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浮かぶこともできない

仕事を辞めた。

もともと一年更新の仕事で、非常勤。もちろん薄給で退職金もない。
それでも社会復帰がてら専門職のキャリアを積めるのは嬉しかったし、週4勤務は裁判を進めながらの生活には有難かった。
とはいうものの。
裁判が成立して婚姻費用の支払いが終わり、更に22年10月からパート・非常勤も条件を満たせば厚生年金加入となったため、手取りが13万円ほどになってしまった。
養育費は支払われているものの、これは「22歳に達した月まで」なので私の場合はそれほど長く支払われるものではない。
自分の老後を考えた時、今の仕事を続けてゆくのは難しくなったわけだ。

そもそも、この職場に嫌気がさしていたし、もう限界はとっくに過ぎていた。
これ以上不正に加担したくないし、いじめともいえる上司のふるまいにもうんざりしている。
次の仕事が決まっていなくても辞める。
そう決めてしまって、そのための筋を通し、全く頼りにならない上司を放置して人事部と直接退職手続きを進めている。

婚姻を終了し、雇用契約も満了。
無職42歳独身、職歴ほぼなし、大学生二人を抱える母。
なんという、不安定でどうしようもない肩書だろうか。

それなのに、私は積極的に職探しができないでいる。
「これは!」と思った仕事はあったのだけれど叶わず、4月からの無職がほぼ決定しているというのに。

つまりは今、私は立ち上がる力がない。

元夫と同居し、罵詈雑言や突然変わる機嫌に振り回されていたころ、私は濁流の中にいるような気持だった。
黒くよどんだ流れの中に胸のあたりまで浸かって、子どもたち二人をどうにか抱えて、流されまいと必死に足を踏ん張ているようで、それはそれは緊張状態が強いものだった。
別居して、その濁流の、流れを遮ることはできたし子どもたちは岸にあげられたけれど、すぐに水は引かなくて、泥水をたっぷり満たした湖の中に一人で立っているような感覚だった。水が顎についているくらいの水位で、休みたくなって顔を下に向ければすぐにおぼれてしまう、少しの波でもおぼれてしまう、そんな心地だった。

長い長い裁判を経て、私を覆っていた泥水は、徐々に水位を低くして、離婚成立とともに私の膝くらいにはなった。もう水も濁っていないし、穏やかに流れていて風通しもいい。
けれど、長い間頑張って立ち続けた私は、すっかり疲れてしまってそこに座り込んでしまっている。

結果。私はまだ顎まで水につかっている。
そして、疲れきっていて立ち上がれない。

どうしたものか、と思うけれど、思うほど体も頭も動かない。

あたうことならば、しばらく眠りたい。
深く深く、眠りたい。

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