平成29年度 【意匠】問4の枝3:"じっくり解説" 弁理士試験 短答式 本試験

引き続き【問4】の解説をしていきます。

(問題文の全文は別ページに掲載しています。以下の解説は、自分で問題を1度解いてみてから読むようにしてください。)

「枝3」の解説に入りましょう。

【問4】意匠の登録要件に関し、次のうち、正しいものは、どれか。
ただし、特に文中に示した場合を除き、意匠登録出願は、いかなる優先権の主張も伴わず、分割又は変更に係るものでも、補正後の意匠についての新出願でも、秘密意匠に係るものでも、冒認出願でもなく、名義人の変更はないものとし、また、ハーグ協定のジュネーブ改正協定に基づく特例は考慮しないものとする。
3 甲は、「自動車」のドア部分の部分意匠イについて意匠登録出願Aをし、意匠登録を受けた。乙は、出願Aの出願の日後、出願Aに係る意匠公報の発行の日前に、出願Aに係る意匠公報に掲載された出願Aの願書及び願書に添付した図面に記載された「自動車」のバンパー部分の部分意匠ロについて意匠登録出願Bをした。この場合、出願Bは、出願Aにかかる意匠公報に掲載された意匠の存在を理由として意匠法第3条の2の規定により拒絶されることはない。

例によって、まずは設問の事例を図示しながら問題文を一読します。

できごとを時系列に並べつつ、先後願関係と要件とをチェックすると、


1. 甲は意匠イ(物品「自転車」)について部分(ドア)意匠の先願Aをした
2. 乙は意匠ロ(物品「自転車」)について部分(バンパー)意匠の後願Bをした
3. 後願Bの後に先願Aの意匠イについて意匠公報が発行(20条3項)されている

と、整理できます。

ということは、原則の3つの適用要件のうち、

2).  後願Bの意匠が先願Aの意匠の1部と同一または類似する場合があるか

を検討すればよいことになります。

この点は、具体的な意匠公報を見ながら考えていきましょう。

物品「自動車」の「ドア部分」の部分意匠とは、たとえば以下のように意匠公報に掲載されます。

(意匠登録1424409の意匠公報より【正面右方斜視図】を引用)

上図を見ると分かるように、物品「自動車」の「ドア部分」の意匠を出願した場合に、その意匠公報に掲載された出願の添付図面に、物品「自動車」の「バンパー部分」の意匠が「現され」(3条の2本文)ている場合があります。

ということは、問題文の事案においても、乙の後願Bの部分意匠ロ(バンパー)が、甲の部分意匠イ(ドア)の先願Aの意匠公報に掲載された添付図面に現された意匠の「一部」(3条の2)であるバンパーの意匠と「同一又は類似する」ことがあり得ます。

そのような場合は、乙の意匠ロについての後願Bは、先願Aを拒絶引例として3条の2に基づいて拒絶されます(17条1号)。

これに対して、「枝3」では、

【発展】

【問3】の「枝1」から「枝3」までを見てきたことで分かるように、3条の2の適用においては、

「部分意匠に係る先願の後願排除効は、全体意匠に係る先願と同等のパワーがある」

と考えることができます。

なぜなら、部分意匠の出願であっても、意匠公報にはその部分意匠に係る物品の全体像が「現され」(3条の2本文)るからです。

このことを分かりやすく表にまとめると、

となります。

この図では、左に示す4つの出願形態に係る先願を引例として、上に示す4つの出願形態に係る後願が3条の2に基づいて拒絶されるか否かをまとめています。

ピンクで囲った4つの〇印は、

・部分意匠に係る先願が排除できる後願の出願形態と、

・全体意匠に係る先願の後願の出願形態とは、

同等であることを表しています。

3条の2のほかに、意匠法の先後願関係を判断する上で考慮しなくてはならない条文には、3条と9条とがあります。

3条と9条についても、上図と同様に、その適用について4つの出願形態別に先後願関係を表でまとめてみると、正誤判断の助けになります。

以上、【問4】の正答である「枝2」の解説に加えて、3条の2の適用判断の練習のために、「枝3」の解答手順についても解説しました。

本試験では、【問4】は自信をもって「枝2」をマークしつつ、「枝3」以下、残り3つの選択肢については検討せずに【問5】に進むのがよいでしょう。

仮に、検討するとしても、他の問題について一通り解答をした後に、時間が余ったら改めて【問4】の「枝3」から「枝5」までを正誤判断すればよいのです。

短答式試験では、どの法域の問題であっても配点が1点であることには変わりがないのですから、得点し終わった問題はさっさと見切りをつけて、どんどん前に進む姿勢を忘れないでくださいね。

ということで、次回は【問5】の解説に進みます。

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