【第8CP→第9CP】最後の敵に打ち勝て

記事初回入稿日:2009.08.24
最終改訂日:2019.08.04

2009年6月28日(日)
2:33 第8CP到着

体は少しガタが来ていますが、気持ちは元気です。気持ちが元気だと、体のガタを感じません。

第8CPまで来ると、サポートの方たちが本当に嬉しそうに出迎えてくれます。

何て言うんでしょう、今までのCPとは比べ物にならないくらい、本気の歓迎と言いましょうか。私以上に我々の到着を喜んでくれます。そんな中でこんなに笑ってていいものかと、少し不安になるくらいでした。

途中で応援してくれた本社スタッフのAさんは、「これから家に帰る」と言いながらも、わざわざこのCPで我々の到着を待っててくださいました。何だろう、この奉仕の力は。。。

第8CPには、そこそこの人たちが集まっていました。サポートの方たちは、盤石な体制で徒歩参加者をお出迎え。

見た感じ、他の参加者の方たちもヘロヘロになっている人はいませんでした。過去の大会に比べると、徒歩参加者の方たちがとても元気に歩いています。言うなれば、心に余裕があるような、そんな感じです。大会を楽しんで歩いている感じに見受けられます。

我々ドロンボー一味も、このCPで少し休んでいくことにしました。ここの最終受付は4:00。まだまだ滞在する時間はあります。

まずは張った足腰を柔らかくしてもらおうと、マッサージを依頼します。マッサージって、この大会の徒歩参加者の醍醐味ですね。実は自分はマッサージってそんなに好きではないんですが、CPで施してもらうマッサージは、自ら希望するくらい良いものです。

そこでやってきたのは、みっちーさんです。

みっちーさん「おつかれ!便艦くんは今来たんか!」

みっちーさんは、この大会の皆勤賞の方で、2006・2007・今年とサポートをしていただいてます。特に2007年は徒歩参加を希望していたのに、サポートが少ないということで無理を言ってサポートになっていただいた経緯があり、とても頭が下がります。昨年2008年は息子さんと徒歩参加として来て、日付が変わる前にゴールし、そのままサポートをしに行ったという強靭な方です。自分の中では、まさにサポーターの壁を越えたサポーターです。

さっそく丹念にマッサージをしてもらいます。

みっちーさん「なーに、全然筋肉が弱ってないやん。余裕や、余裕!」

その言葉こそ、自分にとっての良い催眠だったのかもしれません。

この時の自分の心は、

「当たり前ですよ、余裕でゴールできるつもりでいますから!」

と思っていました。

しかし今考えてみると、結構この時は足の指の痛みも去ることながら、序盤のペースで歩けるほどの力は残っていませんでした。ですので、この言葉によって私の気持ちは鼓舞され、より楽しく先に進むことができたのでしょう。

つまり、みっちーさんの言葉は、私の根拠のない自信に着火し、私のチキンハートを燃やしたと言えます。本当にありがとうございました。

10~20分くらいマッサージを受け、心身ともにリフレッシュしました。同時期に、根津さんもドロンジョ様もマッサージを受けていました。その間、私はコーヒーやコーンポタージュを頂き、少しお腹を満たします。

この時、みんなでちょっぴりふざけたような話をしたりしなかったりだったと思いますが、よく覚えていません。リラックスしていたのと少し眠いのとで、この先の記憶は相当曖昧です。

一つ覚えているのは、第7CPでカニ汁をふるまってくれた本社スタッフのJさんがここに立ち寄った時のやり取りです。

Jさん「なーに、アンタら!まだこんなところで油売ってんのかい!」

私、根津さん「いやー、すんません。だいぶのんびりしてました…」

Jさん「なんだ、それじゃ花札やる?持ってくるから!」

結局は花札をやることはなかったのですが、この切り返しは我々ドロンボー一味の心を奪いました。

飲み物を空にしたら立ち上がり、一口大のチョコレートを少しもらい、出発する事にしました。何だかんだで時計の針を見ると3:20くらい。1時間弱滞在したことになります。

これから、極悪集団ドロンボー一味は、夜明けの峠へと向かうのでした。サポートのみなさんにお別れを告げ、ゴールでまた会うことを誓って、その場を後にしました。ここから第9CPまでは、急な下り坂とヘアピンカーブが連続します。そんな道路をドロンボー一味は杖を突きながら下っていきます。何かに負けたわけじゃないのに侘しい言葉ですね、「杖を突きながら下る」なんて。

北海道は私の住む関東に比べて緯度も経度も高いせいか、3時台で既に空が明るくなってきます。いくつかカーブを越えていくと、段々と日が昇るのを感じることができます。綺麗な朝焼けを、比較的標高の高いところから臨むことができました。

これは、各CPでのんびりと過ごした人の特権でしょう。暗いうちにここを通り過ぎてしまうのも、それはまた別の魅力があるかもしれません。しかし、自分はこの光景に出会えたことがとても嬉しかったです。贅沢なハイキングプランのような気すらしてきます。

硫黄山だって見えます。硫黄のために歪に白く塗られた山肌が、少しだけ雪を纏ったようにも見えます。

下っている間は、たくさんのカーブが連続しています。「このカーブを越えれば直線か?」という思いを、ずーっと持ち続けていました。第9CPの直前には、結構長い直線があります。つまり、長い直線に差し掛かれば、第9CPはもらったも同然でした。

しかし、行けども行けどもカーブは終わりません。少し真っ直ぐな道を歩いた後のカーブを曲がれば、今度こそ直線!と思いながら、何度も裏切られました。

今だから言いますが、自分にとっては、このスティントが一番つらかったです。きっと他の方たちは、同じような思いを持って第5CPの長い直線を経験し、摩周の山登りをしていったのでしょう。

つらい原因として考えられることは明白でした。それはただ一つ、「眠気」です。

何度も言いますが、足だって痛みを抱えていました。しかし、それを凌駕するほどメンタル面を蝕むラスボスこそ、「眠気」でした。眠気を抱えていると、頭はうまく回転せず、せっかく会話を楽しんで歩いていけるはずなのに、それをも阻んできます。

ネガティブ発言をしないことに関してはとっくに慣れたのですが、とにかく瞼が重い。ウトウトする。

もちろん、口には出しません。口に出したら自分の負けだと思ったからです。

私がそんな眠気と闘っているさなか、根津さんはネイチャーガイドさながらの森林案内をしてくださいました。

根津さん「あ、ここの木には、クマが爪で抉った跡がある!」

など、内地の人間にはわからないような案内をしてくださいました。

他、初年度、あり得ない場所に設けられた第8CPの話をドロンジョ様に話したりしました。おかげで、私は睡魔と闘いながらも楽しいひと時を過ごすことができました。

そして、意外なほどにあっけなく、左カーブを曲がった後に長い直線が広がってきました。

この時に感じた「あっけなく」と思う感情は、眠気というラスボスに苦難の末に勝ち抜いた私への最大のご褒美であると思います。

そして眠気に打ち勝つためには、根津さんとドロンジョ様の力を無くしては、ありえませんでした。

この直線は、実は結構な曲者で、第8CP~第9CPのスティントの半分くらいを占めています。つまり、今まで下ってきた分の距離と同じくらいの距離を歩くのです。

しかし、もうここまで来れば、もう少しで第9CPが見えてくるのは自明の理でした。

根津さんと私はコースを知っているので、パーキングの看板が見えたらもうあと僅かということを知っていました。

前方には数名の徒歩参加者が見えます。さらに向こうには、車も見えます。もうあと僅かで、最後のCPに着くことがわかりました。

そして、第9CPが設置されているパーキングを表す看板が見えてきました。

少し近づいて、ほらこんな感じ。あと300m!

ん?

何だ、ちっちゃく見えるあの変なキャラクターは。

ズームしてみると・・・

何これ、もしかしてアリ!?気持ち悪っ、腕が4本出てる!しかも指が5本!指の合計数は、腕4本×指5本=計20本!

せめて腕を出すところが4つあるTシャツを買いなさいよ。普通のTシャツじゃ、腕が狭いでしょうが!しかもアリにしては顔色悪すぎ!笑ってる場合じゃないよ、アンタ!

最後に言うとね、足首から靴にかけて、ミッ○ーマウスみたいですから!無念!

釧路土木現業所は、何を思ってこのキャラクターを採用したのでしょうか。そんなことしてると、「P」を自由に利用してしまいますよ!いいんですか?いいんです!

こんな感じでふざけていたら、あのアリの場所からあっという間に第9CPに到着しました。道路にサポートの方が立っていて、パーキングへといざなわれます。

5:02、最後のCPである、第9CPに到着いたしました。

3:30前くらいに第8CPを出発したので、1時間半ちょっとで着いたことになります。しかし自分からしたら、もっと時間がかかっているような気もしました。それくらいに精神的に堪えたスティントだったのでしょう。

朝5時では、自分の考えではゴールするにはまだ早すぎます。しかも、眠気はまだ消えたわけではありませんでした。

つまるところ、ここで最後の時間調整(そう、睡眠)をとっていくことになるのです。根津さん、ホントごめんなさい。寝てばかりですみません。おやすみなさい。

【第9CP→(第10CP)?】まだゴールする覚悟ができてない につづく