ゴマのこと、発音が「ジーマ―」だから日本語のコンテンツではたまに「ジーマ―信用」という書き方も見かけます。

中国のwikipediaの百度百科には下記の記載があります。

「芝麻信用」はアント・フィナンシャル(アリババ系)の第三者信用機構。クラウドコンピューティングや機械学習などの手段によって、一般人の信用状況を評価し、クレジットカードや消費ローン、融資レンタル、ホテル、賃貸マンション、公共サービスなどの面で消費者と業者にサービスを提供

設立の背景は、2015年1月5日、中国人民銀行が8社に個人信用業務の許可を下し、これに「芝麻信用」や「腾讯征信」(Tencent興信)が入ってます。

■何をもとに信用スコアを測定?

アリババの運営するアント・フィナンシャル(アリババの決済プラットフォーム運営企業)はアリペイやタオバオのビッグデータを持ってますから、「芝麻信用」の評価システムもそれらのデータを活用していると考えられます。

また「芝麻信用」の公開情報によると、「信用履歴」「行動選好」「約束を履行する状況」「身分特質」「人脈関係」の5つの次元で評価しているとのこと。更に、警察などの公共機関と提携することによって、より信頼性の高い評価を作り出しています。(ちょっと恐いけど)

これを簡単に言い換えると、クレジットカードの返済(アリペイ経由)やオンラインショッピング(タオバオやTmall、または決済がアリペイ経由)、オンライン振込み(アリペイ経由)、オンライン資金運用(余额宝など)、水道やガス、電力料金の支払い、レンタル情報(家からシェアバイクや充電器まで)、社交関係(アリペイの友人の信用状況など)のデータを分析して評価する、となります。

当然セキュリティには気をつけていて、本人の許可がなければ、第3者からのアクセスができません。そして、本人にも点数だけが表示され、それ以上の情報は開示されません。

■スコアの計算方法の例

↓まずはサービスの画面を紹介します、見たことある人いますか?

「芝麻信用」の入口はアリペイにあります。↑トップページはこんな感じです。(アリペイはぜひダウンロードしてみてください、最強のアプリに向かって爆進中です)

キャプチャはうちの中国人研究員のもので本人希望で少し隠しました。800以上の点数は評価システム内で「極めていい」という評価だそうです。羨ましい。。

■(ここからが本番!)めちゃ便利な使われ方

研究員曰く「最初このサービスの利用にはすごく抵抗があったが、かつて急な出張があったときにどうしても利用しなければ泊まれる宿が見つからなくて渋々使った。その後あまりの便利さに普段も使うようになった」そうです。

そりゃ抵抗ありますよね。アリババが自社のデータを利用して勝手にユーザー採点することに対して良い気がする人なんていません。また、信用点数なので悪用されたらいろいろ怖いです。(そしてこれが政府にも把握されてるかと思うと...)

ただ一度使ってしまうと止められない便利さがあるのです。今や信用値でこんなことができます。↓(一部)

・ホテルや宿で担保なしの予約とチェックイン
・チェックアウト手続きなしで素早くの利用
・デポジットなしのシェアカー(車のレンタル)利用
・デポジットなしでいろんなもののレンタル
・デポジットなしのシェアバイクや充電器
・配車料金の後払い(次の日払うとかも大丈夫)

また、トップページで表示されたサービスはこんな感じです。

↑(650点から)品物を先にお宅に送付、試してOKでしたら購入で構わない

↑(600点から)デポジットなしで使ってみたいデジタル商品やGoProのような普段使わないもののレンタル可能

↑(650点から)消費の約束というもので、期間内の消費額を約束すれば割引が付きます

凄いですよね、LINEは日本でこれをなぞれば絶対成功すると思う。

■中国ユーザーを良く分析したサービス

中国は一般的にチャージ・デポジット文化です。そしてチャージに応じて割引をつけたりするんです。例えば500元チャージすれば残高が550元、1000元チャージすれば残高が1200元になる、みたいなやり方。あるいは会計から2割引くよ、のケースもあります。

これらは確かに安くなりますが、いつつぶれるかわかりませんのでお金を入れることの不安が付きまといます。(ちなみにデポジットならではのビジネスモデルも秀逸でこれは今度紹介するよ)

そのペインを解消したのが「芝麻信用」。これを使えば約束すればお金を入れなくても割引価格で消費できます。

↑例えば15日間でこの飲食店で50元を消費する約束をすれば、1割引きです。

↑このデザート屋に30日間で2回来る約束をすれば、割引が成立します。

↑このネイルサロンで60日間以内に500元の消費を約束すれば、割引が成立します。

レンタルに関してどのくらいデポジットの免除ができるかについても試してみました。

↑例えばこのキャノンの高いレンズ、スコア800点以上だと、1万元のデポジットは全部免除できます。

↑もう一人750点以上800点未満の友達に同じものを試してもらったら、8000元しか免除できません笑。スコアに応じて割引額が変わる。

■ビザの取得にも

日本のみなさんはショックを受けるかもしれませんが、中国人はビザを必要とする国が日本より圧倒的に多いです。そして日本がこんなに近いのにビザが無いと旅行にすら行けないんです。

中国人にとって外国のビザをもらうためには多くの場合、銀行の残高や財務能力に関する証明が必要です。そこで「芝麻信用」が登場。スコアが高い場合はビザの書類の免除や早めの申込みも可能になるのです。これも一部の人たちには必要不可欠なものになっています。


中国進んでますよね、の典型的なサービスだと思います。やっとONLINEペイメントが普及し始めた(普及できるかな?)日本との差はかなりあります、もう5年前が今の日本と同じような状況でしたから。

セキュリティ大丈夫?の不安は常にあると思いますが、圧倒的便利さの前にはもう巻き戻ることはできないと思います。日本もLINEスコアができて、これからどんどん便利になると良いですよね、ビジネスチャンスに溢れてると思います。僕も中国のサービスのパクリで一つ秘密のアイディア持ってるので、Lineさん一緒にやりませんか。


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(参考資料)

https://baike.baidu.com/item/%E8%8A%9D%E9%BA%BB%E4%BF%A1%E7%94%A8

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