答案講評例②:平成24年 意匠

 平成24年の意匠については、偏差値でいうと52~53ぐらいの出来であると評価します。

 問I1は内容面はOKです。ただし、前半では、「考案」(実2条1項)が技術的思想の創作である点について触れたほうがいいです。また、「意匠」(2条1項)として保護、のように、意匠法2条1項も挙げるようにしてください。
 一般に、趣旨が問われる問題であっても、根拠条文を適宜示すように心がけるとよいです。

 問I2についても、例えば「出願人が同一であることを要する(13条2項)。」のように、根拠条文を示してください。手続的要件については、「原出願の表示をする(施規2条、様式4、備考2)」を書けるようにしたほうがよいです。この点は本試験当日に正確に思い出せなくても、貸与法文集の意匠法施行規則の様式を見ることで正確に解答できます。

 問I3については、根拠条文として13条の2第2項が抜けています。

 問題II1について、秘密意匠の制度趣旨としては、「第三者の模倣を防止する趣旨」というキーフレーズを出したほうがよいです。それらしい記載はなされていますが、キーフレーズが出ていないため、やや冗長な記載になっている印象があります。

 問題II2について、問題文の指示は、「相違する点を説明せよ。」なのに対して、解答では、「~に留意する。」となっていて、設問表現と解答表現が噛み合っていません。

 また、記載スペースも解答時間も余っているようなので、問IIは一般的な規定を述べて、すなわち、差止請求の定義(37条1項)や、過失の推定規定(40条本文)に言及した後に、秘密意匠にまつわる特則を解答したほうがいいです。

 根拠条文のように「受験生の多くが書ける事項」が抜けてしまうと、相対的評価はどうしても下がってしまいます。

 本問のように、事案整理をする要素がない場合は、完成度の高さの勝負になるので、根拠条文を伴って解答できる箇所を充実させるようにしましょう。

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