R1商標得点表20191021

答案講評例㉕:令和元年 商標

【形式面】
・小問ごとに1行空けて解答していますが、詰めて解答してください。
・添削でも指摘しましたが、主語・目的語を明示した文を書くよう心がけてください。主語や目的語がないと、文が異なる意味にとれてしまうことがあります。
「第3者」はマスコミ表記であり、法律上は「第三者」とすべて漢字で表記します。
・問題I(1)③では、「いずれの立場が妥当と考えるか」が問われていますから、本問の解答の結論は、「~が妥当と考える。」となるはずです。そうでなければ、論述の結論が明示されていない印象を受けます。設問表現と解答表現を対応させるようにしましょう。

【内容面】
問題I(1)について
・不使用取消審判に関して、「使用していないことについて正当な理由がなければ、何人も取消審判を請求できる」とありますが、使用していないことの正当理由の立証負担(50条2項ただし書)は商標権者が負っているものです。答案のように書くと、正当理由の有無が取消審判の請求原因のように読めてしまいますので不要です。
・商標の同一性について、まずは物理的な同一に触れてください。
・社会通念上の同一について言及する時は、根拠条文として「38条4項かっこ書」の明示がマストです。直近の改正事項であるため、書けないと他の受験生と差がついたと思われます。
・「過剰な防護標章登録出願を防止」とありますが、正しくは「防衛的(な)出願」です。ここは積極ミスとして減点される可能性が高いです。
・「パリ条約6条の5(C)(2)の趣旨」とありますが、正しくは「パリ条約5条(C)(2)」です。この展も積極ミスとして減点される可能性が高いです。

問題I(2)について
・商標法上の保護対象が「信用」であると解答されていますが、正しくは「業務上の信用」(1条)です。根拠条文とともに条文上の文言を示すようにしてください。
・②の立場について、「いかなる形態であろうと不使用であれば不使用とすべきと考える(立場)」とありますが、これだと①の立場のように読めます。なお、文中の「形態」は「態様」のほうが表現として適当です。
・本問では「50条の趣旨に照らして」と要請されていることから、50条の趣旨の言及が明示的に必要です。

問題II(1)について
・拒絶理由の対象について問われていますから、指定商品「りんご」に拒絶理由がない理由は削ってOKです。
・「「りんごジュース」は構成員の業務に係る商品の普通名称ではない」とありますが、誤りです。「りんごジュース」について「りんごジュース」は普通名称だからです。ここは商標「AOMりんご」が「りんごジュース」の普通名称ではないと正確に言及する必要があります。
・拒絶理由を有する根拠序文として7条の2第1項1号・15条1号の明示が必要です。

問題II(2)について
・出願分割は、通常は拒絶理由のないほうを原出願に残し、すみやかに登録を受けます。解答では逆になっていますので、積極ミスとして減点される可能性が高いです。
原出願時にされたものとみなされるのは「分割出願」です。主語を明示してください。
・本問においては指定商品の変更補正の要旨変更や防護標章は無関係です。題意から外れていますので、積極ミスとして減点される可能性が高いです。

問題II(3)について
・防護標章登録出願の主体が、商標権者甲であることに言及しましょう。
「混同のおそれ」の認定において、「乙の使用計画」に触れたほうがよいです。
防護標章登録の要件の根拠条文は65条ではなく64条です。この点は積極ミスとして減点される可能性が高いです。
・防護標章登録の効果として、差止請求が可能であることに言及しましょう(36条1項・67条1号)。

【総評】
・答案の添削において「◎」を付記した箇所は積極ミスと判断しました。知識を再確認することをオススメします。
・上述の通り、積極ミスが頻発していたこともあり、相対評価も基準点いかに下がったものと思われます。
・まずは問題IIの事例問題を解き直し⇒書き直しによる復習をオススメします。問題Iの条文説明問題は、内容よりも形式面(根拠条文の明示・設問表現と解答表現の対応)を意識して書き直してみてください。

以上

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