日本は「レイプ犯に優しい国」か

 トッキーさんという人が、私のツイートを批判した上で、
「日本は「性犯罪事案での有罪率が極度に高い国」だとか言ってますけど、そもそも日本では、裁判まで持ち込まれたレイプ事件が極端に少なく、大半が「泣き寝入り」になっているということを知らないんですか?」と述べ、その根拠として、「5月26日付朝日新聞によると、心理学や医学の研究者らが、31人(複数の被害を受けた人もおり、被害件数は41件)の性犯罪被害者にインタビューしたところ、その中で警察に相談をしたのは9件あったが、加害者が有罪になったのは2件だけだったそうです。」と述べています。その上で「こういう『泣き寝入り』の構造があることを含めて日本は「レイプ犯に優しい国」と言っているのです!」といっています
 実際のデータを見てみましょう。
 日本側のデータとしては、法務総合研究所の「性犯罪に関する総合的研究」をみてみることにしましょう。
 これによれば、強姦罪についての平成26年の認知件数は、1250件でした。そして、同年の強姦罪での起訴人数は448人でした。ただし、起訴されなかった人のうち、家庭裁判所に送致されたのが87人でした。また、それ以外の不起訴の理由の56.6%が告訴の取り消し等であり、その多くは、起訴前に示談が成立したものとみられます。さらにいえば、 不起訴の理由の5%は時効が成立していたというものでした。
 他方、平成26年の通常第一審における有罪人員(懲役)は361人でした。
 つまり、平成26年の日本では、ざっくりいうと、有罪人数÷認知件数=0.288ということになります。

 では、諸外国ではどうでしょうか。女性の地位が高いことで知られるスウェーデンについてみてみましょう。
 Wikipediaによれば、スウェーデンは、2015年に警察に5918 件の強姦事件が報告されたが、同年強姦等で有罪になったのは176人とのことです。
 ざっくりいうと、2015年のスウェーデンでは、有罪人数÷認知件数=0.03ということになります。

 次に、強姦罪の構成要件に「暴行または脅迫により」要件がないことで刑法改正推進派から引き合いに出されることが多いイギリスについてみてみましょう。
 2019年1月のINDEPENDENT紙によれば、「only 1.9 per cent of recorded rapes prosecuted 」つまり受理されたレイプ事件のうち1.9%しか起訴に持ち込めなかったということになります。なお、BBCのレポートによれば、 イギリスでは、合歓の疑いで起訴された人のうち、18歳から24歳の男性であれば有罪率は31.6%、25歳から59歳であれば有罪率は45.6%とのことです。
 最後に米国についてみてみることにしましょう。
Washington Pstの記事によると、米国では、レイプ事件のうち、警察に報告されるのが31%、有罪判決が下されるのが0.7%とのことです。
 ざっくりいうと、有罪人数÷認知件数=0.02ということになります。
 こうみると、有罪人数÷認知件数が28%という日本は、西側先進国の中では、むしろ、性犯罪の被害者が泣き寝入りする割合が低い国であると言えそうです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?