作品イメージ

作る、売れる、届ける、を繰り返すことの出来る喜び。

手作りの良き品々、ハンドメイド。

しかしこのハンドメイドという言葉の持つニュアンスが年々少し変わってきている気がして、『 ハンドメイド作家 』と呼ばれることに軽い抵抗感を持ってしまう。

ハンドメイド=趣味の手芸や簡単なアクセサリー
ハンドメイド作家 =主婦のおこずかい稼ぎ

誰でもタダ同然で簡単に作れておこずかい稼ぎができるハンドメイド!みたいなテレビの特集などの影響なのか、誰でもハンドメイド作品を売れるサイトの間口が広まっているからか、なかなかこのむずがゆいイメージが拭えない。


よくテレビなどで特集されているように、趣味で始めてお小遣い稼ぎをする主婦層が多いのも事実だろう。
決して悪いことではない。
むしろ才能を活かして自ら活動する様は素晴らしい。

ある人気サイトでは、運営も作家さんも圧倒的に女性が多い。
セミナーもほぼ女性、女子校や女子会のようで、女性は安心して相談したり活動したりできるのだ。
境遇を共感し合って応援し合って繋がって。

大きな資本を持たずにリスクも少なく始められるし、規模によっては仕事や子育ての合間に活動することも出来る。
手数料こそかかるけれどノルマや審査もなく、始めやすく続けやすい。
そしてそれを女性スタッフが優しく丁寧にサポートしてくれる。
ママさんに人気なのもよくわかる。
素晴らしいことだと思う。

ただ、私はそもそも女子会が得意ではない。
女子会に問題があるという意味じゃなくて、私の特性としてどうも馴染めないのだ。
もちろんお喋りは楽しいし、基本的に良い人ばかりなのだけど、女性ばかりだと気疲れすることが多く、上手く上っ面で合わせることも得意ではない。

そういえば学生時代も、休み時間に友達に一緒にトイレに行こうと言われて、私は今トイレ行きたくないからと断ったら泣かれた記憶が‥
今トイレ行きたいか行きたくないかではなく、一緒にトイレに行くという行為自体が友情を確かめ合う行動だったらしい。
難しい。


というわけで、何が言いたいかというと。

そんな私にも、苦手意識を一切感じさせないサイトがある。
それが Creema。

作家のことは『 クリエイター 』と呼ぶ。
ちゃんとプロとして扱ってくれるのだ。

「 親愛なるクリエイターの皆さま 」

メールの冒頭はこう始まる。
この言い回しがすごく苦手という人もいたけど私は嫌いじゃない。
色々な言い方がある中で、これで統一しようぜ!と決めたそのこだわりを尊重したいと思う。

そんな creemaさんには、モールでの販売以外にも東京ビッグサイトでのハンドメイドインジャパンフェスをはじめとする各地のイベントでもお世話になっている。
スタッフの方々がフレンドリーな雰囲気でピリピリ感も出さず、だけど手慣れた様子でテキパキと働く小気味良さというか。
私は好きな雰囲気だ。

と、運営サイトのことばかり言っているけど。

私も一応クリエイター。
デザインの学校を出て紆余曲折、着物屋などの営業や企画などの仕事を経て、今はひとりで作家活動をしている。

色々興味のあるものを作っているけれど、元はスマホケースがメイン。
希少なアンティーク着物や紋様を使って最新のスマホを包む、『 古くて新しいもの 』を作っている。

古くは大正、昭和くらいの時代の祝い着が多い。
もしくは少し新しくても吉祥文様。
デザインや染めなど昔の職人さんたちの技術もセンスも素晴らしい。
色柄も斬新で逆に新しいと感じるものさえある。
さらにその柄の意味も誰かの幸せを願う縁起柄、それを贈る人も着た人も幸せを願ってのもの。
ただ美しいだけではないのだ。


そんな着物もお役目を終えたらおしまい。
どこかで眠っていたり、シミだらけになってたり、捨てられたり。

それらをもう一度だけ蘇らせて最新機器を包んで、晴れの日だけではなくいつも新しい持ち主の横に、当たり前の顔で居て欲しい。
そこで新しい持ち主と一緒に、また新たな幸せな時間を過ごせばいい。
そんな思いを込めて『 BESIDE 』というブランド名にした。
傍ら、というニュアンスで。


creema に登録してから程なくいくつか売れた。

かなりマニアックな作品なので、対象者の絶対数は少ないものの好きな人はすごく好きで、こんなの待ってた!と喜んでもらえて、さらにお礼や感動のメールなどいただくこともあった。
マニアックな生地ほど仕入れも高いし手に入りにくいし、扱いも難しく制作の苦労もあったが、私はこれをやってみて本当に良かったと感動したものだ。

しかし商売。
ひとりの心に深く響くことができるのはとても貴重なことだけど、たくさん売れないと成り立たないのが商売。
しかもコンスタントに。
何万人と作家登録者のいる巨大ショッピングモール、うかうかしてるとすぐに埋もれてしまう。
うかうかしてなくても埋もれてしまう。

御多分に漏れず私もその壁に何度も当たることになる。

その度に出来ることを探す。
やってみては改善点を見つけて、またやってみて。
作るもの、作り方、見せ方、売り方、対応の仕方、何もかもが試行錯誤。
ある程度『 在り方 』の軸をしっかりしてないと試行錯誤過ぎるとブレる。
稼ぐことは必須だけれど、お金が目的になってしまっては色々見失う。

色々なセミナーにも参加してみた。
マーケティング目線からの分析、ブランド運営のセオリーやノウハウ、SNSの活用法など。
とても勉強になったものもあれば、違和感を覚えるものもあった。
そして出来たこともあれば、出来なかったこともあった。

それはそのセミナーやノウハウが悪いからではない。
どんなに素晴らしいノウハウやセオリーがあったとしても、それは誰かの正解であって、私の答えではないからだ。
私がやるからには、私らしくないと意味がないし、正解に私が対応できなければしょうがない。

それに結局は、弱いところを強化することに尽力できるほどの余力がないのだ。
生きてるだけで精一杯の日だってある。
欠点は直した方がいいかもしれないけど、欠点が魅力になったりすることもあるはず。
自分らしさを抑えて世の正解を模索するよりも、自分らしさをそのまま売りにするしか私には出来なかった。

私には正解はわからないけど。
でも好きなことを楽しく続けられているということは、本当に幸せなことだと思う。

悩むこともあるけれど、悩み疲れたら賢い選択なんて手放してバカになったっていいと思う。

計画通りに出来なくても、売上が厳しい時も、今日出来たことだけが現実と受け止める。
そして明日はどんな努力しようかと。
そうやって一日一日を積み上げて行くだけ。

ただ自分の中で確実にこれは大事だと思えることは、腐らないこと。
思い通りに行かないときも、全然結果を出せないときも、自分にガッカリしそうなときも。
どんな時も腐ることなく、じゃあどうしようかと、楽しみながら小さな努力の毎日を積み上げる。

結果、バズって大ブレイク!!
みたいなことは起きてないけど。

少しずつお客様が増え、少しずつサイトに取り上げてもらえるようにもなり、少しずつ商品のバリエーションも増やして、三年目の今も少しずつ成長しながら、地道に活動を続けることが出来ている。

こうして私は、今がどこに繋がるのかを楽しみにしながら、また明日も努力する。

作ること、売れること、届けることの喜びを今日も明日も感じていたいから。



#エッセイ #creema #ハンドメイド #私のハンドメイドストーリー #お店の未来 #hmj2019 #HMJ #好きな日本文化

応援ありがとうございます!