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インターナショナルスクール育ちの弱点克服?12歳のTOEIC受験記①

INDEX
1.インターナショナルスクールの弱点とは
2.現状認識
3.ネイティブの証拠?!文法がわからない!
4.教材がない!
5.タイムリミット
6.そして立てた文法もわからず解説も読めない子のTOEIC受験戦略

※注 あくまで1人の子供を通してみた個人の感想・体験記としてお読みください。すべてのインターナショナルスクールにあてはまりませんし、同じ学校に行っていた子供の同級生の多数にこの話があてはまるわけではありません。
これは次女についてのケースです。
香港生まれ、香港育ちで幼稚園は広東語(香港ローカル校)、小学校から英語が教学言語のインターナショナルスクールに香港で通いました。小1~小3前期途中までです。その後2年半沖縄に居住し日本の公立小学校に通い、2023年9月からはオランダのインターナショナルスクール(教学言語:英語)に通っています。

1.インターナショナルスクールの弱点とは

長女次女を通して、インターナショナルスクールを見た時の弱点は3つあります。
①スペリングやライティング力が弱い
②文法はまったく習わないのでわからない
③口語英語はベラベラなので、「自分は英語が100%使えている、自分の英語に弱点などない!」などと間違った自己認識を得る

順番に見ていきましょう。
 ①は、とくに次女はあまり本を読まない子であったので、その影響も大きいと思うのですが、ここで言う「弱い」というのは『口語英語のレベルに対して、書くスキルのレベルが非常に低く、アンバランスである』という意味です。年齢相当の口語英語スキルがあったとしても、では、と、書かせてみると10歳以上になっていても、小学1年生の作文みたいなものしか書けません。最近書かせたら、こんなレベルで愕然としました。


次女11歳の作文


 これは私が子供の教育上もっとこうすれば良かった、と後悔していることのひとつです。口語があまりにできているので、書くスキルもそれなりに、年齢なりに順調に伸びているものと思ってしまい、このアンバランスな発達の仕方に気づくのが遅れました。

L=Listening
S=Speaking
R=Reading
W=Writting

私達が日本語を身に着けたときを思い出しても納得できるように、言語の4要素は、LSRWの順に発達します。Lをインプット(ストック)してSが発生し、RをストックすることでWとしてアウトプットできるようになるんですね。(話はズレますが、日本の英語教育もこの順番を意識してカリキュラムデザインしたらもっと英語が話せる人が増えるんじゃないか・・・と思います。最近はLやSにも小学校から力を入れているのは知ってはいますが、あまりにも早くRとWを始めすぎだと感じています。LSRWがほぼ同時進行ですよね)

 次は、②文法はまったく習わないのでわからない、です。
香港のインターナショナルスクールでは、イギリスの子供が『国語』を学ぶ方法と同じ方法で英語を学んでいました。英語の文の作り方とかを解説するわけではなく、英語で、例えば前期なら『80日間世界一周』を全部読み、その物語の内容を解答させる、みたいな感じです。前期後期ごとに世界の名作(『秘密の花園』『クリスマスキャロル』等)が英語の教科書として選ばれていました。

香港のインターでの英語の教科書
前置詞を答えさせる問題もあるにはあるけれど・・・
多くは物語の内容を理解できているかの設問
ちなみに『秘密の花園』が小5の教科書でした


 というわけで、次女は現時点でほとんど英文法を知らない、理解できないのです。多くのインターナショナルスクールでも英語をこのような方法で教えているのではないかと思います。

3つめの弱点は、③口語英語はベラベラなので、「自分は英語が100%使えている、自分の英語に弱点などない!」などと間違った自己認識を得る、です。

 小学校入学時点では広東語の世界(保育園・幼稚園)に生きていた長女・次女。小学校に入ったとたんに、それはもう、すごい速さで英語がうまくなりました。しかし、いくら立て板に水のようにスムーズにしゃべれようが、発音がよかろうが、しょせんは小学生です。しゃべっている内容はK-POPの話とか、年齢なりの話題でしかありません。大人には大人の、ビジネス英語にはビジネス英語の言い回しの世界があり、それは果てしなく続くものですが、子供だからそれはわかっていない。小学校時点で自分が英語を口から出すのがうまいだけで、もう人生英語で学ぶことなどない、英語においては無敵!くらいの自己認識をもってしまいます。おまけに、これだけ口語英語が使いこなせるんだから、多少英語の読み書きが苦手だろうが、大人になって英語の仕事があるだろう、くらいに、うちの次女ははっきりいって世の中をナメてます。
 例えば日本で観光の英語通訳の仕事をするにしても、通訳としてその場に行く前に、メールでのやり取りとかで仕事が来るものだと思いますし、観光地でこの看板なんて書いてあるんですか?とかクライアントに聞かれたら、当然日本語の読み書き能力まで必要なわけです。
 それなのに、ただ英語を口から出すのが上手いというだけで、なぜか英語全体に全能感を持ってしまう。私は英語は勉強しなくても、できてるもん!と言い出してしまう。
 実際下記のスタディサプリでのリスニング問題で正答率100%が1回出ただけで、「私は英語わかっているんだからもうこのパートはやらなくていいでしょ」と言い出す(もう2-3回やらせてみると60%や70%も出ました)

2.現状認識

そんな次女が、諸事情によりTOEICを受けなければならない状況になりました。

足切り 730
取りたい 750
理想 780
次女に伝えた嘘の足切り 800(笑)

です。
ちなみに3月現在TOEICは未受験ですが、TOEICアプリのSantaでAIによる無料スコア予想では、とりあえず670とでています。(L 385/R 285)
しかし、次女の場合2時間も集中力をもってやりきれるかというと、そこのところが最大の懸念点で、途中で集中力が切れてしまったりして、実際の点数はもっと低いだろう可能性も多いにあります。


mikanのパート別習熟度だとこんな感じ。

mikan

TOEIC学習の金字塔アプリ『スタディサプリTOEIC L&R』だと現状のパート別分析はこんな感じ。mikanよりスタサプのほうが点が辛めですね。そのほうがいいですけど。(ちなみに800点ほしければ全部Aでないといけない)

スタサプの習熟度評価


3.ネイティブの証拠?!文法がわからない!

よく、ネイティブの条件とはなにか?と問われるとき、いろいろな回答があります。私の見た中でなるほどなと思い記憶に残っているのは、

A言語でA言語の童謡が歌える
A言語の文法解説ができない

の2つでした。

日本で生まれ育った私達が日本語を使うとき、「えっ~とここはサ行変格活用だから・・・」という風に考えていませんよね、フィーリングでできる。それがネイティブだという証です。(ネイティブだからと言って、全員そのA言語が同じように上手に使いこなせるとは言っていません)

文法を知らないということは、次女はTOEICのパート5(短文穴埋め30問)とパート6(長文穴埋め16問)を、フィーリングで解くしかないということです。ここが今の一番の鬼門です。次女は日本語の文法用語も日本式の英文法知識もダメなので、スタサプのウリのひとつである豊富な講義動画を、この場面にいたっては役に立てることができません。TOEIC攻略法サイトを読み漁ると、よく日本人は受験英語に強いのでこのパート5,6が得点源にできる、と書いてあることが多いのですが、うちの場合はここが一番のネックに。

フィーリングで解くということは、間違ってもなぜ間違ったのかが理解できないわけですから、次も同じ間違いをしますし、どこまでいっても点数アップすることはないということです。(問題を1000問とか解けば理屈ではなく経験として頻出問題の解答を暗記してきてしまうかもしれないですが)


4.教材がない!

TOEICは、英語ネイティブではない人が受験する試験です。当たり前ですが、となるとどういうことになるかと言いますと、英語で書かれた解説のある教材がほとんど存在しませんでした。問題集には解答はもちろん英語で載っていますが、大切なのは間違ったところを理解するための解説です。ですがTOEIC教材は基本非英語ネイティブが買うものなので、解説も日本語や韓国語、タイ語などで書かれているわけです。

TOEICのボキャブラリーを増やすためのアプリなども、同様です。英ー英でまなべるTOEIC教材というのは、ほんとうにほとんど見ない。1つ英ー英アプリを見つけましたが、UIも悪く(やっぱりレッドオーシャンではないのでクオリティが低い。いい教材が出てこない)、まだ使っていません。

5.タイムリミット

次女は10月上旬にTOIECの点数が必要です。結果が届くまでの時間も入れて逆算すると、4,5,6,7,8,9月の6回オランダで受けられるので、最大で6回のチャンスがあることになります。

もし夏休みに日本に帰国する予定になれば、オランダと日本ではTOEIC試験の日程が違うので、追加的に日本でも受けられるチャンスが増えます。

ちなみにTOEICは日本国内で受けると7,810円なのに、オランダで受けると126ユーロします(2万円以上)


6.そして立てた、文法もわからず解説も読めない子のTOEIC受験戦略

①パート1~パート4(リスニング100問)

 基本スタディサプリで1.2倍速でリスニング強化。
 (言い方悪いですが)課金ブーストとして、下記のカフェトークでTOEIC対策レッスンをしておられる先生に何回かオンラインで見てもらって、解答のコツを教えていただく。

②ボキャブラリー対策

mikanはTEX加藤さんの『金のシリーズ』が単語力強化に最適と聞いて始めました。しかし英→日の訳をしながら単語帳として使うことができない(日本語訳の単語を読めないし知らない)ので、問題演習を通じて頻出単語を覚えていく形になります。

③パート5,6(短文穴埋め30問と長文穴埋め16問)

 教材や解説動画を使えない次女に対しての解決方法としては、英語で英語の文法を解説してくれる先生を見つけ、1問1問 解説&英文法講義してもらうのがいいのでは?とこちらはカフェトークである先生にお願いしています。

④パート7(長文読解54問)

これは現時点では対策しません、様子見。友人のアドバイスによると、ディクテーションでリスニングの耳精度を上げていくと、読むスピードも上がるらしいので、ディクテーションの効果に期待です。


⑤集中力とモチベーションへの対策

 このTOEICで10月までに足切り点数を超えられるかによって、次女の進路、つまり人生は大きく変わります。そのため、カフェトークでコーチングの先生を探し、伴走していただくことにしました。

『自分の中でモチベーションが明確になる、掘り下げられる』=『火事場の馬鹿力的な集中力発揮』

を期待しています。

さらに、長期的で抽象的な目標のためには頑張れないが、短期的で視覚化・具体化されている目標のためなら意欲を発揮する次女のために、得点別ボーナスを用意することにしました。
よく考えたら、1回の受験が126ユーロもするので、点数がとどかずダラダラ6回受験するより、次女にボーナスを払って、早く目標点を取ってもらったほうが、私のお財布的にもお得なわけです(そして心理的にも大助かり)。

730点以上 63ユーロ(受験料の半額)約12,000円
800点以上 126ユーロ(受験料まるまる)約24,000円

で、ボーナス設定をしたら次女はとても喜んでやる気を出していました。本当にいいの?!と。そして「満点だったらいくらくれるの?」と。こういうところでも、最初に書いたように、いかに自分の英語力の自己評価が高すぎるのかがうかがえます。インターの校風の中で自己肯定感が育まれるのはいいことですが、自分の実力も冷静に見れないほど自己肯定してしまっているとしたら、それはそれでいかがなものかと思うのは私だけでしょうか。

900点以上 252ユーロ(受験料の倍)約48,000円

と設定しました。


これから9月まで毎月TOEICを受ける予定なので、点数が伸びるのかどうか、この記事、続きます!

(2024.3.15)

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