日記

デザインスプリントで失敗した話(と学んだこと)

本記事は、DMM.com #1 Advent Calendar 201725日目の記事です。
昨日は@y-ohgiさんCloudFormationのススメという記事でした。

開発チームで行ったデザインスプリントで失敗したこと、そこで学んだことについて、つらつらと書き留めておきます。

所属しているチームについて

チームが結成されたときは、UXに対する知見や、サービスを考える経験を持っているメンバーがほぼ皆無でした。

こうした背景もあり、サービスの仮説を検証するために制作したMVPと、その検証のフローの中で、様々な失敗を重ねました。

※MVP:実用最小限の製品 / minimum viable product

▼チームの構成と環境
・プロダクトオーナー1人、スクラムマスター1人
・開発チーム:エンジニア5人、デザイナー1人(私)
・相談先として社内のUX専門チームに週1程のペースで打ち合わせ
・事業部長と営業チームがステークホルダー

チームの雰囲気は最高に良く、毎日が楽しいッ!


何をしていいかわからない...とりあえず『デザインスプリント』という手法があるようなので試してみました

サービスのMVPを短期間で制作し、検証するために『デザインスプリント』という手法が良さそうだったので、さっそく試してみました。

デザインスプリントとは、5段階のフェーズに分けて、5日〜1ヶ月の短期間で行われるデザインプロセスです。

デザインスプリントは理解のフェーズ、アイデアの発散、決定、プロトタイプ制作、そしてテストという5段階のフェーズで、5日〜1ヶ月の短期間で行われます。

説明だけだと簡単そうなのですが、参考にしていた書籍『デザインスプリント――プロダクトを成功に導く短期集中実践ガイド』を読んでみると、実際はかなりハードな内容、かつ複雑な工程で、本で紹介されていた進め方はできませんでした。

紹介されていたワークショップの全行程を行おうとすると、人員は集められないし、時間は足りないし、ワークショップ自体のやり方が良くわからない、という三重苦でした。

そのため、自分たちが理解でき、実行可能な内容でデザインスプリントを行いました。


【失敗】UIの問題を解決すべき課題にしてしまう

理解のフェーズでは、既存サービスや競合サービスをチーム内で見比べて、そこからサービスの課題を抽出しました。

それ以外には、以前に作られたプラグマティック・ペルソナ(想像で作成したペルソナ)を参考に、ユーザー像を思い描いていました。

結果として、現状のUIの問題をサービス課題として捉えてしまい、ユーザーが実際に抱える課題やニーズを配慮していませんでした。

実際のユーザーが重視していない点を、解決すべき課題として捉えていたのです。

当然のことながら、テストのフェーズで行ったユーザーインタビューでも、ユーザーからはMVPに関して良い反応は得られませんでした。

【対策】実際のユーザーに聞いてみよう

実はテストのフェーズの時点で、実ユーザーの根本的な課題やニーズを知らなくてはいけないことに気づきました。

ユーザーに直接会って話を聞き、そこから得た知見を踏まえて、ユーザー全員にオンラインのアンケート調査も実施しました。

こうしてユーザーインタビューアンケート調査を実施して、ユーザーに深掘りして質問し、分析することで、ユーザーが共通して抱える課題やニーズが見えてきました。


【失敗2】ワークショップでメンバー全員がヘトヘトになる

発散のフェーズで、UIのアイデアを考える方法として、開発チームでデザインスタジオというワークショプを行いました。

みんなでUIを考えたり、図を描くなど、普段慣れていないことをしたうえ、自分の段取りが悪かったこともあり、メンバー全員がヘトヘトになったり、思っていることが形にできないメンバーが出てしまいました。

【対策1】2〜3人のグループでワークショップを行う

UIのアイデアを考えるワークショップでは、下記のような体制で取り組むようにしました。

・1グループ 2〜3人で分かれてUIのアイデア考える
・図を描くのが得意な人が複数いるときは、その人達は別々のチームにする。こうすることでグループごとのアウトプットの差が出ないようにする

このようにすることで、1人だけで頭を抱え込み、なかなか手が動かないということがなくなりました。

【対策2】時間を細かく区切る

集中してワークショップをするために、時間を細かく区切ることにしました。
案出しに30分ぐらい必要なボリュームなら、15分ごとに時間を区切り、グループ同士で中間発表をするのもオススメです。

【対策3】予行練習が大事

やったことがないワークショップは、まずは数名で軽く予行練習するのが大事です。そうすることで、大人数で失敗することを避けられます。

【対策4】お菓子を食べながらやる

慣れないワークショップをしていると、段々と心が荒んできます。
こういうときは、お菓子を食べながらワークショップをすると、心穏やかになります(個人差あり)


【失敗3】検証方法の指標が曖昧

MVPを作るときは、MVPキャンバスを作成し、検証内容も明記していたので、後は検証するだけだと考えていました。しかし、これが大きな勘違いでした。
※ MVPキャンバスの参考:リーンスタートアップの仮説検証とMVPキャンバス

いざユーザーを集めてインタビューをしてみようというときに、あらためてMVPキャンバスを見返すと、何を基準にMVPの良し悪しを判断すればいいかわからない記述をしていました。

実際にMVPキャンバスの項目「実証に必要なデータの部分」には、下記のように記入されていました。

実証に必要なデータ・条件:インタビューのデータ

これでは実際にインタビューしてデータが取れたとしても、何を軸に判断すればいいか、わからなくなってしまいます。

【対策】定量的なデータを指標にしよう

調査をしたり、ワークショップに夢中になっていると、検証が後回しになってしまいますが、どのような指標でやるかはとても大事なことです。


【まとめ】失敗するデザインスプリントのポイント

・実際のユーザーのことを知ろうとしない
・ワークショップが超辛い
・検証方法の指標が定量的ではない

デザインスプリントをしている中で、上記のポイントがあるなら要注意です!

私の勉強不足が招いた結果になりますが、以上が今回の失敗談になります。
他にも色々とありすぎるのですが、特に目立った点をピックアップしてみました。


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