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[ep.1]実行委員が100km歩く、スタート前までの様子

【メインテーマ】
100km歩こうよ大会 in 摩周・屈斜路 2019の実行委員がリアルに100kmを歩くことを決意し、実行したらどうなるのか?

●本稿の記録の仕方について

1日に書けるところまで書きます。「ここで話が途切れたらまずいだろ!」というような場所でも、書けなくなったら容赦なく書くのをやめます。逆に言うと、書けるうちはひたすら書こうと思っています。ペース配分?そんなものは今の自分にとって瑣末なものよ。

あと、寄り道、後戻りのエピソードが出てくるかもしれません。書いているうちに過去のことで思い出すことなど、頻繁にあることです。


●「100km歩こうよ大会 in 摩周・屈斜路 2019」に関する「まえがき」

これは「100km歩こうよ大会 in 摩周・屈斜路 2019」の大会実行委員の一人である、わたくし便艦(べんかん)が「リアル100kmコース」を徒歩で視察した際の記録です。あえてシニカルな言い回しをするならば、「大会実行委員にも関わらず、その一切の責務を他の実行委員に放擲した上で徒歩参加に興じてしまった」と内観せざるを得ない記録でもあります。

その前に、100km歩こうよ大会 in 摩周・屈斜路とはどんなものなのか説明が必要ですね。

この大会は、摩周湖と屈斜路湖を擁する北海道・弟子屈町(てしかがちょう)の町内にある道を100km(※)歩く、または歩く人をサポートするという非日常的な体験を通して、感謝・感激・感動を味わうといったものです。

※2019年大会の徒歩距離について、厳密には「一般向け:84.6km」と「参加資格が必要なリアル距離:100.6km」の2種類があります。コースが2つに分かれている理由については公式HPをご覧ください。

2019年 リアル100kmコース(参加条件あり) 画面中間くらい
https://www.100kmwalk.net/coursemap/

この大会は2019年で14回目となりますが、私は2014年の一度だけを除いて全て参加しています。そのうち、10年前の2009年だけは自身の強い希望で徒歩参加をしました。

10年が経ち、常連の参加者もコースも実行委員会の面々も変わった今でこそ、改めてコースを歩いて見えてくることがあるかもしれないと考えて、前述の通り他の実行委員に迷惑がかかることを承知の上で、徒歩参加、しかもリアル100kmへの参加を決めたのです。


●開会式・スタート会場に移動し、受付が開始するまで

2019年7月6日(土)
朝3:45起床

この大会の受付時間開始は5:30からのため、準備のために実行委員一同は4:30までに開会式・スタート会場である川湯ふるさと館に赴くべしと大会実行委員長・松山氏からの決然たる号令を昨晩に受けておりました。

前日の7/5に撮影した「川湯ふるさと館」の外観

アラームをセットした携帯電話が喧しく鳴り響いているのでストップして、半開きにもなっていない重い目蓋を擦る…いや、むしろ指で少し圧をかけてマッサージして解すようにしながら起床しました。

本大会に徒歩参加として臨むにあたり、前日に川湯温泉地域内にあるセイコーマートで購入していた栄養ドリンクを片っ端から飲み干します。

この5本で、総額2,127円。せめてプラシーボ効果でいいので、少しばかりでも己を奮い立たせてくれるのであれば、決して手痛い出費ではありません。お守りのようなものですね。特に、私にとって本大会の成功におけるゲン担ぎと思っていた「ユンケルローヤルC2」はここ数年サボっていたので、しっかり飲まなければならないと改めて自戒しました。

4:30ちょうどくらい、もしかしたら数分程度遅れたかもしれませんが、川湯ふるさと館に到着しました。既に数名の実行委員は現地入りし、準備を進めておりました。

川湯ふるさと館が本大会の開会式・スタート会場となるのは2011年以来、8年ぶりです。私としては懐かしい思いで会場入りしましたが、ここ数年で本大会に関わっていた方々からすると、むしろ新鮮に思えるのでしょう。これこそまさに「故きを温ねて新しきを知る、温故知新」ですかね、ちょっと違うか。

以前と大きく異なるところは、施設内にブルーシートを敷き詰めて土足のままで入れるようにしたことです。普段はカーペットが敷かれているところですので当然のごとく土足禁止です。玄関前で靴を脱いで頂くスタイルは大混雑の原因となりますので、素晴らしいアイデアだと思いました。

その他にも、準備はたくさんあります。布団を動かしたり、

会場にポスターを貼ったり(※)、

※この方は、コース上では最終チェックポイント(CP)である第8CPのチームリーダーを担っている「タカシ」さんです。何気なく何枚か写真撮影したら、急にHipを突き出してくるようなPosingをしてきたので、ベストショットの1枚を選んで採用しました。実際には真っ直ぐに近い姿勢でポスター貼りをしていました。

前日までに、幟旗や吊下げ旗もセッティングしたりもしています。


●5:30から受付開始

事前にアナウンスしていた受付開始時刻の5:30を過ぎると、徐々に大会参加者が川湯ふるさと館に集まってきました。

開会式前後には、おにぎりとペットボトルの水をもらえます。おにぎりは「うめ」「こんぶ」「山わさび」の3種類があります。

ただ大変申し訳ないのですが、予算の関係でおにぎりは1人1個でお願いしています。どの味にするのか、選択を迫られます。

北海道外から来た参加者からすれば「山わさび」は少し馴染みが薄いフレーバーかもしれません。そのためか、毎年「山わさび」が一番早く無くなります。


●開会式

開会式の式次第は下記のとおりです。

・弟子屈町長挨拶
・大会実行委員長挨拶
・大会注意事項
・送迎バスの案内
・選手宣誓
・集合写真撮影(屋外に移動します)

今年初めての試みとして、「ラジオ体操」の項目が廃止されました。そのため司会者のドロンジョ様(※)より各自で体操を行うように指示があります。とある一角では、十数名が輪を作って独自にラジオ対応を行っているシーンがありました。

※ドロンジョ様・・・この方、お互い10年前の2009年大会で徒歩参加した時にあれやこれやありまして「ドロンジョ様」というあだ名が定着したため、そのまま通します。

開会式の様子。大会実行委員長・松山氏のお話の場面です。

町長の話や実行委員からの注意事項で、繰り返し説明したトピックがあります。

ここ数年の弟子屈町では、この時期にヒグマの目撃情報が多く寄せられています。2006年に本大会を初めてから数年くらいは「クマはシカやキツネと違って、見ようと思って見られるものじゃないんですよ。北海道民でも一生に一度、見られるかどうか」などと説明していたのですが、特に2019年については前日の夕方に、本大会のコース上で目撃情報があるくらい頻繁に出没しています。

※弟子屈町 ヒグマ情報
https://www.town.teshikaga.hokkaido.jp/05machizukuri/35kankyou/2019-0615-0923-82.html

ネイチャーガイドをしている実行委員より「死んだフリは絶対にやめてください」「静かに後退りしてください」など、万が一(いや今の状況だと…1/10000=0.01%の確率…よりも高確率ではなかろうか。それよりも、何を以って遭遇確率とするの?ああ、そんなことはどうでもよくて、もしも、そうもしも)ヒグマに遭遇したときの対処法を、今までの大会よりも一層入念にレクチャーします。

館内での最後のプログラムは、ここ数年で定着した「前夜祭のビンゴ大会で突然、選手宣誓の権利が当たる」といったイベントで選出された方による選手宣誓です。

毎年のことなんですが、前夜祭で選手宣誓の権利が当たった方は、半ば絶望したような、困惑したような、絞り出した苦笑いを以って「…明日がんばります」とお話されるのです。

そんな状態で臨む選手宣誓にも関わらず、例外なく心に響くような言葉を、片腕を上げて高らかに発声することになるのです。幾度となく感動させられたことか。

それは当然、今年も同じこととなります。サポートとして参加された「ロコねえ」さんが見事に宣誓しました。

目の前で見ていて、発せられるセンテンスのたびに感動していました。こんな風に、自分の芯を貫いて思いの丈を伝えることが出来るのなら、どんなに素晴らしいことか。

選手宣誓が終わった後は川湯ふるさと館を後にし、集合写真撮影のために近くにある気温計の前にスペースまで移動します。

天気は曇天、気温は18.4℃。湿度はやや高めで、少し肌寒さも感じますが、比較的歩きやすい気候と言えるでしょう。

今回の徒歩参加に際し、予てより「一緒に歩きましょう」と話していた方がいました。あだ名は「あいぼん」氏。何年か前から本大会を通して顔見知りとなった40代男性で、マッサージの施術が出来る方と何となく聞いていました。

徒歩参加者の集合写真を行います。あいぼん氏と共に集団の中段に位置を取ります。私は徒歩参加者側から撮影の様子を写真に収めてみました。

撮影後、ほどなくしてスタート時刻の7:00となります。大会実行委員長の松山氏の傍らに移動し、少し興奮気味に携帯電話の時計機能で刻まれていく秒を数えていきます。

7:00ちょうどになった時点でスタート、と思いきや、交差点の信号機が赤色を記しています。青信号になった時点で、本当に徒歩参加者の歩みが始まるのです。

[ep.2]リアル100kmのスタート、そして焦燥感 につづく