父親が骨折した。
大人の骨折は間抜けでかなしい。
ただ腕の骨折なので三角巾とギプス姿を見て、ちょっとカッコいいな…という小学生のような感想を抱いた。
間抜けでかなしくてカッコいい。
ある種の理想の父親像なのかも…と思った。

小学1年生の時、母の日に母親の似顔絵を描く授業があった。下校途中友達のひとりが悪乗りをして僕の描いた絵の端っこをちょっとだけ破いた。僕はそのちょっとの破けが許せなかったのとその友達への怒りとが混ざってその場で全部自分でびりびりに破いた。そしてそのことを母親に言わず黙っておいた。