見出し画像

街にあるスマホ修理屋さんって、安全なの?

そもそもスマホ修理って高くない?

皆さんご存知の通り、スマホって修理するとお金かかりますよね。昔iPhone 3GSを使っていた時、急にバックライトがつかなくなってApple Storeに持っていったら、「これはもう交換ですねー」といわれ、高額なお金を支払った思い出があります。当時、学生だった私にとっては痛い出費でした。


いまは、Appleが電池交換プログラムをやっていたり、正規の修理プロバイダーがあったりと、昔に比べて大分よくなってきました。ただ、そんな状況でも、電車に乗れば、画面バキバキに割れているiPhoneを使っているOLさんとかサラリーマンの方々を見ると、「修理って面倒だし、高いよね」と気持ちはわからないでもないなーといつも思っています。

アメリカの実情。Right to Repair法って知っている?

私自身、最近までアメリカのカリフォルニア州に住んでいたのですが、モールに行くと必ずあるのが「Phone Repair!」の文字。インド人のお兄さんとかが、軽快な手さばきでiPhoneのガラスとか修理しています。いつも大体お客さんが入っており、実はアメリカの中古スマホ市場では「偽物のディスプレイを使っているか使っていないか判別する方法がないか」という話題になるほど。かなり多くのユーザーがそういった街の修理屋さんで修理していると思われます。また、iCrackedなどUberのような出張修理も流行っており、自宅でもスタバでも修理ができる環境にもなっています。

先日Appleが、電池が悪くなったiPhoneの機能を意図的に悪くしていたと話題になりましたが、その時に更に加速したものがRight to Repairという考え方。要するに、消費者は安い修理を受ける権利があるわけだから、Appleとかメーカーは修理部材と修理マニュアルを提供しろーー!!っていう主張ですね。結構これがインパクトがありまして、本拠地のカリフォルニア州でも話題になるなど、注目されている領域です。

じゃあ、日本ってどうなっているの?

一方で日本でも数年前から、第三者修理(要するにメーカー外の修理)については認めていこうという流れが総務省を中心に動きはじめました。それが登録修理業者制度ですね。公共の電波と通信するものは、しっかりメーカーと同レベルの水準で修理しなさいという意思表示だと思います。

でもこの制度は少し欠陥があり、メーカー以外の人が修理することはしっかり制度化するけど、メーカーに対しては何も義務を追わせていないです。つまり修理パーツは結局、メーカー次第。この制度、ほんとに意味あるの??って思うのですが、立ち上がってわずか数年で少し形骸化している制度になりつつあります。
そうした背景もあり、街の修理屋さんが修理している部材はiPhoneはもちろん純正品ではないですし、いわゆるコピー品です(ここ重要)。だから、だいたいどの修理屋さんでも「この修理をしたら、メーカー保証は切れますよ」と謳うわけです。

修理の論点。改造なの?修理なの?

じゃあなぜ、スマホの修理が進んでいかないのか?大きな論点としては、改造(再製造)or修理議論があります。
これはどういったことをいうかというと、改造とみなされる行為は再製造ということで、本来はメーカーしかできないです。でもこれを、街の修理屋に認めさせれば、、、もしかしたらXperiaの外装をしたiOSデバイスが出来上がってしまいます。(ちなみに私が3年ほど前にロシアに行った時、iPhone 5cのアンドロイドがありました笑。もちろん改造品です。)
スマホって、予想通り中身が複雑で、どういう行為が修理なのか、改造なのか、判断基準が難しいわけです。なので、メーカー側も誰に対して、どこの修理まで認めるべきなのかという状況にはなってしまっています。

詳しく知りたい方は、特許権の消尽(国内消尽)という考え方があり、以下のサイトにも考え方がまとまっています。消尽とは、要するに「メーカーは1回売って得た利益があるんだから、2回は美味しい思いさせないぞ!」っていうことです。

ただ、修理においては同じページに以下のような記載があります。

特許発明の実施品が適法に販売され、特許権が消尽した後に、その実施品を修理したり、加工を加えたりする行為が特許権侵害に該当するかという問題があります。
この点は、過去に多数の裁判例で争点となってきましたが、最高裁判所は、前記2のインクタンク事件判決で、「特許権の消尽により特許権の行使が制限される対象となるのは、飽くまで特許権者等が我が国において譲渡した特許製品そのものに限られるものであるから、特許権者等が我が国において譲渡した特許製品につき加工や部材の交換がされ、それにより当該特許製品と同一性を欠く特許製品が新たに製造されたものと認められるときは、特許権者は、その特許製品について、特許権を行使することが許されるというべきである」と述べ、いったん特許権が消尽した物であっても、加工や部材の交換によって、実施品を「新たに製造」したといえる状態になったときには、特許権侵害となることを明らかにしました。

と、結局何が新たに製造にあたるのか、よくわからない状態なんですよね。この消尽論で必ず話題にあがるインクカードリッジ裁判も、以下にあるように仁義なき戦いが繰り広げられています。


Appleの他社製品の電池が保証対象になる?

2019年3月はじめに以下の記事があがって、業界が少しわきました。

ただ、あくまで噂の記事ですが、これが実現すれことでAppleは暗に、「電池はもう製造ではなく、修理の範疇でしょ」と認めていることに近く、今後街の修理屋さんでも純正のiPhoneパーツで修理が受けられる流れが生まれるかもしれません。

今後の業界動向を予測

そんなこんなで、タイトルに戻ると街の修理屋さんは、安全なのか?という質問の回答は、
「登録修理業者であれば、しっかりした手順だから壊されることはないけど、交換されるパーツの品質は自己責任で」
という回答になると思います。ただ、業者によってはパーツの仕入れ・品質チェックをしっかりやっている業者もあり、純正と同等の部材となっています。もちろん、そういうところは高いのですが、安かろう悪かろうというのが明確に出る業界です

アメリカにいた時、iPhone 6sの画面を割ってしまった時、同僚が「iCracked、おすすめだぜ!」と言ってきたので、天の邪鬼な私は安いPlusというサービスを使いました。そしたら、修理後から「なんか輝度が違う気がするな・・・」と思っていたら、3ヶ月後には明らかにディスプレイがおかしくなってきた悪い思い出があります・・・。(それ以来、周りの人にはiCrackedをおすすめしています)

米国最大手キャリアのVerizonも、こういったiCrackedのような街の修理屋と提携していることからも、Same Unit Repair(同じ端末の修理)は今後も拡大していくトレンドだと思っています。

だからこそ、しっかりした業者が今後も増えていって、ユーザーが安心して街修理できる環境になることを期待しています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?