小原緋紗子(HISAKO OHARA)

誰にも言えない実話の記録。本業はフリーライター。 チリ人にだまされたり、イタリア人のお…

小原緋紗子(HISAKO OHARA)

誰にも言えない実話の記録。本業はフリーライター。 チリ人にだまされたり、イタリア人のおっさんに夢中になったり、アルジェリア人の占いに怯えたり。あまりに個人特定されそうな場合のみ近隣の他国に国籍を変えていることがあります。セックスワールドカップ。なにごともワールドワイドがモットー。

最近の記事

ログインメールアドレス失念しておりましたが、今やっと入れたので一安心。

    • #28:雪ダルマ男④仙台と東京と神戸で交錯するキモチ

      「緋紗子ちゃん…」 と、背後でした声は紛れもなく電話で毎晩何時間も耳元で聞いた声だった。振り返った私は絶句した。メールに添付されていた写真や、雑誌に掲載されていた人とは別人だった。その人が思っていたよりも大きいとか、顔がどうだとか、そういうことを抜きにしても思っていた人とあまりにも別人な事実に直面して、私はしばらくどう反応するべきか迷っていた。 「…で、誰なん?」 とやっと発した声は少し震えていたし、想定外の展開に驚きを隠せなかった。 「ごめん。本当にごめん。俺、こんなんだ

      • #27:雪ダルマ男③仙台と東京と神戸で交錯するキモチ

        好きとか嫌いとかよりも、なぜ会えないのかがどうしても気になった私は、とにかく意地になっていた。仙台までわざわざ行った日から数ヵ月後、クリスマスが過ぎ、お正月が過ぎ、誕生日が過ぎてもTはドタキャンを続け、結局神戸に来ることはなかった。 またひとつ季節が移り変わり、東京での一人暮らしが始まった。東京工大の近くの小さな部屋を借りて、狭いながらも初めての一人暮らしは快適でありつつ、当時はネット環境もそんなに整っていなかったので、どこかへ遊びにいくにも友達もいなければ、どこに行けば何

        • #26:雪ダルマ男②仙台と東京と神戸で交錯するキモチ

          仙台の地方銀行に勤めているという情報は得ていたのでまず、Tという人間が存在するかどうかを調べることにした。Tの妹を装って電話をかけてみた。 「すみません、Tの家族のものですが急ぎで連絡を取りたいのですが…」と言うと疑う様子も感じられず、すんなりと「Tですね。少々お待ちください」と電話の向こう側の女性は電話を保留にした。Tという人間は銀行にたしかに在籍しているようだった。 そもそも「ベースボール」という野球雑誌に社会人野球のチームメンバーが掲載されたときにT は私に嬉々として伝

        ログインメールアドレス失念しておりましたが、今やっと入れたので一安心。

          #25:雪ダルマ男①仙台と東京と神戸で交錯するキモチ

          マッチングアプリどころか、カメラ付ケータイもなかったときの頃のお話です。つまり今から20年ぐらい前のこと。 東京の旅行代理店に就職も決まり、卒業を控えた私は何気ない気持ちでヤフーが運営する今はなき「ヤフー・メッセンジャー」というチャットルームを覗いていた。出会いを求めるとかそういう気持ちはさらさらなく、暇つぶしで知らない人と話すのがおもしろいと思ったのだ。 そこで、知り合ったのが早稲田大学の野球部に所属するというTという同い年の男だった。彼は実家が仙台で就職すれば地元の銀行

          #25:雪ダルマ男①仙台と東京と神戸で交錯するキモチ

          #24:お誕生日の記念に、とミラノでもらったプレゼント~年下のイタリア人カメラマン~

          40歳になった日、私はミラノで一人旅を満喫していた。 今日は、誕生日か…と夜に予定がないのが少し寂しい気がしたが、何より一人で過ごせる贅沢と前の日よりもゴージャスなホテルに移動してきたことが自分への誕生日プレゼントだと思って満足度は高かった。ランチに老舗トラットリアでたっぷり食べたからか空腹感はない。散歩がてら中心部へ出かけることにした。 ドゥオモからほど近い、若者でにぎわうカフェでフレッシュのオレンジジュースを飲んでいる私の席の横に座っていた30代前半ぐらいの男が話しかけ

          #24:お誕生日の記念に、とミラノでもらったプレゼント~年下のイタリア人カメラマン~

          #23:私が出会った一番綺麗な男③

          セックスできなかった、ということで変な空気になって、もう連絡がないかもしれないと思っていたBからはその後も日常的にラインが来ていた。 「げんき?」とか「あいたい」とか「仕事がんばて」(Bはライティングにおいて小さい”つ”をうまく使えなかった)というものがほとんどだったけど、気にかけてくれていることは嬉しかったし、時々一緒に送られてくる笑顔の写真には何度も癒された。 返事をするたびに「いつ会う?」と言っていたけど、お互いに仕事のタイミングやスケジュールが合わず、そのまま数ヶ月が

          #23:私が出会った一番綺麗な男③

          #22: 私が出会った一番綺麗な男②

          超美形ブラジル人Bとの最初のデートがとても爽やかで素敵だったので、私はすぐに次の機会が楽しみになった。メールは3日に一回ぐらい来ていたけど、私から送ることはなかった。これは、なんとなく現実の世界では自分が既婚者であることを時々思い出して、私から積極的に動くのは相手にとっても迷惑になる、と考えていたからだ。ガツガツいって、拒絶されるのが怖かったのもあるかもしれない。 Bはしばらくするとデートに誘ってくれた。小さなビストロで食事をしたあと、カフェでお茶を飲んで、だんだん話すとき

          #22: 私が出会った一番綺麗な男②

          #21:私が出会った一番綺麗な男①

          Bと出会う前は「私、顔とか見た目とか気にしないタイプだから」と堂々と公言していたのだが、Bは私のその考え方を見事にひっくり返した。見た目がいいのであれば、いいに越したことはないのではないか。おそらく、人生で出会った中でも一番かっこよくて…というよりも美しかった。同じ人間とは思えない、という表現をよく聞く。彼はまさにソレだった。白人系のブラジル人で、大阪に住んでいるという彼は私と同い年で、バツイチだと言っていた。tinderでプロフィール写真にしていたのは横顔だったけど、普通の

          #21:私が出会った一番綺麗な男①

          #20:アルジェリアの呪術師プリンス?(後編)

          不思議な魅力を持つ呪術師プリンスTとランチデートをしたその日のうちに連絡がきた。 「明日一緒に過ごさない?」と聞かれたので 「昼は仕事があるから、夜しか無理」と答えた。 次の日も朝から仕事だ。まぁ、いいセックスをした次の日はどんなに寝不足だったとしても、不思議と眠くならないものなのだけど。 部屋のチャイムが鳴り、ドアをそっと開けるとあの逞しくて滑らかな腕がちょうど私の視線の先にあった。初めて黒人とセックスするのだ。と思うと好奇心が湧き上がってくるのを抑えられなかった。当たり

          #20:アルジェリアの呪術師プリンス?(後編)

          #19:アルジェリアの呪術師プリンス?(前編)

          彼はアルジェリア人だといった。砂漠の少数民族の出身だ、と…。後から調べてわかったのだけれど、おそらくトゥアレグ族のことではないかと推測される。トゥアレグ族は女性の地位の方が高い民族だ。アルジェリア人の名前は忘れてしまったのでトゥアレグ族のTということにしよう。 待ち合わせ場所に現れたTはラルフローレンのビッグポニーのネイビーのポロシャツを着ていた。スタイルのよさはアフリカ系民族であることから納得だったが、それ以上に目を奪われたのは滑らかな筋肉質な褐色の肌と美しい顔立ちだった

          #19:アルジェリアの呪術師プリンス?(前編)

          #18:寂しいオーストラリア人に罵倒された話

          私がtinderにハマった理由のひとつとして、普段の自分の生活では考えられない人に出会えたことがある。東京に住んでいるというオーストラリア人モデルのMは「サクラじゃないのか」と思うほど完璧な風貌をしていた。プロフィール写真は雑誌の表紙のようだったし、たぶん彼が掲載されている雑誌を見たことがある。なぜこの男がtinderなんてしてるのだろう?と思ったことで興味を持った。こんな風貌ならちょっとクラブにでも行けばいくらでも女がついてくるに違いない。写真で見る限り、彼は確かに素敵だっ

          #18:寂しいオーストラリア人に罵倒された話

          #17:中目黒のマンションへ当てつけに縛られに行った話。

          その時、私は夢中になっているチリ人がいた。その話は1話にまとめきれないほど長くなってしまうのだけど、とにかく好きだった。その男は一緒に住んでいる女がいて私はいいように使われていただけだった。既婚者だから遊ぶのには安全だろう。そういう考えだったに違いない。わざわざ関西から東京まで会いに行っても適当な扱いで、いつも悲しい思いをした。それでも諦めきれず、とにかく少しでも好きになってもらえるために色々な努力をした。 頑張れば頑張るほど、報われなかった時の反動は大きい。少しでも期待外

          #17:中目黒のマンションへ当てつけに縛られに行った話。

          #16:UAEの恐怖

          「国籍は?」と聞くと「UAE」と答えた男がいた。名前も覚えていないけど、彼との一夜はそれはもう…強烈だった。UAE、アラブ首長国連邦。ドバイがある国だ。貿易の仕事で神戸に来ているというその男は仮にMとしよう。なぜなら中東系は「ムハンマド」「モハメド」という名前が極端に多いから。 神戸の旧居留地オリエンタルホテルに泊まっているという。背が低いインド系オーストラリア人が「踊ろ?」って部屋で言ったのと同じホテルだ。まぁ、特段高級なホテルというわけではないけど、私はあのホテルが好きだ

          #15 セフレの境目とは何か。〜心優しき友人のアメリカ人A〜

          tinderで知り合ってから一度も会うことなく長くメル友関係が続いていたアメリカ人のAという人がいる。彼は東京に住んでいて、奥さんは日本人。セックスレスだと言う。(ホントか嘘かはこの際どうでもいい)会ってみよう、という話に何度もなったのだけど、彼が出張だったり、私が都合が悪かったり。とにかくタイミングが悪い二人だった。 会うタイミングに関しては最悪というほど悪いのだけど、連絡をくれるタイミングはいつも最高だった。私が寂しい時や落ち込んでいる時に大抵ラインがくる。そして私の自己

          #15 セフレの境目とは何か。〜心優しき友人のアメリカ人A〜

          #14:イタリア人弁護士に馬乗りになる話

          医者、弁護士という職業は少なからずブランド力が付いてくる職業だろう。「え?仕事?医者だよ」とか「弁護士をやってます」と言われたらまず金銭的に困窮してるわけではなかろう、と容易に推測できる。(実際のところはいろいろ彼らにも苦労があるらしいけどね)少なくとも、女と遊んだりデートする費用に関してケチであるはずがない。そんな風に多くの女性が思っているはずだ。 私は旅行が好きなのでひとりでいろいろな場所へふらっと出かけていくのだけど、その先でのお楽しみこそがアプリの起動だ。tinde

          #14:イタリア人弁護士に馬乗りになる話