平成29年度 【意匠】問8の枝3:"じっくり解説" 弁理士試験 短答式 本試験

 引き続き【問8】の解説をしていきます。

(問題文の全文は別ページに掲載しています。以下の解説は、自分で問題を1度解いてみてから読むようにしてください。)

 「枝3」の解説に入りましょう。

【問8】
意匠の無効審判又は意匠権の消滅に関し、次のうち、誤っているものは、どれか。
3 冒認出願を理由とする無効審判請求は、当該意匠登録に係る意匠について意匠登録を受ける権利を有する者しかできない。

 「枝3」で出題されているのは、無効審判の請求人適格についてです。

 「特・実・意」の創作3法において、無効審判の請求は、

原則は何人もできる

という共通のルールがありました。

 例外は、共同出願違反と冒認出願の場合で、これら2つの主体的要件に関する無効理由については「利害関係人に限り請求」できると規定されていました。

 しかしながら、平成23年の法改正によって、上記の2つの主体的要件に関する無効理由は、「真の権利者のみ」無効審判において主張できるという変更がありました。ここでいう「真の権利者」とは、「特許/登録を受ける権利を有する者」(原始的に創作者)のことです。

 改正の理由は、平成23年に移転請求権が創設されたためです。真の権利者が移転請求をした特許権・実用新案権・意匠権に関して、第三者が無効審判を請求できてしまうと、真の権利者の移転請求権の行使が制限されてしまうからです(『平成23年 特許法等の一部改正 産業財産権法の解説』p56 参照)。

 さらに、平成26年の改正で特許法に「特許異議の申立て」制度が導入されたことに伴い、「特許異議の申立て」は「何人も」(113条柱書)申し立てることができるのに対し、特許無効審判は「利害関係人限り」(123条2項)請求できるのが原則になりました。

 一方で、共同出願違反と冒認出願とに関する無効理由については、真の権利者のみが請求できることに変わりはありません。

 ここまでで、

何人
利害関係人に限り
真の権利者のみ

の三者が出てきました。この三者をベン図で表すと次のようになります。

 また、特許・実用新案・意匠の創作三法について無効審判の請求人適格をまとめると次のようになります。

 「枝3」は48条2項にある通り、冒認出願を無効理由とする意匠登録無効審判を請求できるのは、真の権利者である意匠登録を受ける権利を有する者のみとしているので、正しいと正誤判断できます。

 「枝3」は、以上の条文通りの素直な設問であり、迷うことなく正答できます。
 ということで、次回は「枝5」の解説をします。

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