総務省令で認められた情報のみを発信者情報開示の対象とすることの不合理性

不合理性「発信者情報開示の在り方に関する研究会」の「中間まとめ案」に以下の記載があります。

また、発信者情報の具体的内容が総務省令に委任されている趣旨は、「被害者の権利行使の観点からは、なるべく開示される情報の幅は広くすることが望ましいことになるが、一方において、発信者情報は個人のプライバシーに深くかかわる情報であって、通信の秘密として保護される事項であることに鑑みると、被害者の権利行使にとって有益ではあるが、必ずしも不可欠とはいえないような情報や、高度のプライバシー性があり、開示をすることが相当とはいえない情報まで開示の対象とすることは許されない。

 しかし、当該特定電気通信により開示請求者の権利が侵害されたことが明らかであり、かつ当該情報を開示することが発信者を特定する上で不可欠であるにもかかわらず、開示をすることが相当でないとするほどに高度のプライバシー性がある情報って何のことを言っているのか理解不能です。病歴等の要配慮個人情報とか、発信者を特定する上で開示請求すること自体考えにくいわけですから。仮にそのようなものがあるのであれば、ある程度特定した上で、不開示情報として法律に明記しておけばいいだけの話です。

 また、

加えて、今後予想される急速な技術の進歩やサービスの多様化により、開示関係役務提供者が保有している情報であって開示請求をする者の損害賠償請求等に有用と認められるものの範囲も変動することが予想され、その中には開示の対象とすることが相当であるものとそうでないものが出てくることになると考えられるが、それらを現時点において法律中に書き尽くすことは不可能である。そこで、総務省令によって発信者情報の範囲を画することとしたものである。」とされている8。

ともあるのですが、「開示の対象とすることが相当であるものとそうでないもの」かの判断を、総務省が、裁判所よりも迅速かつ適切になし得ると考える合理的な理由はありません。実際、省令の見直しのスピードは極めて遅いのが実情です。

 なので、総務省令で認められた情報のみを発信者情報開示の対象とする現行プロバイダ責任制限法の枠組みは、一日も早く改められるべきだと思います。

 先日のパブコメでもその趣旨を述べたのですが、どうやら取り上げてすらもらえなかったような。

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