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「ホップステップだうん!」 Vol.159

今号の内容
・巻頭写真 「向谷地家」江連麻紀
・続「技法以前」133 向谷地生良「リジリアンス」
・ 「ネコから学んだこと」  亀井英俊
・なおのん便り 「働くこと(employment)」
・福祉職のための<経営学> 021 向谷地宣明
・ぱぴぷぺぽ通信 すずきゆうこ 「逃避行のすえに・・・・」


右から向谷地生良さん、吉田めぐみさん、悦子さん、宣明さん

「家族って生きる苦労の泉が次から次へと湧いてくるところでしょ。その苦労に対してべてるで培ってきたノウハウを生かしてきたらどうなるか調べてみようかと思ったの」という生良さんは、3人の子どもの他に「今日も連れてきたよー。この子達にご飯食べさせてねー。」と、依存症の親をもつ子どもたちを連れてきて、苦労に苦労を注ぎ込むような家庭だったそうです。

実験台にされているとは知らず自らの内にあるマイナス思考とたたかいながら健気に1人で苦労と立ち向かっていた悦子さん。

「子供の頃、父親は忙しくてほとんど家に帰ってこなかったけど、たまに帰ってきたらテレビで野球を見るからゲームもできないしアニメも見れなくてちょっとイヤだったのを覚えてる。」と宣明さん。

中学から向谷地家で暮らし始めた吉田めぐみさんも一緒に撮影。

撮影中、フィルムの値段(10枚1100円)に驚いた生良さんは「みんなカメラを見て!失敗したら大変だよ!」とみんなに声をかけてくれました。

(写真/文 江連麻紀)

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続「技法以前」133 向谷地生良
「リジリアンス」

先週の土曜日、カナダから「リジリアンス」の研究者であり、臨床家(ソーシャルワーカー)であるマイケル・ウンガー(ダルハウジ一大学ソーシャルワーク学部)を招いた国際シンポジウムが札幌で開催されました。ウンガ―は、家族療法をベースにしながら、生態学や関連諸科学の学びながら、特に若者の暴力や非行問題に対して、データに基づいた明確なアプローチを提案し、実績を上げているアクティブな研究者であり、ソーシャルワーカーです。

彼の主張は明確です。それは、「若者が暴力的に行動化したり、教師や面倒をみてくれる人を心配させはじめたとしても、『問題の』若者へのアプローチは、希望を提供する」という確固たる姿勢です。そして、「若者とその家族は、他の人が学校や家において認識している、より健康的でパワフルなアイデンティティをみつけるのを手助けしてもらったときにもっとも首尾よくサバイバルできる」のであり、「彼らのとっている行動がどれだけ非合理的なものに見えたとしても、若者の精神病理学や悪い行動の先に、彼ら自身や彼らが適応しようとしてとる対処行動をよりよく理解すること」が大切という立場は、私たちの実感とも重なるものです。

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