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あとがきのないサーカス #少女サーカス #こよ幕 のあとがき


 この秋口に、同時発売となりました。

 一線を越える話を書こう、と思いました。
 少女から、大人になるにあたって。(たとえそれが成人をむかえていても)
 一線を越えて、とりかえしのつかない話を書こうと思ったのです。

 以下、ネタバレありの「文庫あとがき」です。
 一切のネタバレ拒否の方は、読まないで下さいね。といっても、むしろ、読了していないとわからない、かもしれません。
 ゆるゆると、加筆されるかもしれないです。



 つまり、シェイクスピアは待っていたのだ、と書き終えた時に思いました。

「あなたより、私の方が、少女サーカスを愛している」

 そう言ってくれる誰かのことを。
 自分を壇上から引きずりおろしてくれる誰かのことを。
 星空の中にいる人間が、星を見上げることなんか出来ないから。
 本当は、団長なんかやりたくなかったね。でも、一番愛する人から託されたから、自分の決断ではおりることなんか出来なかった。
 彼女は今、幸福である、ことでしょう。同時に少しだけ、寂しくも思っているだろうけど。
 愛するものを、愛せる、ただひとりに戻れたから。

『ブランコ乗りのサン=テグジュペリ』から
『今宵、嘘つきたちは光の幕をあげる』文庫になるにあたって、
 わかりやすい加筆として、幕外が書かれています。
 カジノチケットポータルサイトが二本続き、カジノ・サーカスレビュー。このレビュアーは、間違いなく、チャペックのことを愛していたことでしょう。同じ現場に入れてよかったね。恨んだり、憎んだりしたかもしれない。でも、きっと成仏できたはずです。
 そしてネットニュース記事、ここでは、とある女性の肩書きが、「ソングライター」と書かれています。「シンガーソングライター」ではないか、というチェックが入っていたのですが、「彼女」はかつて、歌姫の歌を聞き、自身のマイクを置きました。けれど、歌を愛しているから、つくることはやめられなかった。そうして未来のいつかで、歌姫のうたを書くことになるのです。もしかしたら、これをのりこえたあと、彼女はもう一度マイクを持つかもしれない。そんな未来も感じました。
 最終章には、幕外がありません、が、あえていうならば、「影」の終章が、この本全体の幕外となります。
 326pの「彼女」は「そう」です。
 この病院の名前が記された時から、そういうことです。相違ございません。

 今ここに筆を置ける、そのことを、とてもありがたく思います。
 とりかえしのつかない日々で。
 とりかえしのつかない話を書いていく。

 今日も、明日も、明後日も。そういう生き方に、どうか───喝采を。  

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