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文学YouTuberベル流!好きなことの探し方

読書の魅力を発信する文学YouTuberベル。今でこそ「本の人」と認識されるようになってきましたが、かつては好きなこともやりたいこともわからず、自身の将来に焦るばかりの日々を過ごしていました。では、そこからどのようにして好きなことを探し、見つけ出すに至ったのか?今にたどり着くまでの体験と心境変化を書いていきます。「好きなことを仕事にする」圧力に押されている方の参考になれば嬉しいです。

私は何が好きなんだろう?

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ごきげんよう、ベルです。今日も本を読む文学YouTuberです。

これは、私の動画冒頭での挨拶です。「読書を気軽に楽しめる仲間を増やしたい」という思いから、書評を中心に、本の魅力を伝える動画をYouTubeにアップしています。2015年6月9日にチャンネルを開設して4周年を迎え、登録者数は7万4000人を超えました(2019年6月15日現在)。

しかし、もともと本に特化したチャンネルだったわけではありません。はじめは楽器を演奏したり、タイピングを披露したり、ただ食事をしたり、流行りのネタをモノマネしてみたり…マルチチャンネルとして色々な動画をアップしていました。Vlogの延長で、本の紹介や美術館レビューも行っていたものの、後に何かに特化することなんて考えもしなかったです。だって、自分が何が好きかなんてわからなかったから!

「軸を絞れ」

就活でよく耳にしますが、これはYouTubeチャンネルの運営においてもよく言われます。

「YouTuberをやっています」
「何系ですか?」
「………」

このやりとりをする度に、専門性のなさにコンプレックスを感じながらも、当時の私には絞る自信がありませんでした。なんとなくどれも好きだし、かといってずっと一つのジャンルで継続できるほどの「好き」を決め切ることができなかったのです。

「好きなことで、生きていく」

YouTubeのキャッチフレーズが重くのしかかります。

「私は本当に音楽が好きなんだろうか?」
「私は本当に美術が好きなんだろうか?」
「私は本当に読書が好きなんだろうか?」

しかし、一つだけわかっていることがありました。動画の投稿はなんだか続いているみたいだぞ。家族に反対されても意地でも続けている自分がそこにいました。

再生数より嬉しい“あれ”に気づく

未だ掴めない何かを見つけるためか、はたまた焦っている自分から目を背けるためか、一時期は毎日2本投稿したこともありました。すると、アルゴリズムの女神がお情けで微笑む時があります。

これは未だに私のチャンネルで一番の再生数(50万回超え)を誇る動画です。色々イタいですね。漠然と「動画を続けたい」という感情しかなかったこの頃は、再生回数こそが私の至上の喜びだと思っていました。しかし、実際いくつかの動画で高い再生数を叩き出してみたところで、嬉しくはあっても充実した「何か」までは得られませんでした。

そんな時に、転機が訪れます。今まで全く再生回数が伸びなかった読書関連動画「読書感想文おすすめ7選紹介」がバズったのです!

選書、プレゼンと当時の私なりに凝ってつくったものだったので、救われたような気持ちになりました。何よりコメントが嬉しかったです。

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他にも、「ベルさんって読書の動画は力入っていますよね」というコメントもいただいたことで私は気づきました。

・読書ジャンルの時、私はいつの間にか凝っている
・私の「考え」に耳を傾けてくれることが嬉しい
・感動の提供や行動を促進することができたら最高

自分の価値観が明確になった瞬間です。1年以上発信し続けて、視聴者にフィードバックをもらったことで初めてわかりました。

見えない何者かと闘うな!

とにかくやってみちゃう今の自分からしたら考えられないのですが、自身の価値観が明確になったからといって、おいそれとジャンルを絞ることはできませんでした。大きな理由の一つは再生数です。ニッチジャンルや教養系は、現在のような熱い評価が得られにくく、助け合う仲間がいるわけでもありませんでした。他のジャンルとの数字の差が顕著に現れる度、ジャンル特化への道が険しく感じます。今いる約1万人の視聴者が離れていく予想もつき、ふんぎりのつかない状態が続きました。

そこに、思いも寄らないチャンスがやってきます。YouTube NextUp 2017の受賞です。

YouTubeが開催する次世代クリエイターの強化合宿に応募し、運良くメンバーに選ばれました。同期はあさぎーにょ や うさたにパイセンなど全12組。今までは見よう見まねでつくっていた動画の世界が一気に広がりました。芯が強く、キラキラしているクリエイターたちを見て「自分もあんな風になりたい」と刺激を受けます。撮影・編集技術を会得したことで「もっと本気で取り組めば、この世界でやっていけるかもしれない。挑戦してみたい!」意欲に燃えます。

そこで「私がYouTubeを舞台にして輝きたいなら…?」と考え、何かと言い訳をつける宙ぶらりんな自分とおさらばすることに決めました。

月に何十冊も読んでいる人と比べたら読書好きなんて言えない…
書店員と比べたら…
プロの書評家と比べたら…

見えない何者かをつくって尻込みすることは簡単でした。でも、本当の敵は比較する自分です。だから、「私の中で読書は好きなことだし、このジャンルで頑張りたい。一冊入魂!一生懸命取り組めば、いつかきっと誰かに伝わるはずだ」と信じます。特別注目されなくても、動画は何年も続けられたという長所が後押ししました。

こうして2017年秋から、読書に特化したYouTuberとして活動していくための構想を練り始めます。「読書好きが動画を上げています」じゃない。本×動画においてのプロを目指そう。文学YouTuberベルの誕生です。

視聴者が増えないのに続けている自分

徐々に読書の要素を増やして動画投稿を続けていくと、やはり視聴者の入れ替え現象が起きました。マルチジャンルのベルのキャラが好きだった視聴者がいなくなります。では読書好きの視聴者が増えるのかというと、本ジャンルのチャンネルとしては手探り状態で確立されていませんから、いまいち増えません。そもそも本のYouTuberがいるなんて思いもしなかったでしょう。本来登録者が増え続けるYouTubeにおいて、足踏み状態を耐えるしかありませんでした。YouTube一本でやっていこうと腹を決めてからは、チャンネル運営における苦戦を身にしみて感じます。

「本当に読書に絞ってよかったのだろうか?」
「この決めはただのエゴで、需要なんてなかったのでは?」

不安も見え隠れしました。平均再生数もどんどん下がります。しかし、それでも軸は絶対にブラさずに続けます。選書や読み方、伝え方に工夫できることはたくさんあり、日々盛り込んでいくことが楽しかったです。

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今見てくれている視聴者の声が本物の声だと思っていましたし、一緒にチャンネルをつくる仲間のように感じていました。

ここまでくると、家族も私の熱心さに根負けしていました。今や一番の応援団です。友達にも「うん、やっぱりベルは読書好きだよ。間違いない。保証するわ」と言われ、わかりました。

私って読書が好きだ。
YouTubeが好きだ。

何がブレイクスルーになったかはわかりません。2018年を迎えてから、一気にメディア露出が増え、業界での認知度が上がりました。徐々にチャンネル登録者や再生数も増えていき、今につながっています。企業コラボ、イベント開催、MCと数々経験しましたが、それでもやっぱり読書とYouTubeが好きで、今でも私の活動の主軸はYouTubeです。

価値観が目まぐるしく変化する現代において、いつか好きなことも好きな場所も変わるかもしれません。でも「好き」を知れたのは特別な気がするし、一方で、難しいことを取っ払ってみたら意外と近くにあるものだとも思っています。

まとめー好きなことの探し方

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以上の体験をもとに、好きなことの探し方をまとめてみました。

①なんだか続いていること、他と比べて苦じゃないことを挙げてみる
私の場合は、書くこと・読むこと・話すこと・ネット・動画制作です。これらを掛け合わせた結果、文学YouTuberをやっています。好きなことを仕事につなげて考える場合は、ありきたりに思えるものでも掛け合わせることで、オリジナリティが出ると思います。

②フィードバックをもらえる場で色々発信してみる
私でいうところのYouTubeです。1動画ごとにリアルなコメントが飛び交います。SNSが手軽かと思いますが、オンラインサロン、リアルな場でもなんでも良いです。色々な価値観を持った人から見られる場所で、まずはとにかく発表・発信をしてみてください。見た人の反応が自分を映す鏡になることがあります。また、発信の中で続くジャンルのものがあれば、それは「好き」なものかもしれません。

③良質な知見の得られる場所に赴く
発信においてはがむしゃらでしたが、交流する場、知見を得る場は選んでいました。この話に出てきた例でいうと、YouTube NextUpは、YouTube(Google)主催で、選ばれたクリエイターは憧れの人ばかりの場所です。私はここでプロの技術とプロの根性に触れ、「好き」を見つけるきっかけを得ました。また、本については出版社や書店などから聞くようにしています。情報の精度が高く、正しく自分の「好き」を見つけられます。一方で、自称“その道のプロ”のコンサルなどは、鵜呑みにするとわけがわからなくなるで気をつけた方が良いとい思います。勉強会チックな雰囲気を出して集まる飲み会などに参加しまくるのも、その気になるだけで何をやっているのかわからなくなりがちです。

「好きなこと」を探すために行動するのは少し変に感じるかもしれません。実際私も「好きなこと」を探すために動いていたわけではなく、上記を試した結果「好きなこと」が見つかっただけです。ただ、自分の視野を広げるためにも有用ですし、もしかつての私のように「別に無趣味だし、やりたいことなんてない」ことに焦りを感じている人がいたら、一つの参考にしてもらえたら嬉しいなと感じています。

究極的に、「好きなこと」なんて今すぐ見つける必要もなくて、日々過ごしていく中で出逢うものなのかもしれません。だから、私の動画で読書が「好き」になったらそれはとんでもない奇跡で、大切にしたい出来事だと思っています。

最後に、過去の動画ばかり貼り付けてしまったので、最新の書評動画を載せておきます。ちょっとは成長したかな?

それでは、ごきげんよう。

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