チャットがしんどいので、スタンプ自作した話
これはヒツジモチというLINEスタンプを作った背景とか、作り方とか、苦労とかをまとめた備忘録的なものである。
チャットツールがめんどくさい
私は文章を書くこと自体は結構好きだ。自分の考えをうまく言語化できると達成感がある。
しかし、会話のキャッチボールが求められるチャットツールでは、それはよく考えないとうまくいかない。いや、私の場合、考えすぎて文章がいたずらに長くなってしまう。悪意があったわけではないのに、うざがられ、怒られ、最悪縁を切れられる。そのテキストを選んだのは確かに私だが、そのテキストを見ての反応は相手が選択することだからどうすることもできないのではないか、などと少し前は思っていた。
ただ、こういうチャットツールを中心として、上手くいかないことが最近頻繁に続いた。文章を繕うたびに相手は穏やかな雰囲気ではなくなる。LINEなどで文章を打つのに嫌気がさした。意図しない不利益を被るならチャットは自制した言葉に限定して、自由な言語はTwitterや、noteだけにしよう。もうめんどくさい。だから、文章を打たなくていいよう人を傷つけないLINEスタンプを作ろう。
これは私の、私による、私のためのスタンプだ。
ポジティブになるように心がけた
会話はキャッチボール、とは使い古されるほどに定番の文句だ。私の場合、不安要素を拭うために隅から隅まで説明してしまう癖があるため、キャッチボールで例えると一気に10球くらいボールを投げてるように映っているだろう。
しかし、相手がどこまでわかっているか、ということは私には感知できない領域なため、丁寧に情報は列挙したい。私は相手からの返信を待つ時間というものが苦手で、それはその時間に相手は私の文章にどう思っているのだろうと思いを馳せてしまうからだ。ネガティブな想像をして、勝手に胃が痛くなる。だから、最小手数でやり取りを終わらせるために、隅から隅まで丁寧に状況や、自分の考えを説明して相手に投げかけてしまう。
それを辞めよう。そこで参考になったのは家入さんのR25の記事だ。
家入さんはマネジメントをするにあたって以下のことを言っている。
そもそも人が人をマネジメントできると思っていること自体が間違いだと気付いた。「お前のことは俺が一番わかってるから!」なんて大ウソですよね。そんな前提に立つから間違えてしまうんだと。
子どものころよく「人の痛みがわかる人間になりましょう」って教えられたけど、そんなものわかるわけないんですよ。目の前に血を流してる人間がいるとして、それで自分も痛いかって言ったら全然痛くないですよね。でも、血が出てたらやばいなと思って助けるじゃないですか。マネジメントって、そういう感じが一番いい。わかりあおうとなんて、絶対しないほうがいいです。(家入)
他人のことなどわからない現実で、家入さんは組織のモチベーションを上げるために自分のテンションが上がっているということだけを伝えるという。
僕、slack(ビジネスチャットツール。IT業界を中心に、社内でのやりとりに使われることが多い)の発言が5パターンぐらいしかないんです。それを使います。「おおおおお!」と「やばい」「すごい」「いいね」「やろう」。
この5パターンですね。ただテンションが上がってるよ!っていうことだけを伝えたいんで…。これなら、「最近構ってくれない」とかは起こらない。
これはとっても平和なやり取りだと思った。テンションが上がっているかどうかは私に依存することで、それが本当かどうかなど咎められることもないし、テンションが上がっていることを怒る人もいないだろう。そして何よりシンプルで、煩わしくない。
ということで、作ってみた。
そのほかのスタンプも、なるたけポジティブにやさしく振る舞えるよう考えて作った。
なるべく状況を選ばないよう言葉より表情や、身振り手振りで表現したスタンプを心がけたが、個人的に「えらいっ」「おつかれさま」は言われて嬉しい言葉だと思ったので加えてみた。別に大層なことをしていなくても、「えらいっ」て言っていいのである。どんどん使おう。
いざ作ってみると3ヶ月半かかった
実はLINEスタンプを作るのは2回目である。前回は大学生であったが40個のスタンプを2ヶ月(春休み)で作っていた。(絵は全然うまくない)
今は社会人1年目だが、16個くらい作るのにそこまで時間はかからないだろう、などとタカをくくっていたら、めちゃくちゃ時間がかかった。5月末から作り始めて、完成が9月頭である。
前回のリトライということもあって、絵を丁寧に描いたのが単純に時間がかかった原因だが、普通に社会人の洗礼というか、創作活動を続ける難しさを感じた。
今回は人を傷つけたくないというコンセプトがあったため、やさしいテイストにするために主線なしイラストというやつに挑戦した。主線なしイラストとは輪郭線を描かず、陰影と色で描き分けて、やわらかい光や空気感を表現する描画法である。
描くにあたってGal Shirさんと、ア・メリカさんというイラストレーターを参考にした。
Gal Shirさんはドローイング動画をたくさん出してくれていて、描き方はこの動画を真似る形で描いた。iPad Proは最高のガジェットなので一人一枚持つべきものだ。
スタンプを完成した後で見た動画だが、こちらも参考になる。滑らかな線を描く3つのコツを教えてくれる。
ア・メリカさんが出している書籍「“主線なしイラスト”の描き方」は主線イラストとはなんぞやというとこから、描き方、色選び、立体感の出し方など教科書的に網羅してくれている書籍なので、おすすめである。
で、描いてみるとこんな感じだ。
これは2時間くらいの作業量であったが、だいたい1枚平均3時間かかる。それが16枚なので実作業は48時間。あと、描き方を勉強したり、ワードを選んだり、参考イラストを探したり、ポーズを考えたり、と描く以外にもやることはある。ダラダラやっていたのもあるが、3ヶ月半かかったのは割としょうがない。むしろちゃんとリリースしたから、えらい。
ただ、ダラダラやるデメリットとして、初期とキャラデザが若干変わるというアクシデントもある。「あれ、こいつ同一人物?」 「君、写真と違うってよく言われない?」とか思っても気にしないでください。
描き方を詳しく記すと、アプリはiPadのProcreateを使っている。ブラシは基本的にデフォルトであるもので、下書きは透明度80%くらいのニッコラルブラシ、色下地はスタジオペン、グラデーションはマスクをクリップして木炭の2Bをかけている。顔の細かいパーツなどはストリームラインが10%ほど効いた鉛筆ブラシ(これはどなたかが作ったブラシを使っていた気がする)でやっている。
スタンプ作りは基本的に同じ色を使うので、カラーパレットに使う色を保存すると時短になった。
あとは根気。同じキャラの絵をいろんなパターンで描くと飽きる。ラフを描く段階は楽しいが、色塗りは基本的に同じことの繰り返しだからだ。
ちょっとずつでも進捗しているというのを実感するために、1つ完成するごとにTwitterに載せてみた。特にフィードバックなどはないが、目に見える進捗を共有することで、勝手に前進していることを感じていた。ここらへんは以前のnoteが詳しい。モチベーション維持のライフハック的なまとめである。
おわりに
何か自分のやりたかったことが達成できたら、今後、備忘録としてnoteに残していきたい。小さい成功体験が自分を強化してくれると思うので、忘れないように、振り返れるように。
note読んで共感して買ってくださったら、とても嬉しいです。
最後まで見ていただいき、ありがとうございます😳 それだけでとても嬉しいです!