平成29年度 【意匠】問8の枝2:"じっくり解説" 弁理士試験 短答式 本試験

 前回から【問8】の解説を始めています。

(問題文の全文は別ページに掲載しています。以下の解説は、自分で問題を1度解いてみてから読むようにしてください。)

すでに枝1の解説は終えているので、続けて「枝2」を解いていきます。

【問8】
意匠の無効審判又は意匠権の消滅に関し、次のうち、誤っているものは、どれか。
2 共有にかかる意匠権の場合、無効審判請求にあたっては、共有者全員を被請求人としなければならない。

 「枝1」では、ある客体的登録要件が無効理由か否かについて問われていました。

 それに対して「枝2」では、無効審判の当事者適格、あるいは手続き的要件について問われています。

 無効審判は、

ある意匠権をつぶすことができるか?(意匠法49条)

ということを考えていくわけですが、初学者のうちは、どうしても無効理由(48条1項1号)のような実体的規定にのみ目が行きがちです。

 しかしながら、法律は実体面と手続き面と、両方とも重要なのであり、いずれか一方の要件が欠けても、勝負にはなりません。

 この点、実体的な規定については面白く勉強できるのですが、手続き規定は無味乾燥でつまらないと感じる受験生も多いかもしれません。

 あなたはどうでしょうか?

 しかしながら、短期で合格したいのであれば、手続き規定についても一国も早く面白がって知識を吸収できるようになることが近道です。

 食べず嫌いと同じで、味がしないからといっていつまでも敬遠し続けているのならば、得意になることは一向にありません。

「点数が取れる分野 = 合格するためには"おいしい"分野」

ということに早く気が付いて、今のうちから審判系の規定も得点源にしていきましょう。

 さて、「枝2」に戻ると、問題文にあるように、無効審判については当時者対立構造をとるため、意匠権が共有に係る場合は、無効審判の被請求人もその意匠権者全員を相手にしなければなりません。

 根拠条文は、意匠法52条で準用する特許法132条2項です。

(共同審判)
特許法132条
2  共有に係る特許権について特許権者に対し審判を請求するときは、共有者の全員を被請求人として請求しなければならない。

 「枝2」は、上記の特許法132条2項が弁理士試験で試験範囲となっているすべての審判で準用されているということを思い出せれば、正答することができます。

 なお、「枝2」で問われているを共同審判に関する規定をはじめとして、審判手続きの総則についての出題は、意匠法や商標法で出題できます。むしろ出題者側は、特許法の20問で出題しそびれた審判に関する問題を、【問8】のように意匠法や商標法で出題してくる傾向があります。

 特許法で審判に関する規定を勉強するときは。この出題傾向を思い出し、

審判の規定をマスターすれば、特許法のみならず、意匠法や商標法においても得点源になる。

と考え、やる気を奮い立たせることをオススメします。

 以上より、「枝2」は正しい選択肢だと正誤判断できます。

 というわけで、次回は「枝3」の解説をします。

弁理士試験ランキングで1位になりました。

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