フリースタイル日記20191109

ヘッドライトが流れている。薄汚れたタイルをモップ掛けする店員。子どもの口にハンバーガーを差し出す父親。奇声が横切る。すれ違う自転車。ぼくは口内炎が痛い。ポテトの塩が唇を掻く。冷めたコーヒーは冷めたコーヒー。外はもう夜。窓ガラスに映る店内に気持ちを向ける。少しだけ救われる。坊主頭の少年がおもちゃの電車を照明に掲げる。
シャッフル再生。不意にオザケン。軽快な世界のスライス。薄皮を剥がすみたいな切なさ。さよならなんて言えない。あの子に会いたい。ブルゾンのジッパーを上げ下げする。
スマホを滑る親指とポテトをつまむ人差し指と親指。貧乏ゆすりは少しも世界を揺らさない。
ローファーの群れ。ポテトフライなげっぷ。店内に溢れる油の匂い。染み付いたかもしれない、その寸前に扉へすごすご。ゴミを分別し、気持ちも分別しながら外へ出たのさ。リサイクルする昼と夜。
ドライブスルーに入るピンクのマーチとぶつかりそうになる。
街灯の光が落ちる歩道にダウンとマフラーが似合い始める季節。

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