いつかの休みの日にスタンスミスを買った話

五反田の靴屋の店員は両手に指輪をたくさんしていて目が死んでいて悲しくなった。

バイトが休みの日に五反田に靴を買いに行った。何件か靴屋に立ち寄っている時に少し安くスタンスミスを売っている店を見つけた。大阪にいる時靴を買いに行くと店員に試し履きしていいか尋ねないといけないと思っていた。上京してから店員に試し履きしていいか尋ねると不思議な顔をされたのでそれ以降私は聞かないでいた。その日も自分で買いたい靴の在庫があるか自ら探していると女性の店員が丁寧に私が探している靴を尋ね探してきてくれた。マニュアル通りの丁寧な接客をする彼女はおそらくA型だろう。彼女の真っ白なマスクの奥からは若者言葉と標準語で塗り固められたイントネーションの「28センチ」という単語が飛び出す。最近自分の足のサイズが26.5センチではなく28センチだと知った私は28センチの靴を探していると言った。私の「28センチ」のイントネーションはなまっていた。28センチの青のスタンスミスの靴紐を解く彼女の手には右手に2個程左手に3個程指輪がしてあった。私は指輪をたくさんしている女性が好きだ。なぜだかはわからない。ピアスをたくさんしている女性も同様である。女性が指輪をする理由は深くは知らないが何かしらの想いが込められているものだと推測する。私は指輪をたくさんしている女性の目が死んでいると何故か少し悲しくなる。なぜだかはわからない。昔の私であれば指輪をたくさんしているという理由でナンパしていたかもしれないが連絡先を交換すること等が全てではないと悟ったのでそんなことはしない。なにより今の私にはそんな情熱がない。靴のサイズが私の足にあったので購入することにした。レジ前でスニーカークリーナーを勧められたので購入した。会計は9999円。私の想像していたより1.3倍くらいの金額だったが指輪をたくさんしている女性の手前、平静を装って会計を済ませる。財布のカード入れに「ごぺんなさいカード」を忍ばせていることをバレるではないかと不安になるが指輪をたくさんしている女性の手前、平静を装って会計を済ませる。
店を出て私はもしかして28センチはさすがにでかすぎたのではないかと不安になる。私は世界とあの女性の身の回りの環境が今より平和になればあの女性がこれ以上指輪をつけなくて良くなるのではないかと思う。
あくまで私の経験上の話だが指輪をたくさんしている女性の喫煙率は100%である。ピアスをたくさんしている女性も同様である。また私は、喫煙する女性も好きである。

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