平成29年度 【意匠】問7の枝4:"じっくり解説" 弁理士試験 短答式 本試験

引き続き【問7】の解説をします。

(問題文の全文は別ページに掲載しています。以下の解説は、自分で問題を1度解いてみてから読むようにしてください。)

「枝4」の解説に入りましょう。

【問7】
意匠の類否判断に関し、次のうち、誤っているものは、どれか。
4 本意匠とその関連意匠が登録されているとき、本意匠と他の意匠との類否判断にあたり、関連意匠を参酌できる。

 この選択肢は、

「本意匠と他の意匠との類否判断にあたり、関連意匠を参酌できないってことはありえないよね。」

という感覚で「〇」だと正誤判断してもらってもよいかとは思います。

 ただ、こうした「感覚解き」ができてしまう問題ほど要注意です。短答式試験の問題演習でいつまでもこうした「感覚解き」ばかりしていると、試験の出来も、結局フィーリング頼みになってしまうからです。

 短答式の問題演習をするときは、しつこいくらいに根拠条文や条文の解釈にはっきりとした正答根拠を求める努力をし続けてください。

 さて、「枝4」の解説に戻ると、関連意匠制度の前に制度として存在していた「類似意匠制度」に関連した出題です。

 関連意匠制度は平成10年の法改正により新たに導入されました。関連意匠制度の導入によって、従前にあった「類似意匠制度」は廃止されました。

 類似意匠とは、本意匠と類似する意匠について意匠登録を認めるという点では関連意匠制度と同様ですが、侵害訴訟の場では、類似意匠は本意匠の効力範囲を定める際に参酌されるものに止まっていました (『逐条解説』意匠法10条〔趣旨〕参照)。

 そこで、関連意匠制度では、本意匠と関連意匠とは同等の保護価値を有することを理由に、各々の意匠権の効力を認め、どちらの意匠権であっても権利行使は可能であると規定しました。

 つまり、関連意匠制度とは、類似意匠制度の上位互換の制度であるから、類似意匠と同様に、本意匠の効力範囲を定めるために関連意匠を参酌することも当然に認められます。

 よって、「枝4」は正しいと正誤判断できます。

 以上解説したように、短答式試験を解きながら、問題作成者の出題意図にも思いを巡らすことができると、余裕をもって正解できます。

 というわけで、次回は「枝5」の解説をします。

弁理士試験ランキングで1位になりました。

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