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あのときのことと今のわたし

こんにちは。id_butterです。

わたしは、怒っているらしい。
わたしはなんで怒ってるんだろう。
いつから、だれに、なぜ。

わたしは、彼に助けて欲しかった。

会いたいとか、つきあってほしいとか、
それよりも前に。
ただ、だいじょうぶだと言って欲しかったのだ。

他のひとじゃなく、彼に。

わたしを危うくしたのは、直接的には彼ではなかった。

このとき、実は人生の中で一番やばいと思った瞬間だった。
空と大地が反転して、全部ひっくり返った。
今まで積み上げてきたものは、すべて空に舞い上がって消えた。
足をつけていたはずの大地が遠ざかって、足元が崩れた。
世界が薄まったように感じた。
そう、自分と現実との接続が切れた。

わたしの世界は、まったいらになって、音も色も遠くなった。

それでも、すぐに現実に支障は出なかった。
ただ今まで通りの生活を続ければよかった。
慎重に、今まで通りをこなした。
けれど、まずいなと思った。
足元がずっとふわふわしている。

それで、彼に助けを求めたのだ。
わたしは、「だいじょうぶだと言ってもらえないか」と彼に頼んだ。
ただただ、この世界とわたしがまだつながっているかどうか知りたかった。
だいじょうぶ、そう彼が言ってくれたらまだだいじょうぶな気がしたのだ。
結果、断られてフラれた。

けれど、泣いているひまとかはなかった。
早急に肉体の感覚を取り戻さないと、と冷静に思った。

娘たちにはまだ母親が必要に思えた。
まだ、死ぬわけにはいかないんじゃないか。
わたしは自分の外にいて、自分を遠くから眺めていた。

だから痛みはあまりなくて、遠くから自分を動かす気怠さだけがあった。
体温とかの感覚も消えてしまっていて、薄れていく感覚を必死で忘れないようにしていた。

ここで諦めたら、致命的な気がする。
どうでもいいような気持ちを押し殺して、必死で焦りを掻き立てる。
あがかないと。

それで。
だから。
八百屋に行ったのだ。

体の感覚が戻れば、現実に戻れるはずだ。

セロリさんは、わたしをマッサージしながら、言った。

バタ子はつながっているんだよ。僕だけじゃなく、世界と。
忘れているだけで、ひとはみんなつながっていることを思い出して。

体で感じるとき、その世界にアクセスできるんだと。

でも、その日わたしが見たビジョンでは、わたしはひとりだった。
森に囲まれた湖のほとりで、何もせずに突っ立っている女の子。
それが、わたしだった。
何も感じていないようだったし、何も考えていないようだった。

けれど、その日から、わたしはまた現実とつながれるようになった。
感覚が戻ってきた。

普通ならあやしいとしか言いようがない。
友達に言ったら、騙されてるよと言われるに違いない。

けれど、わたしにはこの細い細い道しか見えなかった。
一歩足をずらしたら、崖に落っこちると思いながら恐々と歩いた。

それだけだったのに、計算外だ。
この道は元の道ではなく、新しい道だった。
戻ったわけではなく、新しく作られた道。
その道を、今度は走っている。
なぜか息せき切って、走っている。

セロリさんを好きだと思ったけど、違った。
…いや、違うわけではないけど、彼を思う気持ちとは別の種類だ。
セロリさんは、わたしの欲しいものを持っている。

わたしが苺が食べたいな、と思って彼のHPを覗くと、苺が売っている。
そんな感じだ。
セロリがやっている活動のすべてが、わたしが知りたかったことに満ちている。
セロリを好き、というよりセロリはわたしに近いのだ。

今日も知りたかったことに向かって、息急ききって走る。

どうかしている。
こんなわたしを、わたしは見たことがない。
知りたくて、行きたくてたまらないのだ。
もう、どうしようもない。

わたしが溺れかけて掴んだ藁は、溺れているわたしを河岸に連れて行ってくれただけではなかった。
そこには、あったかいお風呂と食事が用意されていて、わたしはピカピカに蘇って、次の日からなぜか冒険に出ることになった。

これはなんだろう。
わたしの神様は底意地がわるい。(いつもだ。)
運がいいんじゃなくて、悪運が強い。

わたしは、怒っているけれど、彼に何も求めていない。
昨日もわたしのところに来たエネルギーのひととそんなような話をした。
なんで来るの、もう来なくてもいいよ。
怒ってない。
何かして欲しいとも思ってない。
そう伝えても、温かいエネルギーは有無も言わせず入ってきて、全身を駆け巡って、うっかり癒される。
けれど、これは幻だ。
わたしはそう自分に言い聞かせながら、口にはしない。
彼には、わたしはだいじょうぶだよ、と言った。

よくわからない。
どうしたらいいのか。
待つのも、忘れてしまうのも、意地になるのも、固執するのも、いやだ。
怒っているけど、怒りたいわけでもないし、彼にどうして欲しいとも思ってない。
受け入れたいわけでもないし、拒否したいわけでもない。
利用されるのはいやだけど、そんな感じでもない。
なんでこれが続くのか、いつまで続くのか知りたいだけだ。

それは、答えてくれない。

怒っているのは、元いた道を忘れないようにするためなのかもしれない。
エゴが「忘れるな」と言ってるのかな。
彼はわたしを拒否したひとだということを覚えていろっていう意味だろうか。
どうでもいいと思う。
でも、怒っていなかったら、彼のことも忘れてしまいそうなのだ。
それがだめなのだろうか。
誰にとって、だめなんだろうか。

もう、よくわからない。

ひとつだけ、確かなことがある。
わたしは、彼には「だいじょうぶだよ」という。
セロリさんに会った時は、もうだめだと言って泣いてしまった。
それは、わたしにはどうしようもないことだった。

彼はもうだいじょうぶだと言ってはくれないし、わたしは彼の前でもう泣かないしだいじょうぶだと言い続けるのだ、きっと。

自分の走るスピードが早すぎて、どんどん過去の記憶が消えていく。
それがいいことなのかどうかもよくわからない。
不安だ、というより不安を感じた方がいいのでは、と思う。

それはこんなときだ。

最近、宇宙人長女がやたら抱っこをせがむ。
わたしの不在を怖がっている。
わたしはいなくなってしまいそうに見えるのかもしれない。
何かを怖がっている宇宙人長女はわたしよりわたしを理解しているようだ。
かわいそうに、と思う。
せがまれたら、断らずに必ず抱っこをしようと思う。
洗い物の途中であっても、手をタオルで拭いてすぐに。


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