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誰かに言葉を届けたい

BS NHKのドラマ『舟を編む 〜私、辞書つくります〜』を観終えた。
そのタイトルの前半にあるとおり、三浦しをん著『舟を編む』の映像化作品だ。
何度目か、の。

私が観た限りで映画、ドラマ、アニメと手法を変えて映像化していて、それぞれに違った視点や表現があって、それぞれが良い。
もちろん原作の素晴らしさあってだし。
ただ、それぞれが良いがために今回のドラマ化を知ったとき、つい「またやるの?」とも思った。
良さを出し尽くしたのではないのか、そんな思いがあったのだと思う。

放送前の私よ。土下座しろ。
土下座で製作陣、とくに脚本家さんに謝れ。

今回の『舟を編む 〜私、辞書つくります〜』ほど、とにかく言葉というものを大切に、丁寧に、そして精密に扱っていたものはなかったと、私は感じてしまう。
これまでの映像化作品と違って登場したスマホ画面にどんな言葉がどのような意図を持って紡がれるかという視点も、またわかりやすかった。
時に暖かく、鋭く、優しくも厳しく、誰かの気持ちや想いや考えや体験や痛みや喜びを誰かに伝える言葉という存在が、この作品の中に確固たるものを築いているように思った。
私が対人援助職として言葉の持つチカラをとても意識しているからかもしれないのだけれど、だとしても、なんて素敵な言葉の説明なのだろうと感じた。

もちろん、原作とは違うストーリーもそこにはあった。原作にはあったもの、他の映像化作品にはあったものがないところもある。
けれど、たしかにそこに2024年の大渡海編集部があって、私達に海を渡るための舟を編んでくれている心強さがある。
そして、あってほしかった未来もある。

ありがとうございます。このドラマを作ってくださって。
そう、お伝えしたい。

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