28歳 木下創

4回目。

28歳 木下創

はじめまして、こんにちは。
本日からこの学校に赴任することになった木下と申します。担当は数学です。前の高校では主に理系の生徒を対象に教えておりました。千葉大学出身ですが、地元はここなのでもちろんこの高校もことも知っております。出身高校はここではなく、市内の高校でした。高校のときは、山の上のこの高校の生徒は毎日通学が大変だなと思っておりましたが、いまは車なので生徒のときに思った通勤の大変さは特に感じておりません。なんだか、いざ自分がその場所で働くことになると思うと感慨もひとしおです。教員になって以来、赴任はこれが初めてとなりますが、この高校一の生徒思い、学校思いの教員になれるように毎日精進して参ります。教員にとって何度目のかの学年の生徒も、その生徒側にとっては初めての担任です。なので、生徒の記憶に残るような先生になれればと思います。教員になりたての前の高校では、慣れるのに必死であまり生徒に寄り添うことができませんでした。毎年変わらない生徒の年齢と年だけを重ねる自分にギャップを感じることもあったり、自分が高校生だったときの高校の担任もそう思っていたのかなといたのかなと考えたり、そういえば小中学校のときより高校の先生の方が思い出に残ってないなとか思ったり。いろいろ悩んでいた時期もありました。ある時、ある生徒に言われたことが胸に刺さったんです。「でも、先生って大学出てすぐ教師になったんですよね。社会はどうたら、人生がどうたら、勉強が将来に役立つ立たない、みたいな話ときどきしてますけど、サラリーマンも経験してないくせに人生の先輩じみた教訓垂れるの恥ずかしくないんですか?」と言われたことがありまして。情けない話、何も返せなかったんです。実際、高校のときに想像していた大人には全然なれてなくて、漠然とした大人像が理想の大人像だったんだなと挫折しました。アラサーの28歳になったいまも生徒の前では悩みを聞いたら全て解決する全知全能の神みたいに思われることにどうしても葛藤があります。そう振る舞わないといけないこともあるのもわかりますが、一方で保険とか税金とか冠婚葬祭のこととか全然わからないですし、わかるのって数学のことだけなんです。それも高校以下の。でもいまは例えポーズでも、「私は1年ごとに新たな気持ちで生徒と全力で向かい合えることが自分の取り柄です」と言わないといけないと思っております。笑われるかもしれませんが、言霊ってあると思っていて。言えば自分でもそう思えるんじゃないかと考えているんです。ポーズがやがて自分の体の一部になって、生徒の人生で一番楽しかった、思い出に残ってますと成人式や同窓会のときに言われるような、憧れの対象となるような先生になりたいと思っております。現実はなかなか厳しいのもわかっておりますが、それがいまの目標です。30歳になったとき、いまの自分の想像のなかの30歳にどれだけ近づけたか。今度はそれを楽しみにしたいです。よろしくお願いします。

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