R1特実Q1得点表20191016

答案講評例㉒:令和元年 特実 問題I

【形式面】
1. 小問ごとに1行空けて解答していますが、詰めて解答してください。
2. 各問ごとに「結論⇒理由」の順で解答したほうが見やすいです。
現状だと、結論が解答の中に埋もれてしまっているので(問1(1)・問1(2))、見落とされるリスクがあります。

【内容面】
問1(1)について
1. 設問では「適当と考える特許請求の範囲の記載」を示すことが求められています。どのような記載が適当と考えるのか、まず示しましょう。
2. 冒頭1~2行目の補正の時期的要件の記載には誤りがあります。
拒絶査定不服審判の請求と同時に補正をする場合は、「請求と同時に」しか補正はできず、「拒絶理由通知の指定期間内」は無関係です(17条の2第1項4号)。
3. 「a1への補正をすべき」という解答は不十分です。
発明であるA1と、発明特定事項であるa1とは区別して解答する必要があります。
4. 17条の2第3項の検討と17条の2第4項の検討を1文でつなげて解答していますが、1文ずつ切って解答したほうが読みやすいです。
5. aとa1は発明特定事項なので、「単一性の要件を満たす」という解答は不正確です。「AとA1とが発明の単一性の要件を満たす」が正しい解答です。
6. 17条の2第5項の要件の検討が不十分です。aからa1への限定に加えて、産業上の利用分野・解決しようとする課題が同一であることにも言及する必要があります(17条の2第5項2号かっこ書)。
7. 17条の2第6項の要件について、「独立特許要件を満たすならば」と仮定条件で解答していますが、AからA1の補正によって、問題文には「(進歩性欠如の)拒絶理由が回避できる」とあるので、独立特許要件は満たすと結論づけることが可能です。
 なお、補正について独立特許要件に言及する際は、準126条7項も根拠条文として挙げてください。

問1(2)について
1. 本問のように「拒絶査定不服審判と同時に補正をした後に特許査定された」場合は、前置審査において特許査定される場合と、差戻審決後の審査において特許査定される場合との2通りがあります。
解答のように前置審査に限定して解答する必要はありません。
2. 分割できないから乙の判断は正しくないという結論と根拠条文はOKです。
3. 本問で問われているのは、44条1項2号かっこ書の趣旨であって、前置審査の趣旨は問われていないので、解答しても得点は期待できません。

問2(1)について
1. 本問ではすでに国際出願Bをし、国際出願日が認められていますから、願書の提出や願書の記載事項、国際出願日の認定について解答するのは題意から外れています。
 また、問われているのは出願人が採りうる手段ですので、国際出願の取扱いを解答しても得点にはなりません。最後の2行にのみ、得点がつきます。
2. 写しの提出について、「Bの写し(の提出)」、甲について「Bの出願人甲」、優先日について「優先日であるAの出願日」のように、事案に即して具体的に解答する必要があります。
3. 優先日については、根拠条文である「PCT2条(xi)(a)」を明示してほしいです。

問2(2)について
1. 結論・理由付けはOKです。
2. 先の出願については「A」であることを具体的に示してください。
3. 国内優先権主張の根拠条文は、「41条」のみではなく「41条1項柱書」としたほうが正確です。

【総評】
1. 問1(2)・問2(1)において、問われていない内容について言及している点が気になります。
設問で直接問われている事項のみを解答することをまずは優先しましょう。
2. 事例問題における「あてはめ」の解答表現に課題があるようです。
問1(1)は頻出事項なので、書き直しをオススメします。 

以上

宗教法人としての法人格は有していませんが、お布施・お賽銭・玉串料・初穂料、いかなる名義や名目をもってするかを問わず、すべての浄財は24時間受け付けています(笑)