平成29年度 【意匠】問5の枝3:"じっくり解説" 弁理士試験 短答式 本試験

 引き続き【問5】の解説をしていきます。

 (問題文の全文は別ページに掲載しています。以下の解説は、自分で問題を1度解いてみてから読むようにしてください。)

 「枝3」の解説に入りましょう。

【問5】
意匠登録出願及び意匠登録を受ける権利に関し、次のうち、正しいものは、どれか。
ただし、特に文中に示したものを除き、意匠登録出願は、分割又は変更に係るものではなく、かつ、放棄、取下げ又は却下されていないものとする。
3 願書の記載又は願書に添付した図面、写真、ひな形若しくは見本についてした補正がこれらの要旨を変更するものである場合は、審査官は、その補正を却下することができると意匠法に規定されている

 「枝3」は、問題文の末尾を読むとわかるように、意匠法に規定されているかどうかを問うています。

 ふだんの受験勉強で、

「要旨変更補正⇒補正却下」

とだけ憶えてしまっている受験生は、まんまと「枝3」を「〇枝」としてしまうかもしれません。

 しかし、すでに解説した通り問5は「枝1」が正しい選択肢ですから、条文の知識が曖昧な受験生は、「枝3」が正解なのか「枝1」が正解なのか、迷ってしまうことでしょう。

 「枝3」の答えは、17条の2第1項が、

(補正の却下)
第17条の2  願書の記載又は願書に添付した図面、写真、ひな形若しくは見本についてした補正がこれらの要旨を変更するものであるときは、審査官は、決定をもってその補正を却下しなければならない

とあることから「誤り」であり、シンプルな出題です。

 この問題は受験生に、

「条文の理解は正確に」

というメッセージを投げかけているように感じます。

 補正の要旨変更の取扱いについても、単に、

「要旨変更補正⇒補正却下」

とだけ憶えるのではなく、せめて、

「要旨変更補正⇒補正却下」(強行規定)

と憶えておきましょう。あるいは(こちらがオススメですが)、条文への接触頻度を重ねることで、

(補正の却下)
第17条の2  願書の記載又は願書に添付した図面、写真、ひな形若しくは見本についてした補正がこれらの要旨を変更するものであるときは、審査官は、決定をもってその補正を却下しなければならない。

という条文も、丸暗記はできないものの、使われている表現が思い出せる程度には憶えておきましょう。

 弁理士試験の短答式試験は、条文から離れた勉強をすればするほど、合格から遠のいてしまいます。

 わからない条文がある場合に、受験教材や参考書を読んで理解しようとするのは結構なことですが、最後の最後は、

「素の条文を読んだときに、その条文の内容や出題のポイントが思い出せる」

このレベルを目指してほしいと思います。

ということで、次回は引き続き【問5】「枝4」の解説をします。

弁理士試験ランキングで1位になりました。

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