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幸せがよく似合う人

加藤さんは優しい人だな、と思う。

そもそも、わたしの知る加藤さんはずっと優しかった。

思えば、初めて連れて行ってもらったNEWSのコンサート。太一くんが司会をしていたときの少年俱楽部プレミアムで見た加藤さんの印象が強くて加藤さんの団扇を持って会場に入り、加藤さんを中心に見たあのときも、加藤さんは想像していたよりもオタクに優しい人なんだなと思ったのもファンになったきっかけの1つだった。
なんとなく、加藤さんはアイドルをしたくてやってるんじゃないと思ってたからあんなにオタクの団扇に応えて、「ありがとう」を繰り返してくれる人だとは思ってなかった。席も遠かったし、自分がそのとき加藤さんからなにかをしてもらえたわけじゃなかったけど「あんな風に大事にしてもらえる加藤担は楽しいだろうな」って思ったのは確かだった。

そこからのめり込むように加藤さんのことを応援して、たぶん6年くらい。

長い長い加藤さんのアイドル人生のたった数年しか見てないし、コンサートにだって全公演は入れてるわけじゃないし、加藤さんからファンサの類をもらったことはないけど、でも「シゲが一番好き」の団扇を出して、全方位ありがとうbotになってる加藤さんの「ありがとう」枠に入れたときは嬉しかった。優しいだけじゃなくて顔が死ぬほどかっこよくて、ちょっと変なところもあって、人見知りもしがちで、かわいくて、博識で、めんどくさいところもあって、加藤担のことを好きでいてくれる加藤さんが大好きだった。

そんな加藤さんが結婚した。

何もかもが優しい報告の文章だった。結婚の報告でも加藤担のことを気にしてくれた。相手も誰だか分からないようにしてくれた。その後のSNSでもWEBでもいつも通りの加藤さんだった。(ラジオはあれから聞けてないけど、きっといつも通りなんだと思う)

わたしはアイドルの結婚には大反対派です。自分が結婚したいとかそんなことを思っているわけではなくて、アイドルとはそういう職種だと思っているからです。わたしの職種は頭髪や爪や服装にあれこれ規定があって自由にはできません。アイドルも同じだと思っています。

だから加藤さんの結婚「報告」はものすごくショックだった。今まで嗅ごうとしなければ匂わないようにしてくれて、きっと親友の俳優さんたちも巻き込んでバレないようにしてくれて、報告のあとも今まで通りを演じてくれているからこそ、どうして報告したのか理解できなかった。実は結婚してました、でもずっと隠し通してくれるなら、自分の目に見える世界がすべてだから、これからも何も知らずにアイドルの加藤さんをずっと好きでいられたのに。脳みそ全部さらけ出してくれるような人だからって言わなくていいこともあるのに。知らないまま、滑稽なオタクでいたかったのに。その嘘はとびきりの愛だと思ったのに。加藤さんはその選択をしなかった。

完璧な結婚報告、相手を守るために伏せられた情報、全部加藤さんが相手との生活のために、加藤さんが幸せになるために、投げられたこちらに向けての攻撃だと思った。加藤さんの優しさはわたしにとっては暴力で攻撃だった。今でもそれは思ってる。
だけど、この1か月、加藤さんが何も変わってないことも知ってる。(コンテンツ全部見てないけど)これから加藤さんがどうするのか、もしかしたら一転して既婚者アイドル売りするのかもしれないけど、少なくともこの1か月はあの「報告」以外、加藤さんは変わらないままだった。加藤さんはずっと加藤さんのファンに優しいままだった。

加藤さんはずっと、嫌になるほど優しい人で、そんな優しい加藤さんを攻撃することはわたしにはできませんでした。

加藤さんが結婚したからこれまで馬鹿の一つ覚えみたいに神社に行ったら「加藤さんが幸せになりますように」ってお願いしてたことを言えなくなると思った。加藤さんが幸せになったのに全然喜べなかったから。
でも加藤さんがあまりにも優しいから。そんな優しい加藤さんに不幸になれ、なんて絶対思えない。加藤さんが幸せになったことを喜べない最低最悪なファンだけど、それでも加藤さんには幸せになってほしい。結婚して、そうなると次にどんな世界が待ってるのか大体は想像がつくし、きっとその報告があったらもっともっと悲しくてアイドルとしての死を勝手に押し付けてしまうんだろうけど、それでもそれまでは優しい加藤さんの幸せを願える立場でいたい。

加藤さんがずっと優しいから、加藤さんに優しくありたい。何も変わらないよって優しい噓をついてくれるなら、加藤さんのことを嫌いになるのはやめておこうかな。
コンサートに行って、これまでと同じように団扇が持てるかどうか自信ないし、結婚したアイドルのことをかっこいいとか可愛いとか、そういう風に見ることに対する嫌悪感はまだあるし、そんな状態で加藤担してコンサートに入れるかどうかわからない。それでも、加藤さんが優しい人だからずっと幸せでいてほしいと思う。

加藤さんが結婚してから、加藤さんが生活の中心になってる状態を改善しようと思っていろいろ頑張ってるよ。でも結局は加藤さんが教えてくれた世界からは離れられてないと思う。だって加藤さんが教えてくれたものがあまりにも多すぎる。歌も、絵画も、演劇も、わたしが今興味を持とうとしてるもののきっかけは結局加藤さんなんだと思う。

加藤さんが優しくて、頭がよくて、楽しそうに自分の好きなこととか興味あることを話してくれるから加藤さんから全然離れられなくなっちゃったよ。嫌いになるのはやめておこうかな、ってさっき書いたけど、そもそもこんな優しい人のこと嫌いになれるわけない。
これからもこれまでと同じように加藤さんを応援できるかどうかは正直分からないけど、別にそれって結婚したからどう、ってわけじゃなくて元々未来の状態なんて分かんないもんだし。一生も永遠もないことはよく知ってたことだし。だからこれからも加藤さんのファンでいさせてほしいかな。
これからはちゃんと加藤さんに喜怒哀楽のバロメーター全部委ねないようにするし、ちゃんと自分の好きなものとか嫌いなもの、興味のあること、やってみたいこと、そういうことも自分で考えるようにする。加藤さんがずっと言ってくれていた「好きになりすぎないこと」をずっと実践できないままだったけどちゃんと心掛けてみようと思う。

そうやって少しずつ加藤さんっていう「背骨」から離れて生きていこうと思ってる。
この結婚報告後に覚悟を決めて『推し、燃ゆ』を読んだけど推しを失った主人公のあかりはまさに自分だった。「推しのいない人生は余生」この文章を読んだとき泣きそうになってしまった。ここから加藤さんの支えをなしにして自分で余生を生きていかなきゃいけないの、ほんとに辛くてやっていける気もしないけど、でも頑張ってみる。そもそもこんな年まで「背骨」になってくれた存在がいたことが恵まれてたんだと思うしね。

加藤さんは幸せがよく似合う人。ずーっと笑っていてね。この気持ちは心から思っています。