テトラポッドを眺めながら 寿司を食べた。

海風は強く 私の頬を殴りながら
こんなとこでつまむんじゃねぇ と終止訴えてくる。

那覇市前島 とまりんから波之上臨港道路に向かって歩き 若狭海岸通りをうろつく。

私はここによく来る。
おそらく昼間からなにもしてないであろうおじさんたちが ほどよい距離をとって 各々 一人で座り 泊大橋と海と空の境界線と波打ち際の岩肌から隠れもせず見えてくる大量のゴミくずを尻目に 時間の無駄遣いをしている。

私は自分のことを棚にあげ
コンクリの高台に登り 泊いゆまちで買った 営業時間終了間際の400円寿司折をビニール袋から出し 胃に入れる作業を目論んだ。

やはり居心地が良い。
外でなにかを食べる時 害虫の存在を意識するものだが海沿いで風が強いからか 蝿はおろか 漁港周りなのにフナムシすら見たことがない。

比較的新しい積石にはフナムシは生息しにくいらしく、なにかそれも寂しい気はしてしまうが船の汽笛の大音量にかき消された。

この泊付近の どっしりとした空気感と壮大さ
そして歩道橋を渡りながら目に入る 港特有の海と空でしかない自然と防波堤や船舶、コンテナやそれを運ぶメカニックのごちゃごちゃ感が混ざった景色がなんとも好き。

泊港は13~14世紀にかけて発展し盛り上がりを見せた港らしい。琉球王国の中心であった浦添や首里と陸続きの位置にあり、また安里川の河口が近いため、陸路・水路ともに交通の便が良かった。

そして19世紀頃海外交易の発展にともない、泊港は外国人の上陸地となってゆく。なので泊港付近には、外人墓地、ペリー提督上陸地などがある。

寿司を食べ終えた私はそのまま とまりんの中にあるよしもと沖縄花月へ向かう。
照明の手伝いをするためだ。
劇場入口に入ってすぐ「よしもとウチナーランキング」というライブの芸人の順位が張り出されていた。

総勢30組近く、いろんな種類のコメディアンがいる。これは私の個人的な感性なのだけど この場所に劇場があるのがなんとなく良いと思っている。
沖縄におけるよしもとの立ち位置はやはり外部で、正直歴史ある沖縄の芸能界の中では浮いてしまっていると思う。
そこに所属している内地から移住してきた人はもちろん、あらゆる種類の都道府県ワーストを総ナメにする県民性を体現したかのような社会不適合者、そしてそのためにアイデンティティが確立されておらず海のものとも山のものともつかない状態でごちゃごちゃしてしまっている芸人未満の存在たちは、もしかすると当時の海のものとも山のものともつかない文化の外国人上陸者たちと似ていたのかもしれない。

まぁ、いささか格好いいように言い過ぎか。
そんなことを感じながらランキングの一番下に目をやった。

私の名前が書いてあった。


新しい積石は
フナムシには生きづらい と思った。