「デザインのデ」 #1 メンタルモデル

ふたつのボタン


解説

おそらく多くの方が、左が前に進むボタンで、右が後ろに進むボタンだと思ったのではないでしょうか。このように、モノを使う人が、それがどのように動いているのか心に思い描いたイメージを、「メンタルモデル」と言います。


たとえ、それが間違っていたとしても


動画の中で、右のボタンは無反応でした。しかし、種明かしをすると、実際は無反応なのではなく、右は前に進むか後ろに進むか切り替えるボタンで、左はその方向に進ませるボタン、だったのです。それをふまえてもう一度上の動画を見てみてください。その通りの動作をしているのが分かると思います。

まだよく分からない人は、次の動画を見てみて下さい。

これは右のボタンの形状を変えて、ランプを追加しただけで、あとの動きは全て同じですが、しっくり来る動作になっていると思います。

今見てきた例のように、メンタルモデルと実際の動作は、違うものになってしまう場合があります。ここでは、実際の動作を「動作モデル」と呼ぶことにします。図にまとめると次のようになります。

デザインをする上で、メンタルモデルと動作モデルの関係は非常に重要です。動作モデルは、使う人がどう考えるかとは関係なく、現実に起こる動作です。一方、メンタルモデルは、使う人がモノを見て得られた情報から、勝手に心の中で作り上げるものです。今見てきた例のように、使う人の中に間違ったメンタルモデルが作られてしまうと、使い方が分からなかったり、間違った使い方をすることに繋がります。そのため、使う人が、正確な動作モデルを反映したメンタルモデルを構築できるように、適切な情報を伝える必要があります。

しかし、伝えられる情報には限りがあります。完全な動作モデルを記述したマニュアルを用意したとして、誰も読むことはないでしょう。大切なのは、使う人の中に大雑把に正しいメンタルモデルが構築できるかどうか、です。皆さんも、上のクルマが一体どういう謎の原理で動いているかは分からないでしょうが、操作をする上ではボタンの役割への正しい理解さえ得られれば十分でしょう。

そのために、モノを見たときに、正確なメンタルモデルを構築するための手がかりを色々と仕込んでおく必要があります。上の例では、右のボタンをデザインし直すことによって、手がかりを増やしました。このようなことを行うためには、アフォーダンス、シグニファイア、対応づけ、制約、フィードバックといった事柄への理解が重要です。これらは次回以降解説していきます。

今回のまとめ

・使う人が心に思い描く動作イメージが「メンタルモデル
・間違ったメンタルモデルは使いにくさにつながる
・大雑把に正しいメンタルモデルを構築出来るように、手がかりを作る必要がある

#0 はじめに | #2 アフォーダンス

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