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いつも捨てるものを探している。〜中崎タツヤ「もたない男」を読んだ。

「もたない男」について、もう少し書きたくて。


中崎タツヤさんのエッセイ集「もたない男」を読みました。

2015年発行


昨日の記事でも触れたのですが、もう少しこの本について書きたいと思い別記事にしました。


著者の中崎氏について、Wikipediaより。

代表作は『身から出た鯖』、『じみへん』。
不条理漫画ブームの頃に登場したが、逆に条理を徹底的に詰めるスタイルを好み、登場人物が議論したり自問自答したりする描写が多い。
2015年8月、還暦を機に断筆し、『じみへん』の連載も終了。
『じみへん』にて第20回手塚治虫文化賞・短編賞を受賞。

「もたない男」は漫画ではなく、エッセイで、断捨離生活について書かれているのですが、その徹底ぶりにかなりびっくりしました。


捨てる、捨てる。ページを破りながら本を読む。


とにかく、ものを捨てまくります。

しかし中崎さん、意外というか、物欲はかなり強いそうです。

・気になったものがあればとりあえず買う

・買ってから必要かどうか徹底的に考える

・不必要なら迷わず捨てる


と、モノとの付き合い方はこんな感じ。

ソファやパソコンなど、必需品と思えるものも不必要と判断したらどんどん捨てていきます。

母からの手紙や漫画の原稿など、情が移りそうなモノも捨てます。


普通の人なら絶対やらなそうな例としては、ボールペンを使っていてインクが減ってくると、インクが減った分だけ本体を削っていくのだそうです。

それでボールペンが短くなると心が安まると。


まるで笑い話のようですが、ご本人はいたって本気のようです。(そのうち、もともと短いボールペンを見つけ、愛用するようになったそう)。

文庫本を読みながら、読み終わったページを捨てていくというのにも驚きました。

絵の解説付きでした。

このあと3ページに渡り、
「ページの捨て方」が解説されます。
なぜか表紙は捨てられず、
最後に戻すのが流儀のようです。



中崎さんにとって、読み終わったページは即「不必要なページ」となるので、捨てたくなる、という道理のよう。


今必要なければ、捨てる。


執筆用に借りているという部屋の写真も掲載されていましたが、見事に何も物がない。


部屋に来た知人は、まるで内見に来たみたい、と言ったそうでこれも笑い話のようですが…。


モノを持ち続けるか捨てるかの判断基準は「必要かどうか」が全て。


それだけ聞くと、普通と言えば普通。


ただ、普通の人が、いつかまた使うかもな、今捨てたらあとで後悔しそう、と判断を先送りしてとっておくのに対し、中崎さんはとにかく「今使うかどうか」で判断する。

これまで使っていた。または、いつか使うかもしれない。それは重要ではない。

今要らない、だから捨てる、という判断になるそうです。

いつかまた必要になったらその時にまた買えばよい、と。


読み終わると、何か捨てたくなる?


この本を読んで、思わず部屋を見渡してしまいました。

そして影響を受けやすいなと自分でも思いますが、不要と思える空箱、段ボールなどを早速捨ててしまいました。

たしかに気分は良かったです。

しかし、本については積読が常態化しており、捨てるどころかどんどん増えています。

もちろん、読み終わったページを破っていくことなどできません。。

この、「もたない男」にしても、また読み返したくなりそうで、捨てられません。

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