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学校選びの真髄 〜いい志望理由かどうか自分で判断するやり方〜

 こんにちは!子どもと共に未来を育む 共育コンサルタントの金澤です。

 別記事で、1000名以上の進路選択をサポートしてきてわかった、「こんな志望理由は危ないよ!」という実例を6つご紹介しました。自分の志望理由を見たときに、このような志望理由を考えていたら、学校に入った後うまくいかなくなる可能性大です。記事ではどこをどうやって掘り下げればいいか、やり方もお伝えしています!下のリンクよりどうぞ↓


 さて、こういう記事を書きますと、「ここには載っていないんですが、自分の志望理由はこれでいいですか?」という質問をよくいただきます。

 この質問をするということは、自分の志望理由には自信がない、またはそれが良い志望理由になっているかどうかが判断できない、ということですよね。

 そこでそれを解消するために、どこに注目して「いい志望理由かどうか」を判断するのか、基準をお伝えしようと思います!自分が一生懸命考えている志望理由があると思うのですが、それをこの記事を使ってチェックしてみてください。

 最後まで読むと、自分の志望理由のどんな部分を、どの観点で考え直せばいいかが見えてきます。別記事で書いた自己分析も交えて、自分の学校選びを見つめ直す機会にしてください!

参考記事:学校選びの真髄 〜一生使える自己分析の方法〜

 便宜上、記事の内容は「高校受験」を想定して書いていますが、大学受験や就職活動でも使えます。書いてある言葉を適宜変えて考えれば応用できるようになっていますので、参考にしてください。


イマイチ志望理由の例(志望理由書)

 まずは見本となる「イマイチ志望理由」の例を出します。これを元に、次の章からはどこがどのようにイマイチなのかを解説していきます。記事を読み進めながら、この例をチラチラ見て内容を確認し、自分の志望理由に反映させてみてください!

※この志望理由書は今までの私の経験を元に、よくありそうなものを取り上げて創作したものです

貴校を志望した理由は三つあります。
一つ目は大学進学実績が高いことです。私は国立大学への進学を目指しているので、貴校で勉強して合格を目指したいと思います。
二つ目は貴校の在校生の雰囲気です。貴校の説明会に参加した際、在校生が参加者に気軽に声をかけてくれたり、明るく挨拶をしてくれたりするのを見て、私もこういう高校生になりたいと思うようになりました。
三つ目は部活動です。私は中学校でサッカーをやっていて、高校でも続けたいと考えています。貴校のサッカー部に体験入部したとき、先輩方が非常に親切に接してくれたので、私もこの中で頑張りたいと感じました。
もし貴校に入学できたら、全力で勉強して、目標の大学に入れるよう頑張りたいと思います。

イマイチ例解説

 この例は、分量としては十分なものになっています。しかし、本当に自分にとって価値のある学校選びをするのに、志望理由の「分量」は関係ありません。大切なのはその質であり、どれだけ理由が自分の中で掘り下げられているかが問われます。(本来、それを確認されるのが面接です)

 このイマイチ例は、私が採点する感じだと40点/100点です。ただ、この記事で取り上げるチェックポイントを踏まえて深掘りして、口頭であれ回答できるようにすれば80点まで上がります。これを100点に近づけるのは、志望理由書を書くテクニックであり、内容の深掘りは80点分で十分です。

 この記事では、このテクニックは触れず、内容についての深掘りをする観点で書いていきます。日本語が・・・とか、もっとこう書いたほうが・・・という視点は一切入れずに解説していきますので、ご承知おきください!


□① 結論に「なぜ?」を3回重ねてみる

 最初のチェックポイントは、結論に「なぜ?」を3回重ねて考えてみることです。

 この志望理由だと、結論は3つで、「大学進学実績が高い」「雰囲気がいい」「部活動が良い」ですよね。

 これをこんな風にしてみましょう。

Q1:「大学進学実績が高いって、なんでいいの?」

A1:「国立大学を目指しているから」

Q2:「国立大学はなんで目指しているの?」

A2:「やりたい勉強があるから」

Q3:「そのやりたい勉強はなんでやりたいの?」

A3:「 」

 ここでA3に入る話が流暢に答えられれば、ある程度の深掘りはできていると考えていいでしょう。文字にしていないとしても、口頭で答えられるのであれば、深掘りは十分です。逆に答えられない・考えたことがない場合、学校選びでは非常に考えが浅いと言えます。

 ※これは【5WHY】というトヨタの業務改善フレームワークを、私が進路指導に応用したものです。適切に話が深まれば、高校受験であれば3つで十分だと思いますが、あまり深まらない場合や、大学受験・就活などで活用する場合は4回・5回と「なぜ」を繰り返していってください


□② 根拠が自分の体験に基づいているか確かめてみる

 続いて2つ目は、①の続きとして、「なぜ」を繰り返して出てきた根拠が、自分の体験になっているかどうかの確認です。さっきの続きで例を出してみますと、

Q1:「大学進学実績が高いって、なんでいいの?」

A1:「国立大学を目指しているから」

Q2:「国立大学はなんで目指しているの?」

A2:「やりたい勉強があるから」

Q3:「そのやりたい勉強はなんでやりたいの?」

A3:「医者を目指しているから」

Q4:「医者を目指すようになったきっかけは?」

A4:「 」

 ここでA4に入る言葉が、「親が医者だから」「安定しているから」「給料が高いから」というような他人の影響や一般論だとしたら、危険なサインです。

 本当にその理由だけで自分がモチベーション高く取り組めますか?

 辛いことがあっても乗り越えられる動機になりますか?

 思うようにいかなくても、その理由でまた頑張ろうと思えますか?

 もし「もちろんです」と言い切れないなら、まだ自己分析が足りないと言っていいでしょう。もう一度、自らの体験に基づいた、本当にやりたいこと・目指したいことを掘り下げていったほうがいいと思います。急がば回れ、ですね!


□③ 「他の学校は?」に対して答えてみる

 3つ目のチェックポイントは、「その結論は他の学校だとどう?」について答えてみることです。先ほどの結論の中からひとつ取り上げると、

Q1:「雰囲気がいいって、他の学校だとどうなの?」

A1:「 」

 このケースの場合、ちゃんと同じ基準で他の学校を見ていないと、全く答えられないということが出てきます。それでは掘り下げは甘いですし、入ってみたら思ったより大したことなかった、ということが頻繁に起きます。そうなって後悔するのは自分自身ですから、事前に考えを深掘りできるところはしっかり考えておくべきです。

 志望理由に入れるということは、他の学校と比べてすごくいいと説明できるか、比べていないけど圧倒的にいいと断言できる、のどちらかになっていて欲しいところです。

 今回の志望理由のように、結論が3つあるなら、その3つにおいてしっかり他と比べておくといいでしょう。もし「サッカー部の雰囲気はちゃんと比べてないな」ということだったら、同じように体験入部を他の学校でもしてみたり、試合を見に行ったりするといいでしょう。本当にこれが自分にとって重視する志望理由ならば、真剣に考えてみるべきです。

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□④ 結論に「具体的には?」を2回重ねてみる

 この志望理由だと結論が3つあります。大学進学実績、雰囲気、サッカー部、ですね。その結論について、今度は別角度から「具体的には?」という問いを重ねてみます。

Q1:「在校生の雰囲気というのは具体的には?」

A1:「明るく挨拶したり声をかけたりしてくれることです」

Q2:「明るく挨拶したり声をかけたりしてくれる、というのは具体的にはどんな雰囲気?」

A2:「 」

 このやり取りを見て、同じことを聞いているように感じるかもしれませんが、そうではありません。

 Q1の質問に対して、A1の答えはあまりに限られた場面の話であり、あまり深い答えではありません。明るく挨拶したり声をかけたりしてくれる、ということは、どんな雰囲気を期待しているのかを考えるべきで、そのためにもう一度Q2で「具体的にはどんな雰囲気?」と尋ねているのです。

 もう少し詳しく説明します。今回の志望理由例のケースでは、「説明会での在校生の雰囲気に良い面を感じた」と書いています。しかし説明会というのは、3年間続く学校生活の中のたった1日であり、外向けのイベントであり、その在校生も当然ウェルカム感の強い生徒です。その生徒だけを見て判断するというのは、学校全体の1%未満の、ほんのわずかのことだけを見て「いい」と言っているのと同じです。

 だからこそ、「それって具体的にどんな雰囲気?」と深く掘り下げて、もう少し学校全体について考える必要があります。そこで本当に自分が望んでいる雰囲気、様子などを説明会以外の場面でももっと具体的にイメージしていき、そのイメージを確かめるために文化祭に行ったり、先輩に話を聞きに行ったりすると良いでしょう。

 ともあれ、「具体的にはどうなんだ」という視点を持つことで、志望理由をさらに深く掘り下げていくことが可能です。

 

□⑤ 他人に細かいところを突っ込んでもらう

 そして最後のポイントは、いくら自分でチェックしても気づくことには限界があるので、他人にチェックしてもらうということです。

 自分は気にならなかったけど、他人が見たら気になるというのは山ほどあります。これで大丈夫、と思った段階で他人に見てもらって、さらに掘り下げる機会を作るといいでしょう。

 例えば私がこの志望理由書を見たとしたら、これまでに出た4つのチェックポイント以外に、こんなことが気になります。

・この学校で勉強すると国立大に行けると考える根拠は?

・国立大に行きたい、と絞っている理由は?

・自分にとって在校生の雰囲気が重要な理由は?

・この学校に入ってどんな人格を手に入れたいのか?

・この学校に入るとその人格に近づけると思う根拠は?

・今までサッカーをやってきた理由は?

・高校でもサッカーをやりたい理由は?他の部活でもいいのでは(むしろ視野が広がっていいのでは)?

・サッカーをやっていて得たことは?

 ・・・などなど、少々意地悪なツッコミもあるかもしれませんが、ここまで掘り下げるのは他人の力を借りたほうがいいですよね。

 そしてここで突っ込まれたことに対して本気で考えた結果、やっぱりこの高校が良いとなれば、より合格に向けた意欲が湧いてくるでしょう。

 逆に、「あれ?ひょっとしてこの高校よりいいところがあるかも?」ということになれば、むしろラッキーですよね。あなたと学校のミスマッチを未然に防ぐことができた、ということになるかもしれません。

参考記事:学校選びの真髄 〜学校選びは「マッチング」〜

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いい志望理由に書き換えてみる

 最後に、冒頭にご紹介したイマイチ志望理由をチェックして、いい志望理由に書き換えたものをご紹介します。ここまで書けるように掘り下げられていれば、学校選びはかなり成功に近づいているでしょう。

貴校を志望した理由は三つあります。
一つ目は大学進学実績が高いことです。私は子どもの頃祖父を難病で亡くした経験があり、どうしても医者になって多くの人を救えるようになりたいと思い、国立大学医学部への進学を目指しています。貴校はその進路の合格者が多く、合格に近づける環境があると考えました。
二つ目は貴校の在校生の雰囲気です。貴校の説明会に参加した際の在校生の振る舞いが、私が将来医者として患者さんに接したい姿と重なり、このような礼節や人格を身につけられるような貴校の指導や雰囲気に入りたいと感じています。
三つ目は部活動です。私は役割分担やチームプレーが好きでずっとサッカーをやってきており、高校でもっと高いレベルでのスキルを身につけたいと考えています。そのために、同じくチームプレーやお互い尊重する関係を作っている貴校のサッカー部の方針が合っていると感じました。
以上の全てを満たすのは貴校しか考えられないと思い、貴校を志望しました。



 ここまでは無理だよ!と思った方、大丈夫です!正しい自己分析、正しい学校調べをすれば、必ずここまでたどり着くことができます。

 まずはご自身の志望理由のチェックをしてみませんか?↓こちらよりお気軽にご連絡を↓




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